ミステリ読書録

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ヴェネツィア絵画のきらめき 栄光のルネサンスから華麗なる18世紀へ

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渋谷・東急Bunkamura ザ・ミュージアム
< ヴェネツィア絵画のきらめき 栄光のルネサンスから華麗なる18世紀へ >

イタリア、水の都・ヴェネツィアルネサンスから18世紀までに活躍したヴェネツィア
絵画の黄金期を支えた巨匠たちの絵画を71点展示。神話・宗教画から、ヴェネツィア
市民生活を描いた風俗画や風景画など、水の都・ヴェネツィアの魅力を余すところなく
紹介する。


芸術の秋です。読書にばかり勤しんでいないでたまには街に出よう!ということで、
行ってまいりました。渋谷のヴェネツィア絵画展。日曜にも関わらず、会場はそれ程
混雑しておらず、ゆったりと鑑賞できたのはとても良かった。やはり絵画展は間近で
ゆっくり観れるのが一番ですね。

さて、今回の目玉は何といってもティツィアーノの「サロメ」。恥ずかしながら、私は
ティツィアーノサロメを題材に作品を描いていたとは知りませんでした。有名な絵かは
知りませんが、やはり他の画家とは一線を画すような美しさ。ただ、私の中で「サロメ
といえばモローのあの幻想的な作品を思い浮かべてしまうので、ルネサンス期の画風で
描かれると、生首を持っているという行為の生々しさはあまり感じられなかったです。物憂げ
サロメの表情が印象的。欲を云えば、サロメはもうちょっと挑戦的な表情をしていて
欲しい所ですが。



ティツィアーノ・ヴェチェリオ「洗礼者聖ヨハネの首をもつサロメ
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今回の展覧会でティツィアーノ以上に印象に残った作品が、ヨーゼフ・ハインツの
「アイソンを若返らせるメディア」。

なんとも幻想的でいて、不可思議な絵。奇妙な生物たちがたくさん描かれていて、魔術的
というか、魔法的というか、ファンタジックな中にもグロテスクさを感じて、しばらく
見入ってしまった。見れば見るほど奇妙な気分に捉われる絵でした。観ている時、絵葉書
があったら買って帰りたいと思ったのだけど、こんなマニアックそうな絵の絵葉書は
置いてないだろうなぁと半分諦めていました。が、実はこの絵はかなり人気があるらしく、
絵葉書どころか、いろんなグッズに採用されていてびっくり。こんなグロテスクな絵
なのに・・・。やはりこういうテーマに魅力を感じる人は多いということなのでしょうか。



ヨーゼフ・ハインツ「アイソンを若返らせるメディア」
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フランチェスコ・モンティ「寓意のモニュメント(クーパーに捧げる)」と
ジャンバッティスタ・ピットーニの「寓意のモニュメント(ニュートンに捧げる)」は
対になっているような作品。モノトーンで一見素描のように見えるのですが、油彩画。
ただ、ピットーニの『ニュートンに捧げる』というのは画風から何となく伺えたのですが、
モンティの方のクーパーは名前は聞いたことがある気がしたのですが、何をした人なのか
分からず、何を表した絵なのかさっぱりわかりませんでした(無知^^;;)。


フランチェスコ・モンティ「寓意のモニュメント(クーパーに捧げる)」(左)
ジャンバッティスタ・ピットーニ「寓意のモニュメント(ニュートンに捧げる)」(右)
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あと面白かったのがドメニコ・フェッティの「メランコリア」。女性が憂鬱に沈んで
いる画なのですが、周りにある髑髏・犬・幾何学・本などは全て‘憂鬱’の象徴なのだ
そうです。へぇ~~でした。



ドメニコ・フェッティ「メランコリア
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ヴェネツィアの風景画も水の都市を細密に表した作品ばかりで綺麗でした。以前に行った
時のことを思い出しながら鑑賞しました。




ジュゼッペ・ベルナルディーノ・ビゾン「パラッツォ・ドゥカーレに入るフランス大使ジェルジ伯」
どれが大使なのかが全然わかりませんでした^^;
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見ていて一番奇妙な感覚に捉われたのが、ガブリエル・ベッラの「サンタ・マリア・デラ・
サルーテ聖堂での婚礼」。左半分の遠近法がどう見てもおかしい。じっと観ていると、
どこか歪みを感じて酔いそうでした。左側の建物が左に上がっているように見えるのは
気のせいじゃないですよね??



ガブリエル・ベッラ「サンタ・マリア・デラ・サルーテ聖堂での婚礼」
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ヴェネツィアのお祭の様子を描いた作品などもあって、なかなか面白い展覧会でした。
秋はやっぱり芸術に触れたくなりますね~^^


~10/25(木)まで。