ミステリ読書録

ミステリ・エンタメ中心の読書録です。

藤岡真/「ゲッベルスの贈り物」/創元推理文庫刊

藤岡真さんの「ゲッベルスの贈り物」。

爆発的な人気を誇りながらメディアには一切出演しない謎のアイドル < ドミノ > を捜すことに
なった制作会社のプロデューサーの藤岡真。そこから思わぬ事件に巻き込まれるはめに。一方、
巷では著名人の自殺が相次いでいた。しかし、その自殺は巧妙に自殺に見せかけた殺人だった。
事件の背後に隠された思惑とは――。


同じ著者の「白菊」の記事の時に「本当は『ゲッベルスの贈り物』が読みたいけど図書館に
置いてない」とコメントしたところ、心優しきゆきあやさんよりご献本頂きました(わーい^^)。
大切な本をありがとうございました!(読むのが遅くなってすみません^^;)
旅行に持って行ったもう一冊がこの本。ただ、旅先では冒頭の部分くらいしか読めなかった
ので、ほとんど帰って来てから読んだのですが。

事件はふたつの視点から語られます。謎のアイドル < ドミノ >を追う『おれ』と、著名人を
殺人に見せかけて殺す殺し屋の『わたし』。全く無関係に思える二つの事件が、終盤に行く
につれて重なってきます。前回読んだ「白菊」同様、無関係に思えるプロローグが全体の鍵
になっています。そして、最後で事件は思わぬ展開を見せる。構成がなかなか巧いです。
序盤はやや冗長な部分もあり、入り込むのに時間がかかったのですが、だんだんと事件が
大掛かりになって行くにつれて面白くなって行きました。ただ、正直言えば、『わたし』の
正体も< ドミノ > の正体もなんとなく読めてしまい、驚きという点ではさほど得られなかった。
まぁ、ミステリとしてはそこ以外にもたくさん仕掛けがあるので、トータルとしては面白
かったのですが。それに、≪ゲッベルスの贈り物≫の真相にはぶっとびましたしね・・・。
でも、私が一番やられたのは最後の最後で判明するある人物の正体かな。完全にこれは
スリードされてました。












以下、ネタバレ注意です。













でも、ラストの藤岡とドミノが上手く行くのはちょっとやりすぎじゃないかなぁ?だって
40過ぎたおじさんととびきりの美少女ですよ・・・。この展開の為に正子のミスリード
あったのだろうけど。だいたい、母親が沙也香なのに、娘に正子なんてつけるか?今時。
自分が派手な名前だから娘には地味な名前をつけたかったということなのか。まぁ、ヤラレタ
ことには違いないのだけど(単なる負け惜しみ?)。

藤岡がエピローグ直前で鉄馬に問いかける「でも、長谷部辰彦ってほんとうにいるのかい?」
という台詞。実は、この謎かけが一番衝撃だったかも^^;
これは『もともと存在しない』って意味じゃなくて、『殺されちゃっていなくなった』って意味
なんでしょうか。だって、もともと存在しないというのは無理がありますよね。研究室の人たちや
近所の人たちが姿を見てるし、テレビにも出てるわけだから。確かにこの作品では生きて
動いている長谷部教授は出てきませんが。一体彼はどうしちゃったんでしょうか?この辺りは
読者各自で考えて下さいって感じなのかな。






「白菊」の解説で作者がバカミスの方だと知って驚いたのですが、本書はなんとなくその片鱗
が伺えたような。特に『おれ』の、ところどころに出てくる一人ツッコミについつい笑って
しまいました。基本的にはシリアスな話なんですけどね^^;こうなってくると俄然読みたく
なるのがネットでたいそう話題になったという『六色金色殺人事件』。これって現在も入手可能
なんでしょうか。古本屋でいつか出会えるかなぁ(図書館には置いてない模様・・・)。