ミステリ読書録

ミステリ・エンタメ中心の読書録です。

「オーロラ」

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「オーロラ」/ 監督: ニルス・タヴェルニエ
       出演:マルゴ・シャトリエ、ニコラ・ル・リッシュ他
      / 2006年 フランス

踊りが禁じられた王国に生まれながら、類い稀な踊りの才能を持つオーロラは、
王の目を盗んで踊ってばかり。そんな中、王国の財政の逼迫に窮した王様は、
オーロラを異国の王子と結婚させる為、舞踏会を催す。異国の王子たちは美しい
オーロラを手に入れる為、自国の舞踏団に踊りを踊らせ、オーロラに求愛する。
しかし、皮肉にも彼女が愛したのは、舞踏会の為の肖像画を描いた名も財もない
しがない絵描きだった。しかし王の家臣の企みにより、悲劇が目の前に迫っていた――。


実は観たのは昨年の暮れ。ランキングなんかをやっていたので、レビューを書き損ねて
いました。
バレエをファンタジーを掛け合わせたなんとも芸術的な作品。とにかく主人公のオーロラ姫
が美しい。実際のバレリーナだけあり、踊りを踊っている姿にうっとり。彼女のバレエシーン
だけでも観る価値あり。
ストーリーは、はっきり云って‘なんじゃ、こりゃ’てな展開の連続なんですが(そもそも
なんで王国で踊りが禁止されてしまったのかとか、全てすっとばしてますから)、全体に
溢れる美の世界を前にして、物語なぞどうでもいい、と思わせてしまう不思議な迫力が
ありました。
画家役のニコラ・ル・リッシュがまた素晴らしい存在感。冴えない画家役だし、顔がそんなに
美しい訳でもないのに、えらくかっこよく見える。ラストの踊りのシーンはもう、すごい!の一言。
鍛え抜かれた肉体美、というか。指先一つとっても優美さがにじみ出ていて、圧巻でした。
あと、オーロラの弟がまた可愛くて良かったですね~。お姉ちゃん思いで、ラストはちょっと
大人になり。画家と姉弟の3人の関係がとても良かった。それだけに、あの展開にはうなって
しまいましたが。
ただ、一番気になったのはラスト、たった一人残されてしまう王様の今後です・・・自業自得
とはいえ、やはりちょっと可哀想になりました。頑張れ、王様。

あのバレエ映画の名作「エトワール」を撮った監督さんなので、バレエシーンは必見。
バレエ好きの方、変わったファンタジー映画が観たい方、美の世界を堪能したい方には
お薦めの映画です・・・ただし、細かいストーリーを気にしない方に限ります(苦笑)。