ミステリ読書録

ミステリ・エンタメ中心の読書録です。

石崎幸二/「復讐者の棺」/講談社ノベルス刊

石崎幸二さんの「復讐者の棺」。

大手スーパーKONO堂が伊豆沖の孤島にある経営破綻したテーマパークを買収。ひょんなことから
そのKONO堂の専務と知り合った石崎とミリア&ユリ&仁美の女子高生トリオは、そのテーマパーク
再建の為のアドバイスをすることを口実に、孤島のホテルに宿泊させてもらえることに。しかし、
本社から島に派遣されたスタッフが顔を焼かれた惨殺死体で見つかった。死体はテーマパークの
あちこちに置かれていた棺の一つに入れられ、棺の蓋には一通の手紙が挟まれていた。手紙には
第一の復讐としてその人物を殺した旨が書かれていた。手紙の主は10年前にKONO堂で起きた殺人
事件の復讐を行っているのか!?仁美を人質に取られ、手も足も出ない石崎たちの傍らで次々と
復讐の魔の手が伸びて行く――待望の石崎シリーズ最新刊。


久しぶりに石崎シリーズの続刊が出ました。去年『首鳴き鬼の島』で久々に新作を上梓した
石崎さん、そろそろ石崎シリーズも、と思っていた矢先の新刊なので嬉しい。なんとなく
おおっぴらに「好き」といえないこのシリーズだったりしますが(苦笑)、このなんともいえない
ギャグのすべり感やとぼけたキャラたちが結構お気に入りで、秘かに続編出ないのかなぁと
心待ちにしてました。あんまり出ないから、てっきり断筆したかと思ってたもん。前作までの
内容すっかり忘れちゃったじゃないか^^;

長いブランクなんか全く感じさせない、独特のゆるーーーい雰囲気は今回も健在で嬉しかった。
ミリア&ユリの毒舌女子高生コンビからツッコミ攻撃を受ける石崎の『もてないキャラ』っぷり
も相変わらず。会話文のそらぞらしさや、設定の強引さなんかもそのまま。相変わらずツッコミ
どころのオンパレードで面白かったなぁ(え?)。でも、それが石崎カラーなんです。これが
受け入れられない人も多そうだけど、私はそこが好きなんです。とにかく、石崎と女子高生
コンビの会話だけでも楽しい。ついつい噴出してしまう場面が何度もありました。

肝心の事件の真相も直球の本格テイストで面白かった。なんとなく先行作品がありそうな気も
するけど、私が過去に読んだミステリでは覚えがないから充分感心しました。石崎が最後まで
拘った『死体が靴を履いていない理由』も石崎の推理を聞いて納得。なかなか良く出来てます。
なんとなく、被害者の男性たちにある身体的特徴が多いのに引っかかりを覚えてはいたのだけれど、
このトリックへの伏線だったのかー!と目からウロコの思いでした。あまりにもゆるい空気が
漂っているので忘れがちですが、一応このシリーズ、本格ミステリなんですよね。

ミリアとユリの区別は相変わらずつきません。ここに前作の『袋綴じ事件』から仁美嬢も加わった
為、更に混乱の輪が広がったような。ま、仁美嬢はキャラがちょっと違うのでまだ二人との区別
はつくけれど、二人に比べると地味な性格なのでいまひとつ印象に残らないですね。ミリアと
ユリはもう、どっちがどっちとかどうでも良くて、多分二人で一人と思っていいんでしょうね^^;

それにしても、本格ミステリィと孤島が大好きな『ザ・もてない男』石崎のキャラが今回更に確立
された気がする。女子高生コンビからの悪口雑言、罵詈雑言、非難轟々を軽く受け流し、自分の
世界に入って行くその態度はある意味あっぱれ。ここまで虐げられる探偵役も珍しい気も
するけど、彼にはそれにめげずに(笑)、これからもわが道を行って欲しいものです(苦笑)。
ところで、彼はミステリ研の顧問ってことになってるけど、厳格そうなあの女子高で無関係な
人間が学園に侵入して問題にならないのかな?誰かの父兄でもない、単なるサラリーマンという
肩書きなのに、何故、あっさりみんな石崎のことを受け入れているのだろう・・・それが一番の
不思議かも(笑)。