ミステリ読書録

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佐藤多佳子/「一瞬の風になれ 2(ヨウイ)」/講談社刊

佐藤多佳子さんの「一瞬の風になれ 2(ヨウイ)」。

兄・健二がジュビロ磐田に入団が決まり、家を出て行った。新二は寂しく思うと同時に、
誇らしい気持でいっぱいだった。兄や友人の連に触発され、新二は更に練習に打ち込んで
行く。そして、インターハイ予選が始まった――本屋大賞受賞の傑作青春小説、第二巻。


あああ~~、失敗した。こんな所で終わっちゃうの!?これは蛇の生殺しだよぉ・・・。
続きが気になるよ~^^;;;やっぱり3巻が回って来るぎりぎりまで読むのを待つ
べきだったか。やっぱり、こういう作品は三冊揃えて読むべきなんですね。ああ、失敗。

と、激しく後悔する程、3巻が待ち遠しい内容でした。1巻より更に物語は動いて、新二
の陸上への思いもどんどん激しく深くなってゆく。彼の心の動きが本当に丁寧に描かれて
いて、一つ一つが胸に響きます。レースでの臨場感、躍動感の描写も素晴らしいです。
私も新二と一緒に、コンマ一秒の世界を体験した気分になりました。同じ種目でも一本
たりとて同じレースはない。一本目に調子が良くても二本目で同じ様に走れる訳ではなく、
その時の選手の心情や体調で全てが変わってくる。その結果がタイムという数字に表れて
しまうシビアな世界。そうしたコンマ一秒の世界に生きるスプリンターたちの姿はとても
美しい。ただ走るというだけの競技なのに、どうしてこんなにも清清しい気持になれるのか。
佐藤さんの文章力はすごいな。青春小説に必要な要素が全て詰まっていて、文句のつけようが
ない。恋愛、友情、悩みや迷い、残酷な現実、そして涙。終盤の新二の涙は読んでいて辛くて
悲しくて私まで泣けてきました。どうして、どうして。彼の思いがあまりにもストレートに
伝わって来て、胸が痛かった。そして、連がもらす本音にも泣けました。多分、新二の
才能を誰よりもわかっているのが連なのでしょうね。二人にしかわからない結びつきの深さ
を知ったような気がしました。こういう友情っていいなぁ。べたべたしなくても、お互いが
いるだけで友情が成立しているような。青春だなぁ・・・(遠い目)。

それにしても新二は本当にいい子だなぁ。彼の魅力がこの作品を引っ張って行ってる。一巻
よりもっともっと新二のことが好きになりました。二年になって、責任を負わされる立場に
なることでかなり性格もしっかりしてきたし。自分の才能を過信せず、こつこつと努力を重ねて
上を上を目指す真面目な所もいい。新二ガンバレ!って読んでいるとついつい応援したくなる。
もっともっと新二を速く走らせてあげたいと思ってしまう。彼の弛まぬ努力を知っているから。
奥手な恋の方も頑張って欲しいな~。谷口さんとはお似合いだ。新二よ、もっと自信を持て!と
言ってあげたくなりますね(老婆心)。3巻はそっちの方にも動きがあるといいな^^


と、この記事を書いてるちょうど今、フジテレビでこれのドラマをやっているので観ながら
書いてます。なぁんてタイムリーなんでしょ。でも、3巻未読だから後半のドラマどうしよう^^;
それにしても、新二と連の役者、反対の方が良かったんじゃないか?だいたい、新二は金髪
じゃんか~~^^;;いくら内君を主役にしたかったからってさぁ。新二キャラじゃないよな。


あーん。もう。続きが気になる気になるーーーっ。早く読みたいよう。
早く回ってこーーーい!(結局そのオチ)。