ミステリ読書録

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高田崇史/「QED 河童伝説」/講談社ノベルス刊

高田崇史さんの「QED 河童伝説」。

奈々たち一行は、福島県の相馬地方で行われる相馬野間追祭を見物する為、一泊二日の
旅行を計画する。しかし、当日寝坊し予定の新幹線に乗り遅れた崇は、急遽合流を夜に
延ばし、一人岩手県の遠野へ。崇の目的は「河童に会うこと」だと言うのだが。一方、
河童が住むといわれる川で、手首を切り落とされた男性の死体が発見される。その男は、
薬剤師の神山禮子を狙うストーカーだった。そして禮子が勤める富岡大学附属病院と提携
する小高製薬の関係者が次々と死体で発見される。事件の謎が明らかにされる傍らで、
崇が河童伝説の謎を解く――QEDシリーズ第13弾。


前回の消化不良を一気に解消するべく、今回は河童の謎も殺人事件の謎も楽しめました。
河童という存在自体が私の中ではかなり興味のある対象だったせいもありますが、河童
に纏わる薀蓄はどれも非常に納得させられるものでした。河童と案山子、河童と将門、
河童と天照大神などなど、一見河童と全く接点がなさそうもないものを次々と結びつけて行く
崇の弁舌に感心。相変わらずどっから知識を仕入れてくるんだ、という博識ぶり。この薀蓄
が毎回意味不明で読みにくいことも多いのですが、今回はとてもわかりやすく、面白かった
ですね。妖怪という存在についての解釈も興味津々。鳥山石燕の名前が出て来てニヤリと
しちゃいました。妖怪と云えば石燕ですよね~。

そして、前作で不満だったもう一つの原因、御名形史紋。たいりょうさん喜んで下さい、
今回はちゃんと出て来ましたよ~(笑)。と言っても結局接触したのは奈々一人きりで、
あとは電話のみの出演ですが。でも結構重要な情報を与える役なので、そこそこ活躍した
と云えるかも?(いや、そうでもないか・・・)でも相変わらずつかみ所がなく、意味不明の
言動ですが。しかし、崇との会話があ、うんの呼吸なのが妙に笑えました。なんだかんだいって、
一番お互いを理解し合える存在って感じ。ライバルの筈が、全くそんな気配も感じさせない所は
奈々の妹・沙織同様読んでいて非常に歯がゆいです。それにしても、今回も全く進展のない
二人。奈々自身も完全に天然な上、あの崇が相手なので、二人の今後が心配でなりません。
沙織の気持ちがよくわかるなぁ(苦笑)。

殺人事件の方は、今回かなりラストはエグかったです・・・。映像にするとかなり怖い・・・。
しかしこのシリーズ、確か最初のうちは殺人事件も崇が謎を解いていたと思うのですが。
今回もかなり真相に近い所まで迫っておきながら、そっちは完全に放棄。彼の興味は河童
の謎を解くことのみ。できれば両方崇に解いて欲しいと思うのは贅沢なのでしょうか。

一年後には東京にやってくるという御名形との再会がどうなるのか。まだまだ目が離せ
ないシリーズです。