ミステリ読書録

ミステリ・エンタメ中心の読書録です。

蘇部健一/「六とん2」/講談社ノベルス刊 ~世界で二冊だけの六とん~

蘇部健一さんの「六とん2」。

アホバカトリック満載のあの六とんが帰って来た!A.お馴染み古藤シリーズ、B.「動かぬ証拠」
の半下石刑事シリーズ、C.作者が新境地を拓いた感動系作品と、バラエティに富んだ11編
を収録。


すいません、怒涛の蘇部さん2連発です。でも、何ですか、前回よりもアホバカ度が
一気に下がったじゃないですか。脱力系は古藤シリーズのAのみ。好きなのは「三色パンの秘密」
かなー。あはは。くだらないなぁ。でもこれなんですよ。これがいいんだってば。出来れば
全部このA系統で行って欲しかった位。
Bグループだと「行列のできるパン屋さん」が好きですね。いや、普通に感動しました、ラスト。
いいオチだなぁ、これ・・・。「読めない局面」も好き。ヒカルの碁を読んで触発されて書いた
そうで。あとがきのこの作品の解説、「ヒカルの碁を読んでない方には伏線がないと怒られそう、
でも逆に問いたい。何故あのベストセラーを読んでないでこの作品を読んでいるのか」の言葉に
大ウケ。そこまで卑屈にならんでも・・・やっぱ蘇部さんのあとがきは最高です。
Cグループ、「地球最後の日?」のオチの意味が全然わからないんですけど・・・誰か解説して
下さい・・・^^;ダウンタウンの番組の『ボケましょう!』のコーナーを見て思いついたって
言われても。これって○○○がボケてるの?後半2編は普通に読み物として感動しました。
「叶わぬ想い」、オチはなんとなく見えてましたが、絵で見た方がこのオチにはいいですね。
「きみがくれたメロディ」はなんとなく読んでて乙一さんぽいな、と思ったんですが、あとがき
で名前が出て来たので納得。実は蘇部さんはこういう作品が書きたいのかな、と思いました。

正直、前作よりもアホバカ度は下がってますが、それぞれなかなか読ませる所があり、面白
かったです。でも蘇部さんにはやっぱりもっともっと‘くだらなさ’を極めて欲しい、と願って
る自分がいたりして・・・。ここはやはり是非六とん3を!!あとがきのどこまでも謙虚というか
卑屈な姿勢が涙を誘います・・・。
負けるな、負けるな,蘇部健一!!
まだまだ頑張れ、蘇部健一ー!!
というエールを送り、この記事はこれにてお仕舞い。


追記:六とん大好き!月野さんに記事のタイトルを考案して頂いていたのをすっかり
忘れていました(ごめんなさい)。つけたしておきます。
月野さん、素敵なタイトルありがとうございます。副題じゃ不満かしら・・・。