ミステリ読書録

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神永学/「心霊探偵八雲 < 7 > 魂の行方」/文芸社刊

神永学さんの「心霊探偵八雲 < 7 > 魂の行方」。

晴香が教育実習中に出会った少年・真人は長野で幸せに暮らしていた。しかし、仲良くなった
同級生の由美子が遠足の途中、突然失踪してしまった。ショックを受けた真人は、晴香の元に
SOSの手紙を書く。それを受けて後藤の車で長野の戸隠にやってきた晴香と八雲。鬼女伝説
の地で彼らを待ち受ける事件とは――シリーズ第7弾。


いまひとつ周りで読んでいる人を見かけないこのシリーズ。巷では累計80万部の人気シリーズ
らしいのに何故^^;といっても、確かに私もものすごく好きで読んでいるという訳でもなく、
ただ八雲目当てで、半ば惰性で読んでる所があるのですが^^;
今回は今まで謎だった八雲の父親の生い立ちがかなり明らかになります。こんな酷い過去が
あったら、ああいう人間になっちゃっても仕方ないのかな~という感じ。八雲の祖母への
村の人間の仕打ちはあんまりですね。でも、その話を聞いた晴香の態度もちょっとおかしい
ように思いましたけど。面識もない昔話に出て来ただけの女の人になんでそこまで感情移入
するのかよくわかりません。その話の語り手に彼女が怒りをぶつける権利もないと思うし。
彼女の態度は優しさというよりは自己欺瞞にしか感じられなかったです。

相変わらずミステリとしてはゆるいし、展開も先が読めてしまう。このわかりやすさはやはり
小説よりも映像向きって感じがしますね。ドラマのノベライズと言われても納得してしまう。
作者もそれを狙って書いているのがわかるので、まぁ、あまり細かい所を突っ込んで読むべき
作品ではないと思います。けなしてるように思えるかもしれませんが、これでもフォローしてる
つもりです(笑)。なんだかんだ云って八雲が好きだし、これからも追いかける予定ですし。

今回石井さんが結構いい所を見せていたのが良かった。彼に対する後藤さんの仕打ちはいつも
あんまりだと思うので、実は二人は今回みたいに別々で行動した方がいい結果に繋がるんじゃ
ないかと思ったり^^;相変わらず転んでますけど(笑)。なんであんなに何もない所で転べる
んでしょうね、彼は。実はかなり優秀なはずなのに、その実力が後藤さんの前だと緊張して
出せないから、気の毒になってしまいます。いつかその健気さが報われるといいな、と思い
ます(笑)。

気になったのは初登場の晴香パパと八雲が夜通し何の話をしていたかですね~。酔っ払った
オヤジに冷たい態度を取る八雲の姿が目に浮かぶ(笑)。「お前、晴香をどう思ってるんだ!!」
とか、問い詰められて「別に・・・」なんて会話が交わされてたりしてね。

次巻ではまた七瀬美雪がやらかしてくれそうです。彼女はどんどん人間から離れて行っている
ような気が・・・ある意味八雲パパよりも怖いです^^;
八雲と晴香ももう少し進展させて欲しいなぁ。主人公の性格のせいで、QEDシリーズと同じ轍を
踏んでる気がするな、このシリーズも^^;