ミステリ読書録

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蘇部健一/「ふつうの学校―稲妻先生颯爽登場!!の巻―」/講談社青い鳥文庫刊

蘇部健一さんの「ふつうの学校―稲妻先生颯爽登場!!の巻―」。

ぼくの名前は外池明。この春から青陽小学校に通う5年生だ。始業式の前日、ぼくは
レンタルビデオショップで秘密のビデオを借りようとしていた。すると、横で変な男の人が
借りたロリコンのビデオが詐欺だったとか抗議していた。ぼくはビデオを諦め、さっさと
退散した。しかし、翌日、学校に行ってみると、ぼくの新しいクラスの担任がなんとその
変態の男の人だったのだ・・・!(小学上級から←ほんとか?)


かねてから名前は聞いていた青い鳥文庫。児童書の名作が揃っていると名高いこの
シリーズの中で、何故私は初めて読むのがこの本なのでしょう。私の品位が疑われて
しまうじゃないか!のっけから、主人公のアキラが借りようとしているのがエロビデオ。
おいおい、お前は小学生だろ!と突っ込みを入れたくなりましたが、その脇で抗議を
始める変態男の正体が、副題で‘颯爽と’登場する筈の稲妻先生。これほど‘颯爽と’
という形容が似合わない登場の仕方もないような。さすが蘇部さんだ。ネーミングセンス
も普通じゃない。この先生のすごい所はそれだけではありません。子供に対して賭け
麻雀ならぬ、賭けドンジャラ(どらえもん版改定、美女アイドル版)をしかけ、その上
いかさまで小学生から金を巻き上げるというとんでもなさ。更にクラスの女子を
ドラフトで決定させるという暴挙に・・・よく考えつくな、こういうくだらないこと。
しかし、ろくでもないのに、たまにいいことをするから何とも憎めないキャラ。マモルを
いじめから守ろうとしてさりげなく行動する辺りはニクイ。でもやっぱりこんな先生には
教わりたくないぞ・・・。
でもアキラを中心にした子供たち4人が心を通わせるシーンは結構感動しましたよ。
六さん(子供なのにこのネーミングセンスもすごいが)は好きなキャラですね~。
ちょっと達観しすぎって感じもしますけど^^;


こんな作品を子供が読んでよいのか非常に疑問は残りますが、とにもかくにも蘇部さん
のくだらなさが集結された一冊と云えるのではないでしょうか。何だかんだ云って
面白かったですよ!もう、認めちゃいますよ。だいたい、鯨さんのタイムスリップシリーズ
なんか読んでる時点で私の品位なんて失墜してますから。どうせ、次に図書館行ったら
2作目探しちゃうんですよ。ああ、嫌だなぁ、こんな自分が・・・。そんでその流れで
六とん2に手を出しちゃった自分が更に嫌だ・・・どうしてくれるんですか、蘇部さん!
あとがきで小学生に懇願してるのが笑えるんですけど。そんなに卑屈になるならもっと
普通の話書けばいいのに(笑)。

こんな学校はいやだー!という「ふつうの学校」のお話です(!?)。
このレビュー読んで読みたくなる人がいるとは思えないですけど・・・くだらないけど、
面白かったですよ(私はね)。作者が可哀想なので、是非読んであげて下さい(笑)。