ミステリ読書録

ミステリ・エンタメ中心の読書録です。

三浦しをん/「乙女なげやり」/太田出版刊

イメージ 1

三浦しをんさんの「乙女なげやり」。

ウェブマガジン『Boiled Eggs Online』掲載「しをんのしおり」をまとめた爆笑エッセイ。
書き下ろしの「なげやり人生相談」も同時収録。


出版当時、二ノ宮知子さんの表紙(これって、しをんさんと千秋先輩だよね、多分?妄想してる
しをんさんを千秋先輩が恐ろしげに見ている、という図・・・なんじゃないかと思うのだけど)に
惹かれて、「面白そうだなぁ」と思っていたエッセイ集。でも、その頃はしをんさんの作品を
読んだことがなくて、自分が好きなタイプの作家だとも思ってなかったのでぱらぱら立ち読みする
だけにとどめていたのです。先日たまたま行った中央図書館で発見したので嬉々として借りてみた
のでした。このタイトルがまたいいですよね。なげやりな乙女・・・いいのか、それで?って
ツッコミたくなるような(笑)。でも、なんとも妄想腐女子三浦しをんを巧く表現している
タイトルで感心してしまいます。

しかし、この人のエッセイはほんとに面白いなぁ。まぁ、弱冠引いてしまうところがなきにしも
あらずではあるんだけど、ここまであけすけに自らの私生活の内情を暴露してくれちゃうと
すかっとしますね。今回も絶え間なきマンガへの情熱と素敵男子への妄想が炸裂で大いに
楽しませてもらいました。

取り上げたいネタはいっぱいあるんだけど、一番反応しちゃったのは、しをんさんが京極さんの
京極堂シリーズを読んでいて、しかも関口君を応援しながら読んでしまうというところ。
うんうん。あのウジウジしたところはついつい肩入れして応援したくなっちゃうよね!
(え、ならない?)
でも、その関口君のどもり話から発展して、実際に自分がどもってしまった体験談には
笑いました。そして、冷静に何でもない場面で自分がどもった理由を分析するところがさすが
だなぁと思いました(笑)。

あとは哀川翔兄ィの話も笑ったし、イチロー×松井の妄想話も凄かったなー^^;この『×』で
あそこまで思考が発展するんかい!と思わずツッコミを入れたくなっちゃいましたよ・・・。

マンガ話では『アラベスク』についてだけで友人と5時間も語り合える熱意に脱帽したし(苦笑)、
清水玲子先生の絵は私も本当に抜群に上手いと思っていたので共感出来ました。まぁ、私が
好きなのは初期の頃の作品なんだけどね・・・。

でも、今回もやっぱり笑わせてもらったのはご家族の話。ほんっとに、なんでこんなに家族
みんなが爆笑エピソードを持ってるのよ!?まさしく、この親にしてこの子あり、を体現している
家族じゃないですか。冷蔵庫に話しかけちゃうお父さん(ほのぼの~)、タンスの上を掃除
しようとしてキャスターつきの椅子から落ちて骨折して救急車で運ばれちゃうお母さん(だだだ、
大丈夫?)、そして、なんといっても親友と毎夜深夜のドライブを楽しんではしをんさんの
妄想に拍車をかける弟君(私も二人の関係きになる~!!)、みんな最高です。おそるべし、
三浦一家・・・。でも、自分の誕生日なのに、ねだられて弟君にフィギュアを買ってあげちゃう
しをんさん、なんだかんだいって、弟思いのいいお姉ちゃんですね(あれだけ毎回冷たい反応を
返されているのに(笑))。

なんでもない日常話をここまで面白く書けるのはやっぱりしをんさんの凄さ(+妄想の凄さ?笑)
ですよね。でも、いくら〆切り間近でなげやりになっても、乙女としての自分を捨てちゃいかんよ、
しをんさん・・・せめて、お風呂は毎日入って下さい(苦笑)。

間に挟まれる「なげやり人生相談」も、全く相談の回答になってない所が笑えました(笑)。
『常に仕事ばかりしちゃう自分をなんとかしたい』って質問の答えがなぜ篆刻しなさい』
なんだーーー^^;(ちなみに、『篆刻(てんこく)』って、掛け軸の落款のハンコを掘ることだ
そうです。は、初めて聞いたよ・・・)

ちょっと気分が落ち込んでいる時だったので、なんだか落ち込んでいるのがバカバカしく
なりました。やっぱり、沈んだ時はしをんさんのエッセイに限る。人間、楽しく生きていく上では
妄想力が大事なのね!と思い知らされます(まぁ、ここまでは要らないと思うけど・・・^^;)。
今回も楽しめました。『白い巨塔』であそこまで熱くなれるのもこの人くらいなんじゃないかしら。
私は絶対、財前先生よりかは里見先生だけどね!(単に唐沢寿明よりは江口洋介の方が好みって
だけかもしれないが←っていうか、里見先生=江口さん=救命病棟24時の進藤先生のイメージ
があるからだと思うが。熱烈な進藤ファンなのよ、私)。

今回も妄想炸裂の爆笑エッセイで楽しく読めました^^