我孫子武丸さんの「殺戮にいたる病」。
東京の繁華街で女性の乳房を切り取った猟奇殺人が連続して起こっていた。元警察官
の樋口は、第3の事件の被害者・島木敏子と少なからぬ関わりがあった。敏子の
仮通夜に出かけた樋口はそこで彼女の妹・かおると知り合う。後日、かおるから
「姉を殺した犯人をつきとめたい」と切り出され、二人は事件の真相を探り始める。
一方、猟奇殺人の犯人・蒲生稔は、夜の繁華街で彼が次に愛すべき女性を物色して
いた――目を覆うような陵辱と殺戮を繰り返す殺人鬼・蒲生の戦慄すべき心理
とは――。
長らく積読になっていた本書をやっと読むことができました。発売は1996年。
今からもう10年前ですね。買ったのは姉ですが、発売当時に買った為、本当に
10年間本棚で眠っていた本です。そして、買った当時、これをすぐに読んで
いたら、今読む何倍もラストで衝撃を受けられたのではないかと思いました。
もちろん今読んでも十分に騙されましたが・・・。殺人鬼・蒲生の真の姿を
知った時「ああ、そうだったのか!」と我孫子さんの仕掛けた罠に気付きました。
上手いですねぇ。ただ、この手のミステリを読みなれて来てしまった身として、
その衝撃をもっとまっさらの状態で読みたかったなぁというのはありますね。
おそらく、叙述トリック物としては国内でも最高レベルにある作品であることは
間違いないでしょう。プロローグの位置にエピローグを持って来る構成も素晴らしい
ですね。
ラストまで読んで始めのエピローグの真の意味が理解できる。結末を読んでから
最初のページを読むと、全く違った意味を持っていたことがわかりました。ラストに
至るまでには数々の猟奇シーン、エログロを乗り越えなければなりませんでしたが・・・。でもかなり構えて読んでいたので、思った程ではなかったかな。殺戮
シーンは確かに気持ち悪かったですけど。
最近こんなのばっかり読んでるから免疫が出来てしまったような・・・(ひー、
どんな人間だー^^;;)。
殺人鬼・蒲生の心理は読んでて不快でしかありませんでしたが、その狂気がひしひしと
迫って来て、ぞくぞくしました。うう、怖い。でも、一番怖かったのは息子が殺人鬼
だと気付いてしまった後の母親の雅子の行動ですね。息子への溺愛ぶりがちょっと
常軌を逸していて気持ち悪かった。
今読んだら綾辻さんの「殺人鬼」もそんなに大したことないと思えるのだろうか
・・・積読の「殺人鬼Ⅱ」しかないか!?でもさすがにほんとに食傷気味になって
来ました。
しばらくはほのぼの系の作品がいいかなぁ。
よもさんやっと読みました!年内読破達成しました^^
面白くて一日で読んでしまいましたよ。ありがとうございました!