ミステリ読書録

ミステリ・エンタメ中心の読書録です。

桜庭一樹/「書店はタイムマシーン 桜庭一樹読書日記」/東京創元社刊

桜庭一樹さんの「書店はタイムマシーン 桜庭一樹読書日記」。

赤朽葉家の伝説日本推理作家協会賞受賞から『私の男』直木賞受賞までの1年間。
〈Webミステリーズ!〉に掲載された人気『読書』エッセイを単行本化。


以前はエッセイというものにはあまり食指が動く方ではなかったのですが、最近気に入った作家の
エッセイを読むのが好きになりました。これはやっぱり三浦しをんさんや森見さん(あれは
エッセイとは言わないかもしれないが^^;)の影響かなぁ。小説では伺い知れない著者の
意外な素顔が見れて、新たな発見があって楽しい。という訳でたまたま図書館の新着コーナーで
本書を発見。桜庭作品はとにかく人気があるので、まさか予約なしで借りれるとは思わなかった
のでラッキーでした。桜庭さんといえば稀代の読書家作家というのは有名で、私もテレビの
情熱大陸を観てその読書量に驚いたことは記憶に新しい。本書を読んで更にその印象が強く
なりました。桜庭さんの読書量の多さに驚くと同時に、自分がいかに読書家とは程遠い存在
であるかが良くわかりました。桜庭さんのすごい所は、本当にいろんなジャンルを読まれる
ということ。本書を読んで、桜庭さんてほんっとうに本が好きなんだなぁというのを改めて
実感しました。海外作品が大部分なので、ほとんど話にはついて行けなかったのだけれど(汗)、
本好きな人が好きな本のことを熱く語っているという、それだけでなんだかこっちも読んでいて
嬉しい気持ちになりました。好みの本に出会えた時の興奮や感動がそのまま行間から溢れ出して
くるかのよう。寝る前は必ず本を読んでそのまま寝入るのが習慣らしく、エッセイのオチが
いつも『~を読んで、寝た』みたいになっている所が面白い。桜庭さんは夢の中でも本の世界を
引きずってそうです。担当編集者の方もみんな同じ位の読書家で、世の中には呆れる位本を
読んでる人がいっぱいいるんだなぁと思いました。うーむ、私はまだまだ修行が足りませぬ。

冒頭で映画『パフューム』の話が出て来て、そこが一番話について行けた部分かも(原作は
読んでないけどさ)。これ読んで、原作も読まなきゃと思ってたことを思い出しました。

日本推理作家協会賞とか直木賞の受賞待ちとか、受賞式風景の裏側なんかも面白かったです。
多くの作家がこういう時の裏話はエッセイで書かれているので、さほど意外な舞台裏が
書かれている訳ではなかったですが。スピーチのアンチョコを秘かに作る桜庭さんがなんだか
人気作家らしくなくて微笑ましかったです。普段は結構おっちょこちょいな人なのかな。
一気に人気作家になってあたふたしてる感じが可愛らしい。実際も小柄な感じの可愛らしい
人って印象でしたが。

本当にたくさんの本が紹介されているので、桜庭さんのファンでない人も、読書好きならば
読む本の指標になるのではないかな。古今東西、本当に幅広く読まれているので。
以前、恩田さんのエッセイでもその読書量に驚いたことがあるので、いつか、桜庭さんと
恩田さんの読書対談なんかも読んでみたいなぁ。なんか、ものすごーーーく、マニアックな
会話になりそうですけど^^;

私も、もっともっといろんな本を読まなくちゃ!って思わされました。
桜庭さんのような読書家には到底なれないけれど、面白い本は世の中にまだまだ溢れて
いるものね。

実は手元には万城目さんのエッセイも入手してあるのだ(なんと、本日返却棚に置いてあった!)。
なぜか、一人エッセイ祭の私なのでした。