大森望・豊﨑由美さんの「文学賞メッタ斬り!リターンズ」。
日本の文学賞に物申す!あの毒舌コンビが復活。島田雅彦も緊急参戦して文学界を
斬って斬って斬りまくる!大好評の第2弾。
相変わらず二人の毒舌はすさまじい。御本人からよく抗議が来ないなぁと妙な所に感心
してしまう位、嫌いな作家やとんちんかんな選評をする文学賞の選考委員たちに対して
言いたい放題。でも、それが爽快なのですよねぇ。今回も芥川・直木賞の予想レース
対談に大部分の紙面を割いていて、私が読んだ作品はごくわずか。なので、二人の選評
はには同感も否定も出来ないのですが、なんとなく二人が言っていることが正しく思えて
しまうから不思議。読んだことのある数作品については非常に同感できましたしね
(古川さんの「ベルカ、吠えないのか?」を絶賛していたのは嬉しかった)。
ただ、前回大笑いしたジュンちゃんやテルちゃん、ツモじぃといった面々の登場回数が
少ない上、弱冠上記の大作家先生方がまともな選評を行ったりしている分、前作よりも
グレードダウンしている印象は否めなかったかな。そうは言っても、芥川や直木賞の
選考基準は相変わらず疑問に思うことばかり。しみじみ、この二つの賞って出版業界の
話題作りの為にあるようなものなんだなぁと思いました。ジュンちゃん、せめて候補作は
全部読もうよ・・・。
そういう意味では、本屋大賞の存在はやっぱり貴重なのかな、と思ったり。書店員限定
とはいえ、一般人が選ぶ、というのは純粋に賞としての重みを感じる気がします。もちろん、
世間的には芥川、直木賞の方がずっと評価されてる訳ですけどね。候補作家も、あんな風な
選ばれ方で嬉しいのかなぁと思ってしまいますよ。いや、東野さんのように受賞をひたすら
待ち続ける作家も多いのでしょうけどね(だいたい、受賞すれば本が売れるし)。
今回一番面白く読んだのは「新人作家、有望株は?」の章。島本理生さんについて意見を
交わしたすぐ後に佐藤友哉さんの名前が出て来たのにはびっくり。もちろんこの対談の時には
現在のお二人の関係なぞ知るよしもなかったでしょうから、偶然なんでしょうけど。でも
豊﨑さんってよっぽど島本さんの作風が嫌いなんだなぁと苦笑してしまった。佐藤さんは
意外な高評価で(もちろんメフィスト賞のアレは酷評だったようですが)、なるほど、
やっぱり徐々に力を発揮してきた作家なのだなぁと認識を改めましたよ、ゆきあやさん。
あと嬉しかったのは最近はまっている森見さんの評価がめちゃくちゃ高かったこと。うんうん、
やっぱり二人にはこのオモチロさがわかってもらえるのね、とほくほくしながら読んでました。
文学賞作品をワールドカップ仕立てにしたM杯(めったかっぷ)には笑いました。くだらない
~^^;でもこれって去年のサッカーW杯を観てなかった人には何が何やらだろうなぁ。
もろ、内輪ウケ(苦笑)。まぁ、二人が楽しんでいるのは伝わって来ましたけどね。
優勝が町田康さんの「告白」っていうのはどうなんだろう・・・?読んでないので私に
作品の真価はわかりかねますけども。
巻末の文学賞受賞作を点数づけしたページも相変わらずの厳しい評価で楽しめました。
(80点以上がほとんどない^^;)
日本の文学賞内情がよ~くわかりますよ。楽しい一冊でした。