ミステリ読書録

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「パフューム ある人殺しの物語」

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「パフューム ある人殺しの物語」
      /監督:トム・ティクヴァ
       出演:ベン・ウィショーダスティン・ホフマンレイチェル・ハード=ウッド
/2006年 
                   

18世紀、フランス、パリ。悪臭立ち込める魚市場で一人の赤ん坊が誕生する。母親によって
殺されそうになったその子は保護され、ジャン・バティスト=グルヌイユと名づけられる。
神は彼に類い稀な臭覚能力を与えた。あらゆる物の匂いを嗅ぎ分けられる彼は、やがて
青年になり天才調香師として世間を驚かせる香りを生み出して行く。だが、彼は究極の
香りを求めて、ある狂気に取り憑かれてゆく。同時に、世間では若い美女を狙った連続殺人
事件が民衆を恐怖に陥れていた・・・。世界45カ国で翻訳され、大ベストセラーとなった
パトリック・ジュースキントの原作を映画化。


なんともすごい映画です。主人公グルヌイユは一切の体臭を持たず、天才的な臭覚能力を
持った男。映画の間、彼の台詞はほとんどありません。言葉はしゃべれるけれど、ほぼ全篇
に亘って彼は無言で淡々と犯罪を起こして行く。言葉はなくても、彼が狂気に取り憑かれて
行く様が実に緊迫感を持って迫って来ました。とにかく怖い。まさに迫真の演技。音楽が
また実に合っていて緊迫感を増長させており、何かホラー映画を観ているかのような
緊張感に捉われました。約2時間半とそれなりに長い映画ですが、全く長さを感じさせられる
ことがなかったです。
冒頭や途中の殺人シーンの映像などは正直気持ち悪く、苦手な人は苦手な映画かもしれませんが、
全体的にはとても衣装・美術に凝った美しい映画。特に被害者となる貴族の女性の衣装などは
とても華美で美しかった。

以下、多少ネタバレあります。ご注意下さい。





ただ、あのラストの展開はどうなんだろう・・・。これは観た人によって、賛否が真っ二つ
だと思います。私一瞬「えっ、この展開って、ギャグ?」って思ってしまいました・・・^^;
現にお隣のカップルの男の人笑ってましたもの^^;ファンタジーと言ってしまえばそれまで
なんでしょうが、ああいう展開はないよなぁと思いました。あれでは、殺された女性たちが
浮かばれなすぎると思うんですけど・・・。最後に父親が進み出て来た時は「ここで父さんが
終わりにするのか!?」と思ったのですが、まさか父親までが・・・(唖然)。
その上民衆たちが及ぶ行為にも絶句。挙句の果てになかったことにするって一体・・・。
更に更にグルヌイユの運命にも呆然。あれは私の解釈は民衆によって○○られたと思ったの
ですが、一体真相はどうなのでしょうか(○○の中はご想像にお任せします)。

とにもかくにも、強烈な印象を与える映画だったことは確かです。特にクライマックスは
意外な展開の連続で驚かされっぱなしでした。原作は一体どうなっているのか、非常に
気になりました。是非、読んでみたいと思います。

ちなみに、グルヌイユとはフランス語で‘カエル’の意味。発音もなんだか気持ち悪いし、
名前からして得体の知れない不気味さが現れているなぁと思いました。あの誕生シーンも
強烈でしたし・・・(気持ち悪かった~^^;;)。
ミステリだと思うと裏切られるし、妙な怖さがあるのにホラーでもないし、不思議な映画
でしたが、いろんな意味ですごい映画であることは保証します。好き、嫌いは分かれるで
しょうが、私は観て良かったと思いました。グルヌイユ役のベン・ウィショー
(知らない役者でしたが)の演技が素晴らしかった。
そして、ヒロイン役のレイチェル・ハード=ウッド(これまた知らない女優さん^^;)
の美しさには目を瞠りました。

いろんな意味で、強烈な印象を残した映画でした。
夢に出てきそうだな~^^;;