ミステリ読書録

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高田崇史/「カンナ 天草の神兵」/講談社ノベルス刊

高田崇史さんの「カンナ 天草の神兵」。

伊賀忍者の末裔にして出賀茂神社の跡取りである鴨志田甲斐は、神社に伝わる重要な社伝を
持ち出して失踪した早乙女諒司を追って、現役東大生の巫女バイトの貴湖や甲賀忍者の末裔である
竜之介らと供に九州・熊本の出賀茂神社に向かうことに。熊本の出賀茂神社宮司によると、諒司
らしき人物は天草へ向かったという。甲斐たちは、天草に渡り、諒司が教会に身を潜めているのでは
ないかと推測する。すると、天草の教会でシスターが殺害される事件が起きて、旅行者の男が一人
行方不明になっているという。甲斐たちはその人物こそが諒司なのではないかと疑う。甲斐たちは
事件の真相に迫る中、天草四郎の謎にも肉薄する――シリーズ第二弾。


前作からさほど間を空けずに第二弾が読めて嬉しいです。さすがにまだ登場人物たちも記憶に
新しいですし。今回も前作同様読みやすさは変わらず、さくさく読めました。ただ、前作から
引っ張って来た諒司が持ち逃げした社伝の行方はさっぱり進展せず、諒司自身も結局姿を見せずで、
物語的にはちっとも進展がなかったのはちと不満。まだまだ先は長いということなのか。前作で
思わせぶりに登場した甲斐の婚約者・聡美についても、結局今回もまたラストの意味深な登場だけで
甲斐とのからみもなし。彼女を見た澪ちゃんの反応がとっても気になるなぁ。一体、彼女には
どんな秘密があるんでしょう。どうも彼女の方は甲斐に気がある感じだけど。うーん、この調子
で延々ひっぱられるとしたらちょっとツライ。次作ではそっちの方も進展させて欲しいです。

さて、今回のテーマは天草四郎。興味がない訳ではないけど、さりとて食いつける程知識がある
訳でもない。島原の乱が起こったことは当然知ってるし天草四郎が美少年だった(らしい)こと
も知っているけど、天草四郎が本名でなかったなんて知らなかったし、四男でもないのになんで
四郎なんだなんてことは疑問にさえ思ったことがなかった(いや、思ったことがある人の方が
稀だろうとは思うけれど^^;)。という訳で、四郎の名前の謎に関しては今回も素直に感心
しちゃいました。まさかザビエルとああいう関連があったとは・・・!ラストに出て来た四郎が
○だったという説は確かにあり得そうではあるけど、文中に挙げられた根拠だけだと薄弱な感じは
しました。確かにそれが真実ならば漫画や小説にしやすいだろうなぁとは思うけれど。
全体的に薀蓄がちょっと前作よりもおとなしめでパワーダウンした感じはしましたが、まぁ、
このシリーズはQEDよりも読みやすいというのが売りのような印象があるので、これくらいで
丁度いいのかも。前述しましたが、天草四郎の名前の謎は面白かったですしね。ラストの島岡
神父の独白は、案の定思った通りって感じでしたが^^;ちょっとここまで行くとご都合主義な
感じもしますけどね。まぁ、事の発端はここから始まったということなんでしょう。

今回貴湖ちゃんがある言葉を甲斐に突きつけるのですが、私も非常~~~に耳が痛かったです^^;
今後高田さんの歴史薀蓄ものを読む時にはいつもこの言葉が突き刺さりそう・・・。


『調べるという努力をしましょうね、甲斐さん。歴史は覚えるものではなく、考えるもの
ですから』

でも私は(多分甲斐も)こう反論したくなりました。

・・・歴史オタクのアンタと一緒にするなーー^^;


え?負け惜しみ?

今回もほうろくは可愛かった^^(なんだい、そのオチ)