ミステリ読書録

ミステリ・エンタメ中心の読書録です。

二ノ宮知子/「のだめカンタービレ 21」/KissKC刊

イメージ 1

二ノ宮知子さんの「のだめカンタービレ 21」。

公演に向けて練習に励む千秋とRui。Ruiの演奏するラヴェルを聴いて、まさにそれがのだめと
実現させたかった演奏であることにショックを受ける千秋。そして、公演当日、二人の演奏を
聴いたのだめは、二人との才能の違いに自暴自棄になり、パリに来て初めてレッスンを休んで
しまう。そんな時、偶然シュトレーゼマンと会い、自分の思いをぶちまけるのだめに、シュトレー
ゼマンはピアノの演奏をせがむ。のだめのピアノを聴いたシュトレーゼマンは、意外な提案を
申し出るが――。


ようやく友人から貸してもらえました。のだめ最新刊。なにやら不穏な動きになりそうだとの
情報を得てはいましたが、今までで一番シリアスな展開なのでは?千秋先輩の成功の裏で
もがくのだめの苦しみが伝わって来て辛かった。彼女は彼女なりに頑張って一歩を踏み出そうと
しているのに、いつもその先にはすごい才能の人々が立ちはだかる。のほほんと能天気そうに
見えるけど、実は結構ナイーブなんだよね。のだめの演奏がどれ程上達してるのかがよく
わからないので、シュトレーゼマンの提案が吉と出るのか凶と出るのか予想がつかない。
でも、シュトレーゼマンの差し伸べた手を取ってしまったということは、この先は完全に千秋
先輩との決裂が待ち受けているということでしょうね。のだめがシュトレーゼマンの元に行った
ことで、千秋先輩はどういう態度を見せるのか。二人の未来はすれ違ってしまうのでしょうか・・・。
なんだかんだ言って千秋先輩はのだめが好きで、心配でしょうがないのが伝わって来るから、
自分からのだめが離れて行くのはショックなんじゃないかな。それがのだめの成長に繋がると
わかれば応援するだろうけど。

今ののだめの挫折や葛藤は、音楽家として大成していく為には絶対に避けて通れない通過儀礼
みたいなものなんでしょうね。どんなに才能のある人だって、上には上がいることを思い知らされる
時があるのだと思う。その嫉妬や挫折を乗り越えて、『自分は自分』と割り切れる人だけが勝ち
残って行けるのではないか。のだめがこの先どうやってこの状況を打開していくのか、シュトレー
ゼマンの意図したことは何なのか、続きがきになります。

本当は始めの頃ののほほんとした雰囲気が好きだったので、あまり重い話になると読むのが
辛くなってくる気はするけど、一人の音楽家の成長物語として二ノ宮さんが本当に書きたいことが
出て来た気はします。

それにしてもラストののだめの「○○してくだサイ!」には驚いた。おいおい、唐突すぎ
だろ~~^^;よっぽど情緒不安定だったんだなぁ。でも、千秋先輩、気持ちはわかるけど、
もうちょっと違う反応してあげても良かったんじゃないのか?あんまり可哀想だよ、あれじゃ・・・。
私がのだめの立場でも自暴自棄になるよ^^;

今回出て来たRuiのラヴェルは聴いてみたいなぁ。のだめが次にやる予定のドビュッシー
何の曲だったんだろう。結局、演奏することはないのかな。オクレール先生の元に帰る日は
随分先のことになりそうな気もしますが。

次はもっと重くなりそうだ。単なる音楽マンガじゃなくなって来た気がするな。

ところで、作者の二ノ宮さん、現在妊娠中で連載休止予定なんですか!?ということは、次の巻が
出るのは相当先になっちゃうのかなぁ。うう、こんな所で・・・おめでたいけど、ファンとしては
悲しい限り(T_T)。