ミステリ読書録

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田中啓文/「UMAハンター馬子 闇に光る目」/学習研究社ウルフノベルス刊

田中啓文さんの「UMAハンター馬子 闇に光る目」。

伝統芸能‘おんびき祭文’の唯一の後継者である蘇我家馬子と、その弟子・イルカは、
不老不死の伝説が残る地方ばかりを選んで巡業を続けていた。その行く手には何故か
毎度UMA(未知生物)が現れ、その度に馬子の思いつきと怪しげな民俗学知識で
その正体を暴いて来た。そして、二人の陰にはいつも鉢合わせする怪しげな黒ずくめ
の団体がいた。世界有数の巨大コンツェルン山野財閥の御曹司・千太郎が差し向ける
部下たちである。近々訪れるという< ヨミカエリ >の日まで、余命幾ばくもない総帥
の命を繋ぐ為、不老不死の秘密を探し求めているのだ。そして馬子とイルカは広島県
比婆山にいるという < ヒバゴン >の秘密を探りにやって来たのだが――。

いきなり続編から読んでしまいました。その為、馬子とイルカの出会いや、山野財閥との
関わりなどはよくわからなかったのですが、基本的には一話完結の連作集という感じ
なので、あまり問題はありませんでした。
それにしても、馬子のキャラは強烈。見た目‘大阪のおばはん’という風貌、傍若無人
で唯我独尊、傲岸不遜で弟子のイルカなどは人間とも思っていない位の扱いっぷり。
けちなのに有り金は全部放蕩で使い果たす。全く、とんでもない人間性です。それでも、
どっから仕入れてくるのかわからない民俗知識で、何故か出てくるUMA(未知生物)の
謎を解いてしまう不思議なキャラクターです。頭がいいとはとても思えないんですが・・・。
このUMAの謎がまたとんでもない。というより、あまりのくだらなさに呆れ果てる
ような感じですが・・・。でも、なんだかんだ言って、このくだらなさが面白かった。
くだらない作品は鯨さんのタイムスリップシリーズで免疫が出来てるので、あれに比べたら
まだ基本的には民俗学の範疇に入れられるし(学説としては到底成立しないけど)。
まぁ、要するに‘バカミス’ですよ。ラストのチュパカブラの正体なんてもう・・・
想像したくもないですけどね^^;

可哀想なのは、ひたすら師匠に振り回される弟子のイルカですね。ここまでされてるのに、
健気に師匠を敬い、ついて行くイルカってある意味一番すごい人間かも。よっぽど馬子の
‘おんびき祭文’の伝統芸に魅入られたんでしょうね。しかし、私も一度見てみたいですよ。
だって、読んだだけでも、頭の中は「おおおん・・・びっき・・・びっき・・・おおんびっき
おんびきびきびき・・・・」でぐるぐるぐるぐるしてましたから(笑)。馬子の生声でこれを
やられた日には・・・。

くだらないと本を投げるか、そのくだらなさが病みつきになるかは、アナタ次第。
さぁ、勇気を出して読んでみて下さい!
でもお薦めは・・・しませんよ(苦笑)。
さて、取りあえず1巻目を探すか・・・(←病みつきに?)。
abeさん早く読んでね^^