ミステリ読書録

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伊坂幸太郎×斉藤和義/「絆のはなし」/講談社刊

伊坂幸太郎×斉藤和義「絆のはなし」。

雑誌「TOKYO★1週間」に掲載され話題を呼んだ作家・伊坂幸太郎とミュージシャン・斉藤和義
対談特集を完全収録。小説と音楽、異種業界で活躍する二人の本音満載の対談集。


実は出版された当時はあんまり興味がなかった本。伊坂さんは好きだけど、対談相手の斉藤さんに
ピンとこなかったから。でも、この間いつも聴いているYahooの音楽番組サウンドステーション
に斉藤さんがあったので何気なく聴いてみたら、CM等で馴染みの曲ばっかり!しかも結構好み
の曲が多くて、一時期結構はまって聴いてました。やっぱり一番インパクトがあったのはポンキッキ
で流れていた「歩いて帰ろう」ですね。テンポ良くて大好きな曲だったけど、誰が歌って
いるとか気にしてなかったので、『この曲歌ってた人だったのかーー!』と驚きました^^;。
山崎まさよしスガシカオみたいな系統?現に、お二人と斉藤さんは友人関係にあるらしく、
二人がどちらもすでにSMAPに曲を書いているので羨ましく思っているのだとか(笑)。
確かに、斉藤さんの曲もSMAPが歌っても良さそうだなぁ。

前置きが長くなりましたが、そんな訳で目出度く斉藤さんにも興味が出始めていたところ、開架で
本書を発見。ぱらぱら二人の対談を読んでみたらこれが面白い。そそくさと借りてみることに
したのでした。

お二人の話はとても面白かったのだけど、なんというか、これは伊坂さんの斉藤さんへのラブコール
対談集って感じですね。伊坂さんがいかに斉藤さんのことが好きかが伝わってきました。だって
ことあるごとに「斉藤さんはすごい」「斉藤さんだから」「さすが斉藤さん」とか、やたらに斉藤
さんを持ち上げる。とにかく盲目的ファンなんだなぁっていうのがよーーくわかりました。人と
話すのが苦手な伊坂さんが、唯一対談したかった人だそうですし。今まで対談の話が来ても
断っていたというのもちょっとびっくりしましたが(相手が好きな人でも何を話していいか
わからなくなっちゃうからだそうです)。伊坂さんが会社を辞めて、小説家一本でやっていこうと
決心したのは、斉藤さんのある曲を聴いたことがきっかけ、というのだから、伊坂さんの斉藤さん
崇拝も頷けるものがあります。現在の作家・伊坂幸太郎がいるのは斉藤さんのおかげなんですね。
意外な事実にびっくりしました。

斉藤さんも伊坂さんの著作は何作か読んでいるらしく、伊坂さんの才能は認めているようです。
でも、やっぱり伊坂さんの斉藤さんラブコールにはちょっとどう対応したものやらって空気が
伝わって来ましたね(苦笑)。もちろん、嬉しいことなんでしょうけど。斉藤さんが『陽気な
ギャング~』を「ゆかいな泥棒たち」と言い間違え、それを受けて「いいんです、
いいんです。ほとんど合ってます」と返す伊坂さんに大笑い。うん、言いたいことは合ってる
よ。でも、それでいいんだ?(笑)

二人の対談も面白かったですが、巻末の二人の年表や100質も面白かったです。お二人の経歴や
答えが全く違うのが興味深い。それでもなぜかお互いに惹かれるものがあるんでしょうね。現在は
メールアドレスを交換してやりとりされる仲になっているようです。

伊坂さんの恋愛話も興味津々でした。奥様との出会い秘話はファンなら必読でしょう。なんか、
伊坂さんの小説世界そのままって感じがしました。雨のバス停とはねぇ。こっちまでにやにや
しちゃいましたよ。サントリーミステリ大賞の賞金で指輪を買ってプロポーズっていうのも、
かっこよすぎ!そのまま本になるじゃない!って思いました(笑)。
でも、昔、ふられて毎日ボウリングしてたってのもウケたな~。何故ボウリング?(笑)

対談ではシャイな感じもよくわかりましたが、結構お話する人なんだなぁと思いました。もっと
無口な文学青年ってイメージだったので。意外な素顔が見れて楽しめました。

新作の『モダンタイムス』も無事一番手で回って来たようなので(個人的にはちょっと嫌な
予感がしていて、弱冠読むテンションが下がり気味ですが^^;)、ますます伊坂さんの今後の
活躍に期待したいです。
伊坂さんの運命を変えた斉藤さんの『幸福な朝食 退屈な夕食』も是非聴いてみたいなぁ。