ミステリ読書録

ミステリ・エンタメ中心の読書録です。

「このミステリーがすごい!2010年版」/宝島社刊

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このミステリーがすごい!2010年版」。

2009年のミステリー界を総括する一冊。2009年ベストテン、人気作家56人の特別
書き下ろし「私の隠し玉&私のデビュー直前・直後」、第8回「このミステリーがすごい!
大賞発表、「このミス」座談会などを収録(紹介文抜粋)。


はい。というわけで出ました。ミステリ好き最注目のランキング本、このミス。やっぱり
というか、案の定本格ミステリベスト10とは随分とランクインされる作品が違って
ました。今回の各種ミステリランキングではなかなかの好成績を残してきた私ですが、このミスが
一番成績が悪かったです。上位10作中読んでいたのは6作。ただ、未読の4作中、6位の
作品は手元にあるので読むつもりだし、7位の作品も上下巻なのでなかなか手に取れずに
いたのですが、読みたいとは思っていた作品でした。5位と8位の作品に関しては全く
ノーマークでしたし、今後も多分読まないのではないかと。8位の作家は毎年ランクイン
されるので読んでみようと毎年思うのですが、なんとなくジャンル的に手が出せないまま
今にいたってます。まぁ、今年はこの作家お得意のジャンルを良く読んだ年ではあったのですが。

では、それ以外の既読の作品を紹介。今回も各順位をクリックするとその記事に飛べるように
しておきます。書店で確認したい方はどの作品か想像してお楽しみください(笑)。ちなみに、
未読の4作に関しては書店でご確認ください(^^;)。

ではでは、堂々1位を獲得したのは名実ともにベストセラー作家のあの方が満を持して出版
したシリーズ最新作。本ミスの方では5位でしたが、このミスと文春ベストで見事に二冠を達成。
いやー、これはもう、素直に嬉しいです。個人的にもこうであって欲しいと願っていた通りの
結果になりました。1位獲得に当たって、特別にコメントを寄せていらっしゃいますが、かなり
殊勝なコメント。もっと強気に出るかと思ってましたが(笑)。でも、その後に収録されている
『このミス』座談会での逸話などを読むにつけ、大物になったなぁと感慨深いものがあります(笑)。
2位は前作の高評価を考えると当然ランキングに入って来ることは予想していましたが、ここまで
高い順位だとは。本ミスよりは当然順位は上になるだろうと思っていましたが。去年と変わらず2位を
キープ。作者にはどうやら、戦後編の構想もあるようですね。それはそれで非常に興味深い。
ここまで人気作に登りつめたからには、作者の代表シリーズとして続けて行ってもらいたいものです。
3位は、刊行がギリギリにも関わらず、さすがベテラン作家の久々の大作ということで、こちらも
本ミスと同じ順位にランクイン。本ミスよりは上の順位になるかもと思ってましたが、2位の壁は
厚かったか(苦笑)。作者の技巧がふんだんに盛り込まれた学園ホラーミステリー。傑作です。
4位は、どこのランキングでものきなみ高評価。こちらも本ミス同様の4位。確かに、この作家が
今年度に出した作品の中では一番ミステリ色が強い作品だからかもしれません。私はちょこちょこ
不満を感じるところもあったので、なんだかすでに作品の印象が薄れかけているような情けない
状態なのですが^^;この作者はほんとに、ミステリ好きから人気が高いですね。その証拠に、
10位の方にもランクイン。票割れがあったにも関わらず、4位と10位とは。本ミスの方でも
4位と11位にランキングされていたから、安定した実力と人気があることが伺えますね。
未読の5、6、7、8は飛ばしまして(^^;)、9位は、ランキング入りするかどうかが一番
気になっていた作品(笑)。なんとかベスト10圏内に入って良かった、良かった(苦笑)。
もうちょっと上に行ってもらいたかったというのが正直なところですが。でも、私個人的な
感想としても、ちょっとこの作品で上位は難しいかもしれないなぁと思っていたので、妥当な
所なのかもしれません。ただ、毎年の如くに必ずランクインされる作品を生み出している辺り、
こちらも4位の作家同様安定した実力と人気をつけてきた証拠なのでしょうね。隠し玉コーナー
のコメントを見ると、来年は更にミステリから離れた作品が続きそうとのこと。私としては、
やっぱりこれぞミステリ!っていうどんでん返しの作品を書いて欲しいと思うのですけどね。
10位は、薄い文庫の上下巻にも関わらずこの順位。作者のファンから長年刊行を待ち望まれていた
シリーズ続編がついに発売されたことで、喜んだ読者は多かったでしょう。期待に違わぬ出来で、
私も満足の作品でした。作者が最近やたらに拘りを見せているフィニッシング・ストローク
非常に効果的に使われた一作とも云えますね。ラスト一撃の黒さを是非味わって頂たい一作です。

それ以降の11位~20位までは未読と既読が5冊づつ。20位は本ミスでも気になっていた
作品で、今日図書館に行ったら発見したので確保してきました(笑)。13位も置いてあって、
借りるか非常に悩んだのですが、他に借りたい本がばかばか開架に置いてあったので今回は
涙を飲んでスルー。ちょっと面白そうな設定だったので、近々借りてみるつもりです。15位
(下に書いてある方)は現在予約中。早く回って来て欲しい。もしや、まさかのこのミス1位
もあり得るか!?と思ったりもしましたが、二度目の奇跡はさすがに起こらなかったようです(笑)。
本ミスで見事に1位に輝いたアノ作品はこちらでは18位。まぁ、そりゃ、そうだろう^^;
作品の性格を考えると、こっちが妥当な気がしますね(苦笑)。こっちでももうちょっと上行くかな、
と思っていたのでちょっと意外な順位ではありました。


海外作品は全く読んでないので紹介出来ずすみません^^;書店で確認してください^^;;
ランキング以外も読みどころがたくさん。冒頭の『ゴールデンスランバー』主演俳優、堺雅人
のインタビューに加え、先述した1位作家のロングコメント、恒例の各作家による『私の隠し玉』
コーナー、書評界の重鎮4人によるこのミス座談会、ラストには海堂尊氏の小説も(まだ読んで
ませんが・・・ってか、去年のやつも結局未だに読んでない^^;)。なかなか盛りだくさんで
ミステリー好きには楽しめる一冊となっております。個人的には新人作家の批評に注目しました。
やはり宮ノ川顕氏の『化身』は評価が高いですね。読んだ方の評価がボロクソらしい結城充孝氏の
『プラ・バロック』がやたらに評価が高いのが気になりますが。これはやっぱり読んでみるべきか。
『無貌伝』も評価が高くて嬉しいぞ(続編読めてませんが^^;)。


隠し玉コーナーでもちらほら気になる情報が出ているのですが、個人的に一番食いついたのは
やっぱり笠井潔氏の矢吹シリーズ第六作『吸血鬼の精神分析ですね。噂では改稿に5年は
かかるなんて情報も耳にしたのですが、なんとか来年出て欲しいなぁ・・・出たら間違いなく
来年の私的ミステリランキングの1位になる・・・筈。出してください、お願い。
貴志さんの『新世界より』の前日譚も気になるなぁ。なんだろ、前日譚って。
去年気になっていた鳥飼さんの『ねぇなんでニンジン食べへんの?(仮)』は、『このどしゃぶり
に日向小町は』になる可能性が高いそうです。なんだ、最初の方がインパクトあったのに(笑)。
三津田さんは文庫がいっぱい出るそうで。しかも、『作者不詳』が全面改稿して文庫化されるとか。
文庫じゃなかったのか、これ。古本屋で文庫コーナーばっかり探してたよ^^;



さて、各種ランキング本も出揃いました。まだまだ読み残しがたくさんあるので、今年中に
読める本は読んでおきたい。その前に現在読書中の大作を早く読みきりたいと思っております。
今日はまた読みたい本が何冊か借りれたので(中には蘇部さんが・・・!!笑)、スピードを
上げなければ。