はやみねかおるさんの「魔女の隠れ里」。
旅と料理の情報雑誌『セ・シーマ』の編集者・伊藤さんが教授の元へ紀行文の依頼にやって来た。
数々の難事件を解決している『名探偵』の教授に、伝説がらみの謎を解く紀行シリーズを連載
して欲しいというのだ。初回はＮ県のＡ高原のスキー場の伝説だという。始めは嫌がっていた
教授だったが、私たち亜衣・真衣・美衣の三姉妹の勧めに従い、しぶしぶ了承することに。そこ
には、江戸時代から口減らしのためにおさな子が殺され、その子が雪霊になるという雪霊の伝説が
信じられていた。そして、私たちはその雪霊の伝説の舞台となる雪霊の藪で不可解な謎に直面
する（「第一部 消える足あとと幽霊のシュプール」）――名探偵夢水清志郎事件ノート第４弾。
夢水シリーズ４作目です。前作から結構間が空いてしまいました＾＾；いつでも読めると思ってる
と案外続きに手が出ないものですねぇ。一気に読んでもいいのだけど、勿体ないので小出しに
小出しに読んでいこうかな～なんて思ったりして。
今回は二つの中編プラス、間に羽衣母さん視点の掌編が入ってます。これが結構楽しかった。
羽衣お母さんが単純な教授をうま～くアメとムチを使い分けて操っている所が笑えます。
学生時代の親友との気まずい思い出が、二枚の写真の微妙な変化だけで温かい思い出に変わる
ところがいいです。ただ、親友との関係が誤解であったならば、彼女の方から何の音沙汰も
なかったのは不自然な気もしましたが・・・（そんな細かく突っ込んじゃダメ？＾＾；）。
中編の方は表題作の「魔女の隠れ里」の方が面白かった。相変わらず子供向けとはいえ、きっちり
本格ミステリになっている所が嬉しい。『魔女』から送られてくる人数分のマネキン人形、
犯人からの犯行予告テープ、奇妙な推理ゲーム・・・そして空飛ぶ魔女の謎。わくわくする
ようなミステリ要素が詰まってます。トリックはどこぞで読んだ覚えのあるようなもので新鮮味
はありませんが、複数の謎が教授によって鮮やかに解き明かされる場面はやっぱり読んでいて
楽しい。犯人の動機は切ないものでした・・・。まぁ、ありがちといえばありがちな金田一少年系
ですが＾＾；
一つ解決されずに残された謎については個人で考えて下さいという感じのようです。まぁ、
ほとんどの人が見当をつけられる気もしますが・・・。教授の「世の中にはね、解決しては
いけない謎もあるんだよ」という言葉が心に残りました。世の中には、知らない方が幸せな
こともたくさんありますよね・・・。
それにしても、終幕の展開にはビックリでした。「ええーー！この後のシリーズってどう
なってるんだ！？」と心配になったのですが・・・な、なんじゃーーこのオチは～＾＾；
教授、いくらなんでもそれはナイよ・・・私も相当方向オンチだけど、さすがにここまで
すごくはないぞ。って、まぁ、引越し屋さんを雇うような引越しってしたことないけど・・・。
あまりにも教授らしくて笑ってしまいましたけどね。ほんとに、愛すべき名探偵です。
次回ではやーーっとレーチが再登場するらしい。あんなに派手に登場した割に、その後のシリーズ
で放っぽっておかれて、ちと可哀想。ここまで引っ張ったのだから、亜衣ちゃんと少しは進展
あって欲しいなぁ。
