ミステリ読書録

ミステリ・エンタメ中心の読書録です。

天野頌子/「タマの猫又相談所 花の道は嵐の道」/ポプラ社刊

イメージ 1

天野頌子さんの「タマの猫又相談所 花の道は嵐の道」。

うちの理生ときたら、高校生になったというのに、泣き虫で弱気で困ったもんだ。成り行きで
はいることになった花道部は、常識破りの貧乏部。おまけに学院制覇をねらう茶道部に、活動場所
の和室をのっとられそうだという。「助けて、タマ~!」…やれやれ、おれがなんとかしてやるか
(あらすじ抜粋)。


時間がないのであらすじ抜粋。すみません^^;ポプラ社のYAシリーズ。開架で見かけて
設定が面白そうなので、何の予備知識もなかったけれど借りてみました。対象年齢が中学生
ってなってるだけに、ほんとに、ティーン向けなお話。でも、たまにこういう気を抜いて
楽しめるジュヴナイルを読むのが大好き。
二十年以上生きて、猫又になったタマの視点から語られます。タマが住む家の気弱な高校生
理生が、ほんとにヘタレなので、タマがしっかりしていて、いちいちツッコミを入れるところが
面白い。気弱すぎる理生の言動にはタマ同様、ちょっとイラっとさせられましたが^^;
ただ、タイトルほどタマが活躍してないのがちょっと残念。学校で起きた出来事を逐一タマに
報告して、アドバイスを仰ぐ理生。なんだかタマと理生の関係はドラえもんのび太のよう
でした(苦笑)。

理生の祖父は花道の家元。その関係で、理生は高校に入学すると、否応なしに無理矢理花道部に
入部させられてしまいます。理生の学校では『和室を制する者が学院を制する』との言い伝え
があって、茶道部と花道部が和室をめぐって火花を散らしています。理生は入部早々、その
諍いに巻き込まれて、何かある度にタマに泣きつくことに・・・とまぁ、こんな風にドタバタな
感じで物語は進んで行きます。いかにもマンガ的な展開とキャラで、ツッコミ所もありますが、
YAらしい軽さで楽しく読めました。花道部の新入生トリオはそれぞれキャラが違って(三人三様、
王道なキャラともいえますが^^;)、三人で力を合わせて文化祭に取り組むところなんかも
良かったです。

私自身、大学で華道会に所属していたので、親しみやすい題材というのも良かったです。
私がやっていた流派とはかなり基本用語なんかは違っていましたが。でも、部費節約の為に
個人の家や山でお花を調達ってところに笑ってしまいました。しかも、最終的には花材の為に
お花を育てる園芸部と化してるし(笑)。花道部が貧乏って設定もなかなか類を見なくて
面白かったです。まぁ、粘土と造花でお稽古しても上達しなさそうな気がしますけどねぇ^^;

しかし、文化祭でやる出し物が「おばけ屋敷」ってところにはずっこけました。柳とかすすきを
使えば花道部らしいって・・・なんか違わないか?^^;まぁ、ここでやっとタマの活躍が
見れたので良かったですけどね。

気軽に読めるYA作品。まぁ、読み応えはそれほどありませんが、私は設定やキャラなどが
好みだったので、結構楽しめました。続編が出るなら追いかけたいです。
とりあえず、猫好き、お花好きにはお薦めかな。
でも、ミステリ色はほとんどありませんので、高校生の青春小説として楽しむべき作品でしょう。