ミステリ読書録

ミステリ・エンタメ中心の読書録です。

浦賀和宏/「世界でいちばん醜い子供」/講談社ノベルス刊

浦賀和宏さんの「世界でいちばん醜い子供」。

『彼』に裏切られ、『彼』と決別した純菜は、一人孤独な日々を過ごしていた。『彼』と過ごした
幸せな日々を思い出しながら・・・。そんな純菜は、ある日一通の手紙を受け取る。それは、二年前
に純菜が巻き込まれたひき逃げ事件の関係者だった。手紙には指定の場所で純菜と会いたいという
旨が書かれていた。一人で待ち合わせ場所に行く勇気がない純菜は、引きこもりの南部を連れ出す
ことに。南部は、好きなフォークソングの帝王のコンサートに同行することと引き換えに了承する。
二人は雨の中コンサートに出かけた。すると、そこには純菜の思いがけないアーティストが飛び入り
参加していた。そして、そのコンサートこそが純菜の運命を狂わせる諸悪の根源だった――純菜の
本心が初めて明かされるシリーズ第6弾。


はい。という訳で図書館本を読みつくしたので、もう、この勢いで読んでしまうしかない!と
ようやく手に取ってみました。前作を読んだのが昨年の11月。またしても半年以上間が空いて
しまった・・・でも、やっと課題図書を読みきったよ!いや、シリーズはまだまだ続くんです
けども、私としてはY様に頂いた4冊をクリアした現在、かなり「やりきった」感があるんですが
・・・まだまだ甘いって?^^;あと何冊あるんだっけ。
でも、困ったことに、次の『堕ちた天使と金色の悪魔』だけ図書館に置いてないのよね・・・。
市内の図書館ではこのシリーズ自体ほとんど蔵書がなくて、隣街の図書館にはその一冊以外
いつ行っても奇麗に全巻揃っているのですが(誰も借りる気配がない)。これは、もうリタイア
しろっていう神様のお告げかしら。あは。

えーっと、で、何の話でしたっけ。あ、内容の感想か(おい)。えっと、今回初めて純菜視点で
語られます。まぁ、この記事を読んで下さる方はみんなこのシリーズを読みきった強者ばかり
だと思いますので、「そんなこと知ってるわい」と思われると思いますけれども。前作の記事の
時、純菜の本心がよくわからないというようなことを書いたのですが、本書でそれがはっきり
します。おいおい、こんな女だったのかよ~!って感じです。それにしても、ウザイ。全ての
言動にイラっとします。まさか、剛士に対してほんとに『そういう感情』でいるとは・・・これは
相当、かなり、意外な事実でした。剛士と金髪美女のアレがきっかけで仲たがいしたってのは、
剛士の単なる妄想で、実際のところは違う理由があるのかと思ってたんですけど・・・そのまんま
だったとは^^;
ほぼ全篇に亘って純菜のイタイ妄想と内面描写が書かれているので、読んでる方はかなりしんどい。
しかも、いちいちツッコミを入れたくなるようなギャグとか一人ツッコミが入るのがまた相当に
ウザイ。しかも言動がいちいち古臭いし。この作品の時代設定って、一体いつになってるんでしょう。
携帯とか持ってるし、平成なのは間違いないと思うのだけど、どうも、どこを読んでも昭和の香り
しかしないんですが・・・そもそも好き好きベイビー無理無理ベイビーだしなぁ。純菜の言葉遣いも
とても高校生とは思えないおばさんくささがあるし。なんだか、高校生の話を読んでるって爽やかさ
がかけらもないんですよね・・・。今回はUKフォーク第四の至宝の単語がしつこくてうざかった・・・。
一体何回出て来たのやら。いちいち連呼するなよ!ってツッコミながら読んでました^^;
カツヒコとのエピソードもイタかったなぁ・・・。

あと、前作のラストでの剛士のあの行動が、純菜視点になってしまったせいでほとんど触れられて
いないのが不満。あんな人がヘコむようなラストを用意しておいて、大した事件にもなってない
ってのはなんなの。あんな行動起こしておいて、普通に学校に行ってるって、どういうことだ。
全く、理解不能。普通、警察に捕まると思うんですけど・・・。

ただ、いろいろ不満はありましたけど、ラストは一応ミステリっぽい結末も用意されているので、
実は思った程酷いとは思わなかったんですよね。まぁ、だいたい予想してた通りの展開では
あったのですが。といっても、全てが純菜の妄想の範囲を出ていないので、真相がどうだかは
曖昧なままですけど。純菜の心の声の正体には不覚にも(^^;)意表をつかれました。いきなり
SFかファンタジーになったよー!と思いましたけど、よく考えたら剛士の不死身だって南部の
雨男だってある意味ファンタジー要素なんだから、これもアリかぁと思ってしまった。

ところで、純菜が渚に依頼したTシャツの文字って何なんでしょうか。気になる・・・。これは
やっぱり次の巻も読めってこと?^^;
実は今日ちょうど隣街の図書館行ったから続きあったら借りてこようかと思ってたんですけどね。
前述の通り、その一冊だけ抜かしてあとはきれいに揃ってました。読む気になってたのになぁ。
・・・残念・・・でもないや(笑)。まぁ、いつか、機会があったら続きも読むでしょう。わは。