ミステリ読書録

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篠田真由美/「闇の聖杯、光の剣 北斗学園七不思議 ② 」/理論社刊

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篠田真由美さんの「闇の聖杯、光の剣 北斗学園七不思議 」。

北斗学園中等部二年のアキ、ハル、タモツの新聞部三人は、文化祭に出品する新聞製作
コンクールのネタに頭を悩ませていた。本来ならば北斗学園七不思議を取り上げたい所だが、
それは旧図書館の主・淵野先生から止められていた。そんな傍ら、新聞部の三人に会いに
一人の女生徒がやってくる。彼女は学園に伝わる七不思議のひとつだという旧ブロックの
おまじないについて調べて欲しいと言う。しぶしぶ承知する三人だったが、その翌日旧ブロック
に侵入して行方不明になってしまう。学園の裏で秘かに進行する陰謀に巻き込まれて行く三人。
彼らの身に危険が迫る――シリーズ第二弾。


という訳で、「壺中の天国」で疲れた私は、読みやすいミステリYA!に手を出すことに。
いやー、読むのが楽。やっぱりYAものは気楽でいいなぁ・・・なんて呑気に構えていたら、
どっこい、篠田さんらしい伝奇描写やドイツの第三帝国まで絡んで、思った以上にスケール
が大きい話になって行って、とてもYA向けとは思えない展開になって面食らいましたが^^;

どうもこのシリーズ、いまいち脇役に好感が持てるキャラが出てこない。今回出て来た井坂や
古宮も自分勝手で読んでいてムカムカしたし。靖原さんはまだ良かったですが。主役三人の
キャラは前作ではいまひとつ掴み辛かったけど、今回で少し確立されて来た感じはしました。
前作の最後で意外な正体を明かしたJが今回一番美味しい役どころだったような気が。ラスト
の啖呵と一発にはしびれましたね。なんだ、結構いいやつじゃんか。あのラストでかなり
高感度アップでした。

それにしても先にも述べたように、物語がどんどん壮大になって行く。私としては地味に
学園の七不思議を追って行く展開の方が好みなんだけど、篠田さんらしいワールドワイドな
派手な展開の連続に面くらいつつもYAの枠を超えた作品に引き込まれました。中盤までは
展開の遅さにイライラした部分もありましたが・・・^^;
これ、思うに設定を中学二年にしたのは完全に作者のミスじゃないかな・・・せめて高校生に
すれば良かったのに。ハルのナチやら歴史に関する博識ぶりは大学生って言った方が自然な位
です。タモツも中二にしては達観してて落ち着いてる性格だし。アキだけは単細胞で単純な
性格が齢相応に感じられます。「女の子なんて面倒だ」なんて言い切っちゃうところもまだまだ
子供って感じで青くていい。最初はあんまり好きになれなかったんだけど、読んで行くうちに
好感が持てるようになってきたかも。Jもアキのことが一番気に入ってるみたいだしね。
反応が一番素直ではっきりしてますからね。なんだかんだ、馬鹿な子ほど可愛いって奴なんで
しょうね(苦笑)。

この作品で一番気に入ったのは猫のクラウスかも。猫とミステリーってのはほんとに相性が
いいですね。表紙のにやりと笑った顔が笑えます。賢いクラウス君は今後も活躍しそうなので
楽しみ。何気にアキを気に入っておちょくるところが微笑ましい。先日読んだ松尾由美さんの
「フリッツと満月の夜」のフリッツみたいに、ほんとに人間語をしゃべり出しそうです。

それにしても、前作との装丁の違いは何でしょう^^;篠田さん、よっぽど1巻の装丁が
気に入らなかったのでしょうか。それとも、今回の作品の雰囲気に合わせたのかな。魔女やら
狼男やら、伝奇的要素が入って妖しい雰囲気醸しだしてますもんねぇ。まぁ、こっちの装丁の
方が芸術的で好きですけどね。一応画像を載せておきます。

終盤で明かされる記念博物館の絵の正体には唖然。ここまで持ってきたか・・・。スケール
広げすぎだろ・・・とツッコミたくなりました^^;一体、今後はどこまで話が大きく
なって行くのでしょうか。相変わらず中学二年が経験するには危険過ぎる出来事ばかりが
起きますが、これからも新聞部の三人を見守って行きたいと思います。