ミステリ読書録

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東野圭吾/「あの頃ぼくらはアホでした」/集英社刊

東野圭吾さんの「あの頃ぼくらはアホでした」。

小学校から大学卒業まで、学生時代の実体験を赤裸々に語った抱腹絶倒の爆笑エッセイ。


あらすじ短くてすみません。『未読の東野作品をなくそう』キャンペーン、地味に継続中。
本書は以前から何度か開架で見かけてはいたのですが、面白いと聞いてはいたものの、
なんとなくスルーしてきた作品。タイトルからしてギャグっぽい作品なのかなと思って
いたのですが、エッセイだとは知りませんでした。東野さんの学生時代の体験談がかなり
赤裸々に語られています。これ、大丈夫かなぁ・・・と思える箇所もちらほら。初版が
1995年だから、連載当時はそこまでの人気作家ではなかったから書けたのかもしれない
けど・・・^^;

タイトルそのまま、学生時代の東野さんの行動は完全にアホだらけです。でも、アホなことに
夢中になったり、真剣になったり出来るのが学生時代なんですよね。アホだなぁ、青春だなぁ
って自分の学生時代も思い出しながら読みました(東野さんほど無茶はしてませんけど^^;)。

この本によると、東野さんが通っていた中学校は相当荒れていて、不良率が相当高かったとか
(東野さんは一応普通の学生だったようですが)。
私が通っていた中学も私が入学する1~2年前までものすごく周囲から評判が悪く、不良たちが
我が物顔で校内を闊歩していたらしい。私が入学する直前までいた三年生の卒業式なんか、
警察が来る騒動だったとか。そんな話を聞いていたので、入学するのがとっても怖かった。
一年生の時は、三年生の校舎に行くなんてもっての外、普通に廊下で上級生とすれ違うのが
怖くて真ん中を歩けなかったくらいびびってました。でも、三年が卒業しちゃうとあら不思議、
不良タイプの学生は学内にほとんどいなくなった。ちょうど境目の時期だったんでしょうねぇ。
二年生以降はあんなに先輩に怖がっていたのが嘘のように、普通に学生生活を送ることが出来た
のでした。しかも、下級生たちからも『先輩』として恐れられることも、敬われることもなく、
なんだか妙になぁなぁな雰囲気でちょっと損した気分になりましたっけ。先輩=怖いという
図式は、下級生たちには成り立たなかったらしい。敬語すら大して使ってもらえなかった覚えが。
私は先輩だぞ!せめて敬語くらい使えよ!と心の中でツッコミを入れつつ、表面上では気にしない
フリをして優しい先輩を装っていたのでした。完全にナメられていたよなぁ・・・(遠い目)。

東野さんの通ったF高校は日本で始めて大学紛争を行った高校なんだとか。その紛争の理由は
『制服の廃止』。しかも、当時の学生たちはその紛争に勝ち、目出度く私服許可の学校になった
そう。私が通った都立F高校(なんと、イニシャルも一緒!)も私服登校の学校でした。制服
自体がないので、全員が私服で登校してました。実は、私は制服のある学校に行きたかった。
だって、私服なんてそんなに持ってないし、毎日服装考えるの面倒だし。それに、やっぱり
女子高生といえば制服じゃないですか。可愛い制服を着て登校するのが夢だったのに、私が選んだ
高校は私服高校だった。だったら他の学校にすれば良かったじゃん、って思うかもしれませんが、
自転車で通えて学力もちょうど合格圏内、しかも兄の母校だったという複数の要因により、そこ以外
考えられなかったんですよ・・・。実際通ってみて、私服効果なのか、全体の雰囲気もかなり自由な
校風で、個性的な人が多かったです。服装もその人それぞれの個性が出ていて、面白かった。
本書で書かれていた女の子たちのような友達同士で貸し借りなんかは、私の学校ではなかった
です。お洒落な子はお洒落だったけど、大部分の女の子は適当に自分のワードローブを使い
まわして上手く過ごしていたと思う。私は限られたおこづかいの中で安い服を何枚かまとめ買い
して、着まわしてた覚えがあるな。でも、毎朝着るものには悩まされたっけ。よその学校の制服姿
の女子高生を見ては羨ましさに駆られていましたね(だって、朝悩まなくていいんだもん)。
結局、人生の中で私が学生服を着たのは中学の三年間だけなのでした。

学生時代の東野さんは、具体的に書くと差しさわりがあるような、『悪いこと』を一通り経験して
きたようです。万○き、飲○、○雀、定期券の偽○、カン○ング・・・まぁ、若い頃はみんな
大なり小なりこうやって悪いことをしながら成長して行くのかもしれませんが。若気の至りって
やつでしょうか。それにしても、次から次へとよくもまぁ、こう悪いことが思いつくもんだと苦笑
してしまいました(笑)。

意外だったのは、ガリレオシリーズなんかを読んでいると、東野さんの理系の知識は相当
ありそうで、さぞかし大学でも出来る理系人間だったのだろうと思っていたのに、落第すれすれ
の似非理系人間だったらしい。私の脳内では東野さん=湯川先生に近い存在だったのに・・・
(去年のイベントで白衣着てガリレオ先生してたのが妙にはまってたんだもん)。でも、
もっと意外だったのは読書が大嫌いだったということですけど。お姉さんから小峰元さんの
アルキメデスは手を汚さない』を借りていなかったら、今の大ベストセラー作家は生まれて
いないのだなぁと思うと、お姉さんに感謝せずにはいられません。ありがとう・・・(なぜお礼?)。

他にもいちいちツッコミたくなるエピソードが満載でした。怪獣にはまった章はマニアックすぎて
読み流してましたけど^^;『僕のことではない』の章のエピソードが完全に東野さんの実体験
だとばればれなのも可笑しかったな。まぁ、これは大っぴらに公言しちゃまずいよね・・・。

どの章もちょこちょこ噴出しながら読んでました。面白かったです。
エッセイ、ほんとにもう出さないのかなぁ、東野さん。こんなに面白いのに、勿体ない。
また出してくれー。


ちなみに、この記事、記念すべき(?)800記事目でした。ぱちぱち。
(どうせ、誰も気付かないだろうから自己申告^^;)