ミステリ読書録

ミステリ・エンタメ中心の読書録です。

米澤穂信/「氷菓」/角川文庫刊

米澤穂信さんの「氷菓」。

高校に入学したばかりの折木奉太郎は、青春を謳歌することもなく、全てにおいて省エネ精神で
過ごしていた。しかし、突然舞い込んで来た姉のエアメイルでの命令でなぜか古典部に入部し、
そこで出会ったお嬢様の千反田えるの一言によって、思いがけない事件の謎を解くはめに。なし
崩し的に入部してきた友人の福部里志伊原摩耶花も加わって、奉太郎の非日常生活が始まる
――青春ミステリの名手・米澤穂信の鮮烈なデビュー作。


みなさまお久しぶりです。台風の影響で飛行機が飛ぶかと危ぶむこともなく、無事日本の地へ
帰って参りました。ちょっと時差ボケ状態で頭へろへろです^^;
という訳で、予告した通り旅のお供にした本書。総ページ数214ページ(あとがき含まず)
という、うっすい本にも関わらず、これがまぁ、驚く程進まない、進まない。予定では行きの
飛行機内で読み終わる予定だったのですが・・・眠さに勝てず、せいぜい半分ほど。旅行中
は、ハード日程のせいで(個人旅行なのに^^;)ほとんど読書の時間が取れず、とにかく
時間がかかってしまいました。ただ、眠さとかハードさだけが理由ではなく、一番の原因は
どうにもこうにもこの作品世界に入っていけなかったせい。奉太郎のキャラは嫌いじゃない
のですが、それぞれの部員が古典部に入る理由も、千反田さんが奉太郎に謎解きをさせる
課程も、古典部各部員が自説を披露する場面も、どれもなんだか説得力がなく、薄っぺらい
印象を受けてしまいました。‘古典部’という部自体の説明も何がなんだか。何より、ミステリ
として評価できなかった。最初の密室の謎もですが、最大の謎解きである千反田さんの叔父さん
の謎と「氷菓」の謎も感心できるものではなかった。
資料を基に無理矢理こじつけた感があって、それがそのまま真相だったのでかなり肩透かしを
食らわされた感じでした。
米澤さんらしいほろ苦い青春ミステリの片鱗は感じさせるものの、完成度としては首はひねら
ざるを得なかったです。デビュー作ゆえの若さということなんでしょうか。私の読み取り方が
足りないせいかもしれませんが・・・。

うーん、うーん・・・やはり私は米澤作品のいい読者じゃないなぁ。奉太郎の省エネ精神キャラ
は好きなんですけどね。飛ばして読んだ三作目の「クドリャフカ~」は多少文句つけつつも、
なかなか面白く読んだので、次作はもうちょっと期待してるんですが。米澤ファンから石投げられ
そうだな~^^;決して嫌いじゃないんですよ・・・でもなぜかひねくれた読み方をしてしまう
辺り、やっぱり相性悪いのかな。それでも読んでしまうってことは、やっぱり気になる作家だって
ことで許して下さい(なんなんじゃ、お前はー^^;)。