ミステリ読書録

ミステリ・エンタメ中心の読書録です。

金城一紀/「GO」/講談社刊

金城一紀さんの「GO」

都内の私立高校に通う在日コリアンの『僕』。日本で生まれ、日本で育ったけれど、在日という
だけで差別を受けてきた。でも、国境や国籍なんてくそくらえだ!そんな僕は、ある日友人の
誕生日パーティで一人の女の子と出会い、恋に落ちる。彼女に夢中になる僕には、一つ彼女に
秘密にしている事実がある。僕が『在日』であると知っても、彼女は変わらずにいてくれる
だろうか――在日コリアンの著者が贈るポップな青春ストーリー。第123回直木賞受賞作。


ああ、ショックです。記事を全部書き終えて投稿しようとしたらエラーが出てウィンドウが
閉じて消えてしまいました(>_<)。二度目だよ・・・呆然。
なんかもう書く気力が失せたなぁ・・・。最近この時間になるとヤフーブログ重いし。
ぶつぶつぶつ・・・。
なんて、うだうだ言ってても書いた文章は戻ってこないので気を取り直して書きます。


最後の金城作品です。映画は大好きな作品だったのでいつか原作も・・・と思いながらも
読み逃してきた作品。映画は主役二人の恋愛部分だけが印象に残っているので、こんなに
在日問題に比重を置いた作品だったっけ?と首をかしげたくなりました(そうだったかも
しれないけど、すっかり忘れていた^^;)。
正直、主人公杉原の在日問題に関する独白のくだりは読んでいて辛いものがありました。
だって、自分もヒロインの桜井と同じ、どうしたって『日本人』だから。在日の人に対して、
全く差別意識がないかと問われると答えにつまる。もちろん、あからさまに差別の目で見たり
することはないけれども、無意識レベルで日本人とは区別してしまう自分がいる。それは
根の深い民族意識レベルの問題といってもいいかもしれない。だから、杉原が自分の身分
を桜井に告げた時に取った彼女の態度が酷いとは思えなかったし、私が同じ立場でもやっぱり
酷く動揺して答えに窮してしまう気がする。本当に好きな人だったら関係ないと思えるかも
しれないし、やっぱり根本部分で無理だと感じてしまうのかもしれない。できれば受け入れて
あげて欲しいとも思ったけれど、彼女の反応は当然だという気もするし、複雑でした。
ただ、差別や民族問題を取り上げつつも、基本は軽妙な青春小説なので、重い部分も
さらりと読めて読後も爽やかでした。結局、民族や国籍なんか関係ない、自分は自分で
しかない、ということが全てなんだと思う。

それぞれのキャラ造詣も良かったです。在日なんてくそくらえと強気に生きる主人公、元ボクサー
の父親、気の強い母親、クールな正一、コケティッシュな魅力の桜井・・・金城さんの
キャラクターはみんな個性的で、読んでいて小気味が良いです。

ラストで明かされる桜井にとっての杉原との初対面シーンはいかにも漫画的なシチュエーション
ですが、私はこういうベタなのが大好き。ここ読んで、序盤の誕生日パーティのシーンを読み
返してにやにやしてしまいました(笑)。

重いテーマを掲げながらも、個性的なキャラと軽妙な文体で爽やかに読める青春小説でした。
また映画を観返したくなってしまいました。もちろん、本読んでる間主役二人の顔は窪塚と
柴崎コウでした(苦笑)。

これで未読の金城作品がなくなってしまったのは寂しい。あ、SPのノベライズはあるけど^^;
私にとって最も新刊が待ち遠しい作家の一人になりました。
なんか、最初に書いてた時はもっと違うこと書いてたような。浅い記事になってしまった
気が・・・って、いつものことか(すみません)^^;