ミステリ読書録

ミステリ・エンタメ中心の読書録です。

黒田研二/「嘘つきパズル 究極の名探偵★誕生」/白泉社My文庫刊

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黒田研二さんの「嘘つきパズル 究極の名探偵★誕生」。

有名美人女優・真行寺麗華を妻に持つ俺、間男(はざまおとこ)。大好きな麗華ちゃんを愛して
やまない俺だけど、最近二人の仲は冷え切る一方。なんとか二人の修復を目指して小笠原諸島
皆既日食が見れるという豪華客船の旅に麗華ちゃんを誘った。客船クルーズを楽しんでいた
俺たちだったが、夜になって海が荒れ始めた。酒を飲んで甲板に出た俺は酔っ払って意識を失って
しまう。次に目が覚めた時、俺は知らない島に流れついていた。どうやら嵐で船から投げ出され
てしまったらしい。その島には俺と同じように流れついた乗客たちが何人かいた。謎の老婆・
エリザベスや筋肉質のオカマ・ゼニーちゃん、超グラマー美女のミキを始めとする、個性的な
面々ばかり7人。俺たちは誰も住んでいない館を見つけ、そこで生活し始めるが、人間の顔を
した猿や、猿の顔をした人間など、奇妙なものに次々遭遇する。ある行動から『呪い』をかけ
られてしまった俺たちに待っていたのは不可解な連続殺人事件。果たして犯人は一体誰なのか
――抱腹絶倒の長編ミステリー。


冴さんよりお借りしたもう一冊の回覧本です。現在入手困難になっている上に、冴さんお手製の
素晴らしいブックカバーがついた二重の意味で本当に『貴重本』。しかし、冴さんの爽やかさ
満点のカバーの下から現れた本はなんとバ・・・いやいやギャグ満載の面白ミステリでした。
やー、くだらない。黒田さんって、こんな作風の作品も書くんだ!!とビックリ行天。あちこち
で噴出しちゃいました。だいたい、主人公の名前が間男・・・はざまおとこって。そんな名前
つける親がいるんかい^^;一瞬、間黒男かと思って「ブラックジャック!?」とか思っちゃった
じゃないか~^^;
それに生粋の日本人なのに何故か「エリザベス」と名乗り、胸をぶるんぶるん振り回す老婆や、
酔うとキス魔になるオカマのゼニーちゃん(銭山だから)なんかのキャラも最高。作風はくだら
なさ100%ですが、基本はきっちり本格ミステリ・・・と言っていいのか弱冠悩む所もあり
ますが(苦笑)、真相に導く為の伏線はきっちり張られているし、謎解きには素直に感心。
奇妙な生物にかけられてしまった『呪い』が全てのポイントになっていて、「あー、そうか、
なるほど、ふむふむ。おお~!!」てな感嘆の連続でした。これは確かにサブタイトルの
『究極の名探偵』の文句は実に的を射ている。だってねぇ、○○しか話せないんだもの
ねぇ・・・なんとなく、それってズルいんじゃ・・・と思わなくもないけど、こういう切り口の
探偵は始めてだったので(そりゃそうだろう)、かなり新鮮でした。なるほど、ヒントは冒頭の
『頭の体操』のクイズにあったのですね~。『多胡輝懐かしい~!昔、「頭の体操」はまった
よなぁ~』なんて呑気な感想を持ちながら読み始めたんですけどもね。
アホな作風に油断していたらまんまとやられました。

で、このアホらしい作風に騙されて(?)『ミステリ界のマッキー』『切なさマジシャン』
『ロマンス職人』のキャッチコピーに首をかしげていたのですが、ラストを読んで
納得しました。確かにこれは純愛だーー!くらげ焼きと結婚したんでなくて良かったね、
オトちゃん・・・と目頭が熱く・・・はならなかったけど(笑)、ハッピーエンドで爽やかに
読み終えられました。さすがは切なさマジシャンね!(←?)

黒田さんのあとがき初めて読んだけど、ほんとに面白いです。蘇部さんに匹敵するんじゃ
ないかしら、これは。すべり気味の一人ツッコミにウケました(笑)。毎回書けばいいのに。
確かに作風と違いすぎて引かれる恐れはあるけど^^;HPってまだ健在なのかな?
見に行ってみよう。

ちなみにイラストは『パタリロ!』の魔夜峰央さん。これがまたギャグな作風にベストマッチ。
結構表紙も恥ずかしいです(笑)(一応画像を発見したので載せておきます)。
パタリロ!』懐かしいわぁ~。マンガはあんまり読んでなかったけど、アニメの印象が
強いです。そしてあのクックロビン音頭が頭を駆け巡ったことは言うまでもありません(笑)。


大変楽しく読ませて頂きました。大切なご本をお貸し下さった冴さんに改めてお礼を
申し上げます。ありがとうございました!
満腹満腹^^