ミステリ読書録

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西澤保彦/「幻惑密室 神麻嗣子の超能力事件簿」/講談社文庫刊

西澤保彦さんの「幻惑密室 神麻嗣子の超能力事件簿」。

健康器具開発会社 < ゲンキクリエイト > の社長に自宅での新年会と称して4人の社員が
招かれた。一見繋がりのない奇妙な顔ぶれに戸惑う4人だったが、それぞれに社長に対する
思惑を抱えていた。そして彼らは、ふと気付くとこの家から出られなくなってしまっていた。
電話も携帯も繋がらない、閉じ込められた状況の中、今度は社長の死体が発見される。一体
犯人は誰なのか。そしてこの密室を作り出したのは――事件解決に乗り出したのは、< 超能力
者問題秘密対策委員会出張相談員・(見習)>の肩書きを持つ美少女・神麻嗣子。
通称 < チョーモンイン > というこの秘密の組織に属する彼女の仕事は、超能力の不正使用摘発。
以前の事件で知り合った売れない小説家・保科と、美女警部・能解とともに、この前代未聞の
事件に立ち向かう―― < チョーモンイン > シリーズ第1弾。


はい、萌え系小説二連チャンです・・・って、一緒にするなって声がどっかから聞こえて
来そうだな~^^;だって、読んでいてどうも神麻さんの言動がキララと重なって仕方
なかったんですもの~。しかも、神麻さんの言動に対する保科の反応がまた乙島と重なって
るし・・・。これって、絶対萌え系小説だと思うんですけど、私間違ってますか?

それにしても、読み始めて何度も「前回の事件」云々が出て来るので、あれっ、これって
もしかして2作目!?私、またしてもやっちゃった?と焦りました。裏表紙でも長編第1作
って書いてあるし、おかしいな~と思ってましたらば、これの前に短編があるのですね。
まずその短編を本にしてから、本書を刊行して欲しいとこですよ。もう、人物関係がいまいち
把握できなくて戸惑ってしまったじゃないですかぁ・・・(まだ引きずってる)。

良くも悪くも西澤さん的な作品だなぁと思いました。とにかくハイヒップなる超能力に
関する描写に頭が大混乱。これが理解できないと、ミステリ部分も理解できない為、
何度も同じ文を読み直したりしました。文章は読みやすいし、リーダビリティも当然あるので
一気読みできたのですが、肝心の内容が頭に入っているかと言われると全然入ってなかったり。
ああ、理解力がないとSF読むのって体力と気力がいるんだなぁと実感。

正直、神麻さんのキャラは好きになれないかも・・・。まぁ、キララと重なったっていうのも
あるんですけど、なんだか読んでいて彼女の言動にはかなり引いてしまった。これでものすごく
鋭い推理力とかがあるならまだしも、今回の事件に限って云えばほとんど推理らしいものを
していないような・・・結局事件解決にほとんど貢献しておらず、何の為にいるのかよく
わからなかった。天然もすぎると嫌味になる、という感じかなぁ。ただ、彼女のお料理は
とても美味しそうでした。私も朝食作って欲しい・・・。

西澤さんお得意のSFとミステリの融合、という点ではそれなりに面白く読みました。ただ、
犯人の動機にはげんなり。まぁ、今回事件の方の主要登場人物はほとんど嫌悪感ばかりを
感じるキャラでしたけど。特に羽原の言動は最低最悪ですね。身近にこんな奴がいたら
迷惑千万でしょうね。作中、何度殴りたいと思ったことか・・・こんな男は全女性の敵
です!羽原に報復した神麻さんの突然の行動には、びっくりしつつもよくやった!と快哉
叫びたくなりました。


と、とにかくやっとこのシリーズを読み始めました。これからどんどん読み進めて
参りたいと思います(大幅な遅れを取り戻さねば)。
ところで、これの前の短編はどこかに収録されてるのでしょうか?取りあえず早くそれを
読んで、神麻さんと保科、能解警部の出会いを確認したいです・・・。