ミステリ読書録

ミステリ・エンタメ中心の読書録です。

伯方雪日/「誰もわたしを倒せない」/創元推理文庫刊

伯方雪日さんの「誰もわたしを倒せない」。

後楽園ゆうえんちの園外のゴミ捨て場の後ろで、隠すように捨てられていた死体が
掃除夫によって発見された。死体は襟足から後頭部にかけての髪が乱雑に地肌が見える
位に切り取られていた。冨坂署の刑事・三瓶と城島は現場に急行する。格闘技ファンの
城島は、遺体がプロレスラーの‘カタナ’に似ていることに気付き、刑事二人はカタナが
所属する新東京プロレスリングを訪れる。そこで二人は不思議な魅力を持つ社長の付き人・
犬飼と出会う。犬飼の鋭い指摘を受け事件を追うが、犯行を告白するメモを残した男の
死体が発見され――格闘技を題材にした業界初の傑作本格推理集。


えー、「この作家、誰?」と思われた方がほとんどなのでは。私ももちろん初めて
読みました。本書はもともとミステリフロンティアシリーズから刊行されたのですが、
図書館でその姿を見かけたことがなく、気になりつつも未読の一冊でした。そうこうしてる
内にいつの間にか文庫化されており、文庫バージョンを見かけたので手に取ってみました。
このミステリフロンティアシリーズ、なかなか文庫化されないのに、なんでこれが選ばれた
のか不思議ではありますが。

確かに創元推理らしい連作短編集です。ちゃんと連作になっており、謎の仕掛け方も
バラエティに富んでいてなかなか読ませる。第三話の○○トリックにもすっかり騙されたし、
エピローグのどんでん返しは「ああやっぱりねー」とは思いましたが、締めくくりとしては良い。
が、しかーし。私、格闘技というものに全く興味がナイ。プロレスも異種格闘技
どう違うのかわからない。年末のK-1だって見たことありません。という訳で、
題材に全く魅力が持てなかったんですよね・・・。しかも、フェイク(八百長)だの
ガチンコだの、何がなんだか(格闘技オンチ)。
うーん、プロレスとか格闘技好きの人は十二分に楽しめる作品だとは思うのですが。
どうもその男同士の世界というやつに入って行けない自分がいました・・・。
やっぱり、題材って大事なんですねぇ。プロレスミステリって確かに今までなかったように
思うので、新しいとは思いますけど。私の好みではなかった、ということで。

一話ごとに若手刑事の城島が成長していくところは良かったですね。エピローグでは
いっぱしの刑事の語り口調でしたから。三瓶さんのキャラももう少し尊重してあげて
欲しかったかな(エピローグでは○○しちゃってるし^^;)。

格闘技がお好きな方には是非お薦めしますよー(説得力なし)。
この題材がお好みであれば、楽しめる筈。
ミステリとしてはなかなかでしたしね。

ちなみに名前は「はかた・ゆきひ」さんとお読みするらしい。
はかたってこんな漢字もあるんですねぇ。