ミステリ読書録

ミステリ・エンタメ中心の読書録です。

2007年マイベスト < 3 >

2007年もいよいよ押し迫ってきました。私も仕事はあと二日・・・地獄の二日ですが^^;
さて、2007年のランキングも残すところミステリ部門のみ。


対象は今年中に読んだ作品新旧問わずすべて。
ちなみに今日までの累計冊数は209冊。うちミステリが何冊かはちょっと把握してませんが、
多分8割くらいはミステリなんじゃないのかな~と思っております。
今年は大作系をかなり読んだな~という感じがします。私のランキングでも上位作品は
ほとんど500ページ以上の作品ばかり。ページ数が多いと確かに重厚さは出るものの、
中だるみや助長に繋がることも多くなりがちですが、今年読んだ作品はほとんどその
長さを感じさせないリーダビリティを感じるものばかりでした。


では前置きはそれ位にして今年読んだ極私的ミステリランキングを発表致しましょう。
毎度のことですが、これは本当に私だけの私的ランキング。多分このミステリ部門が
一番他人との評価が分かれる所だと思います。でも、本当に単純に「好きな順」なので。
異論や疑問があってもどうか右から左へ受け流して下さい^^;




< 2007年長編ミステリベスト10 >


1.有栖川有栖「女王国の城」


2.三津田信三「首無の如き祟るもの」








6.貫井徳郎「殺人症候群」


7.西澤保彦「収穫祭」


8.宮部みゆき「楽園 上・下」


9.倉知淳「過ぎ行く風はみどり色」


10.辻村深月「凍りのくじら」





では各作品短評を。



1.各種ランキングに乗った訳でも、ミステリブロガーさんたちに反抗した訳でもなく(苦笑)、
私の今年のベスト1はこれ以外にあり得ないのだから仕方ない。記事でも書いたように、
私にとっては「江神さんに会えただけで傑作」なので。今年このシリーズに再会できたことは
自分の中で一番大きな収穫でした。15年分の思いが込められている思い入れの強い作品
ですので、どうか大目に見て下さい。同意や共感を得ようとは全く思っておりませんので^^;


2.ミステリとしての完成度は文句のつけようがない傑作でした。確かに謎解き部分
だけを切り取ればこちらが1位ですが、思い入れの差で惜しくも2位。来年は4作目が
出版されるそうなので、来年のランキングにも確実に入ってくるでしょうね。


3.若かりし又市さんの青臭い逡巡や熱さにやられっぱなしでした。後半以降の展開に
圧倒されラストに慟哭。京極さんの文章は読んでるだけで幸せ。来年は新作が読めるのかな。


4.実は3位と4位は非常に悩みました。構成・キャラ・文章力、どれを取っても最高
レベル。正直、ここまでの作品を書いてくるとは思わなかった。青柳の頑張りにただただ
感動。本当に面白い小説を読ませてもらいました。


5.ミステリとしては弱いものの、今年前半の話題をかっさらった作品といえばこれ。
陰湿になりそうな女同士の諍いまであっさりあっけらかんと描いてしまう桜庭さん独特の
筆力に圧倒されました。私の読書感想記事の中でも「夜は短し~」と並んでコメント数の
多かった作品でもあります。TB数に至っては堂々の1位。それだけみなさまの関心も高かった
作品ということですね。


6.単独で読んでもかなりの完成度ですが、できれば三部作通して読んで欲しい力作。
「職業殺人者」に対する理性と感情。自分が犯罪被害者の遺族だったらどう思うのか。
いろんなことを考えさせられる作品でした。


7.エグイ、グロイ、エロイ。スプラッタものが苦手な人や不毛なエロ(笑)がダメな人は
読まない方が良いかもしれませんが、たたみかけるような展開に圧倒されつつのめり込み
ました。題名がいいですね。装丁も内容とぴったり合っていて、このミスで装丁大賞を
獲っていたのが頷けますね。


8.やはり宮部さんの心理描写は素晴らしい。「模倣犯」とはまた違ったリーダビリティ
で読ませてくれました。ただ、一部納得いかない部分があったので、完成度という点で
少しマイナス要素が。この部分に関しては「敢えて」という説もありますが、私としては
消化不良にしか感じなかったので。


9.素直に「ヤラレタ!」が味わえた作品。何より謎解きシーンでの猫丸先輩がとっても
格好良かった。読後も爽やかで、ラストの優しい演出にやられました。もっと早く
読んでおけば良かったなぁと後悔しました。


10.辻村さんと出会えたのも今年の収穫の一つ。読んだ作品はどれも甲乙つけがたい出来
でした。ミステリとしては、やはりこの作品の完成度の高さを評価したい。ドラえもん
小道具をここまで感動的に使われるとは。脱帽でした。





と、こんな感じのベスト10になりました。みなさま読まれた作品はおありでした
でしょうか。実は当初のランキングでは中西智明氏の「消失!」が10位に入ってました。
でも12月の始めに「ゴールデンスランバー」を読んでしまったので敢え無く選外に。
十分面白いミステリだったのですけれどね。

あと印象に残った作品は柴田よしきさんの「回転木馬」、早瀬乱さんの「レイニー・パークの音」、
高田崇史さんの「毒草師」、北村薫さんの「玻璃の天」、太田忠司さんの「甘栗と金貨と
エルム」、舞城王太郎さんの「世界は密室でできている。」、加納さんの「ぐるぐる猿と
歌う鳥」、恩田陸さんの「木洩れ日に泳ぐ魚」あたりでしょうか。




来年も面白いミステリをどんどん読んで行きたいと思います。
今後読む予定の作品をちらっとご紹介。


大村友貴美「首挽村の殺人」
海堂尊「夢見る黄金地球儀」
豪華作家陣による「小説 こちら葛飾区亀有公園前派出所
そして、今日受け取って来た北森鴻さんの「香菜里屋を知っていますか」。

や~、北森さんはすぐにでも読み始めたい所ですが。読み終えて香菜里屋とさよなら
するのは寂しい気持ちもしますね。


ミステリ以外だと三浦しをんさんの直木賞受賞作「まほろ駅前多田便利軒」、
碧野圭さんの「ブックストア・ウォーズ」が手元にあります。読む順番は決めて
ませんが、冬休み中には読みたいと思っています。




来年も面白いミステリに出会えますように!
重ねてお断りしておきますが(しつこい)ランキングはあくまで個人の意見です。
そして、私の意見ほどアテにできないものはありませんので、あまり参考には
ならないのではと思っております。読まれる場合は自己責任でお願い致します^^;
(いや、私は最高に面白いと思った作品ばかりですよ、ホントにね・・・)


読んで下さった方、ありがとうございました。