ミステリ読書録

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オルセー美術館展 19世紀 芸術家たちの楽園

東京・上野 東京都美術館
< オルセー美術館展 19世紀 芸術家たちの楽園 >

世界屈指の印象派コレクションを誇るパリ・オルセー美術館の所蔵する、厳選された19世紀の
絵画、彫刻、写真、工芸などを集めた約140点からなる展覧会。


行って来ました。祝日の上野美術館、覚悟したとはいえ、予想以上の人の多さに辟易しました。
昨日から始まった国立博物館ダ・ヴィンチ展の方に人が流れてくれないかなぁと仄かな期待
をしていたのですが、甘かったですね。入場制限がかかって、入場までに30分以上待ち。
さすが、オルセー美術館の名は伊達じゃなかった・・・。

ただ、それだけ大々的にやっている美術館にしては展示内容はお粗末といわざるを得なかった。
確かに有名どころの大御所の絵は揃っているけれども、展示は各数枚程度で、合間合間に空間を
埋めるごとくに写真や素描などの展示が入る。入場者のほとんどが、写真なんかより絵画を
もっと展示しろ!と思ったのでは・・・(私は言うまでもなく)。
号数の大きな作品も数点はありましたが、見ごたえとしてはイマイチという感じでした。

見所としてはゴッホの「アルルのゴッホの寝室」とか、マネの「すみれのブローチをつけた
ベルト・モリゾ」、モネの「アルジャントゥイユの船着場」辺りの印象派作品でしょうか。
こうした大御所の作品はやはり、それぞれの画家の特色がとても出ていて良かったです。





エドゥアール・マネ「すみれのブローチをつけたベルト・モリゾ
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クロード・モネ「アルジャントゥイユの船着場」
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面白かったのはファンタン=ラトゥールの「バティニョールのアトリエ」。この時代を代表
する印象派の画家たちが勢揃いしていて壮観。絵の横には誰が誰だかの解説が書いてあって、
人混みを掻き分けていちいち確認してしまいました。興味深いのは、みんなが中央で画布に
向かっているマネを注意深く見ているのに対して、一人だけそっぽを向いているエミール・
ゾラの存在。画家と小説家という差別化なのか、マネに対してゾラが反抗的な態度を取って
いたことを表しているのかよくわかりませんが、ゾラが一人だけ右側を向いているのが何故か
はとても気になりました。あと、一番右側にいるモネがやたらと存在感が薄いのも気になり
ましたが^^;


アンリ・ファンタン・ラトゥール「バティニョールのアトリエ」
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でも私が一番観て良かったなぁ~と思ったのはモローの「ガラテア」。この絵を観る
のは初めてではないのですが、やはり圧倒されるような美しさ。絵もさることながら、額の
凝りようも半端ではない。モローの幻想的な美しい絵と額が見事にマッチしてました。
モローの絵はもっとたくさん観れると思っていただけに、これしかないと知った時はがっかり。
オルセーにはモローの絵がたくさん所蔵されていた気がするのになぁ・・・。






入場制限のせいか、会場内は思っていたほど人で溢れ返っている状態ではなかったので
良かったです。それでも、有名絵画の絵の前には黒山の人だかりで、絵の前に行くのに
かなりの時間を要しました。特に人が多かったのはマネのベルトモリゾ。チケットや
チラシにも使われた程、この展示会の目玉ですからね・・・。小さい絵ながら、確かに
存在感はありましたが。マネの黒がとても生きている作品でした。
ただ、もう人に酔ってしまって、観終わった後はどっと疲れてしまいました。
絵はやっぱりもっと空いている状態でゆっくり観たいなぁと切実に思いました。


実はパリのオルセー美術館には実際二度ほど行ったことがあります。パリの数ある美術館
の中でも、最も気に入っている美術館の一つ。鉄道駅をそのまま美術館に改装したという
その建物や内装がとても風情があって大好きです。展示の仕方も、それぞれにブースに分かれていて、
広々していてゆっくり観れます。シンボルの大時計もとても美しい。そして、中に併設されて
いるレストランがまたとっても美味!当時貧乏旅行をしていた赤貧学生には多少値が張る
ものでしたが、その味にとても感動したのを覚えています。もちろん展示している美術品も
一級品ばかりで圧倒されます。
いつかパリに行かれることがあったら、是非実際に訪れてみて頂きたい美術館です。


~4月8日(日)まで。