ミステリ読書録

ミステリ・エンタメ中心の読書録です。

海堂尊/「夢見る黄金地球儀」/東京創元社刊

海堂尊さんの「夢見る黄金地球儀」。

ふるさと創生基金の一億円で作られた桜宮市のシンボル『黄金地球儀』。当初はもの珍しさから
話題になったが、今では寂れた水族館で忘れられた存在となり果てていた。父親の経営する
平沼鉄工所の営業部長にして臨時工員である平沼平介は、ある日再会した悪友からこの
黄金地球儀を盗まないかと持ちかけられ、『黄金地球儀奪取作戦』が始動する。しかし、
事態は二転三転しとんでもない方向へ――平介は無事黄金を手にすることが出来るのか!?
ミステリフロンティアシリーズ。


海堂さんのミステリフロンティア。バチスタシリーズは予約に乗り遅れて停滞している
ので、こちらはいち早く予約して思ったよりは早く回って来ました。
・・・が、何か、題名やら表紙からなんとなく嫌な予感はしていたんです。そう、私好み
ではない予感が。



・・・当たった。



以下、未読の方及び海堂ファンは読まれないことをお勧め致します。
ブラックべるこ発動作品でございます。











もー、読み続けるのがめちゃくちゃ辛かった。海堂さんが何を書きたかったのか、正直
最後まで読んでも全くよくわからなかった。キャラもギャグもなんだか上滑りしていて、
普通は笑えるだろう所も全く笑えなかった。黄金地球儀強奪作戦の内容も文章何度
読んでも理解できないことが多くて、実際何が行われているのか頭に思い描けなかった。
私の読み取り不足もあるとは思うけれど、それにしても作者の独りよがり的な説明ばかり
で読んでてだんだん腹が立って来ました。作者はおそらくかなり楽しんで書いているのは
わかるのだけど、その楽しさが私には伝わって来ない。読めば読む程物語に入って行けず、
冷めて行く自分がいました・・・はっきり云って、単なる自己満足の作品としか思えなかった。
平介に黄金地球儀強奪をそそのかす悪友・ジョーのキャラがまたうざい。これは今よりも
未来の話の筈なのに、平介を呼ぶ時の口癖が「ヘイ、ヘイ、平介」って。未来の話じゃなく、
過去の話だったらこれでいいかもしれないけど。しかも、これが毎回出て来るものだから
途中でうんざりしてしまった。アイと平介の関係も良く理解できないし、ラストの平介の
「アイという最後の謎を解くために・・・」のくだりも必要だったのか疑問。だって、その
謎についての具体的な話が出て来ないままなんだもの。意味深な文章書いといて、なんだよ!
とツッコミたくなりました。
でももっとわからなかったのはラストのジョーと平介の会話。これって、禅問答!?私には
二人の会話の意味が全くわからなかったんですが・・・平介がワインかけちゃう行動も
意味不明だし。一体なんなんだーと読み終わった後も消化不良で腑に落ちない気持ちの悪さ
でいっぱいになってしまった。久しぶりに壁本だった。
黄金地球儀強奪の裏に隠されたからくりもちっとも理解できなかった。桜宮市役所管財課と、
水族館側と、平介の父親とジョーと4Sエージェンシー・・・複数の団体が複雑に関わっていて、
何が何やらでした。私って頭悪いなぁと思いながら読んでました。
でも、頭の悪い私のようなアホな人間にももっと理解できるような文章で説明するべきだと思う
んですよ。もっとすっきり整理して読ませて欲しかったです。海堂さんの作品は「螺鈿迷宮」
読んでも思ったけど、終盤の作品のキモとなるべき部分でいきなり説明が複雑になって読者を
置き去りにする傾向があるような気がするなぁ(ってこの二作に限ってかもしれませんけど)。
作者は頭の中でわかってるからいいかもしれないけど、それじゃ読者はついてこないよ・・・
(あれ、私だけか?)。



普段の私はこの手のギャグ満載のくだらない作品は大好きな筈なんですが、海堂さんの
笑いのセンスは私とは合わなかったということなのでしょうね。なんだか読んでる最中
ずっとイライラしてたような。平沼社長のネーミングセンスにだけは笑っちゃいました
けどね(苦笑)。しかし、よく挫折しなかったよなぁ・・・。




ところで、この表紙って、ラブワゴン狙ってます?やっぱり上滑りしてる気が・・・。