ミステリ読書録

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石崎幸二/「≠(ノットイコール)の殺人」/講談社ノベルス刊

石崎幸二さんの「≠(ノットイコール)の殺人」。

沖縄本当からクルーザーで十分から十五分のところにある絶海の孤島・水波照島にあるヒラモリ
電器の保養所で開かれるパーティに理由あって招かれたお馴染み石崎と女子高生たち一行。
主催であるヒラモリ電器の社長の息子・平森英一郎は石崎の高校時代の同級生で、石崎は
大学時代、英一郎の双子の妹たちに家庭教師をしたことがあった。水波照島にあるヒラモリ
電器の保養所は研修館と呼ばれ、東塔、西塔、中央塔と三つの建物から成り立っていた。
中央塔、東塔、西塔すべてに英一郎の双子の妹・美冬と美雪の部屋があり、それぞれの部屋には
すべてのものが二つづつ用意されていた。美冬と美雪を全くの平等に扱う為だ。二人は、
一日交代で寝室である西塔と東塔の部屋を交換しながら生活していた。夕食会には、野球選手の
伊沢健司や俳優の仲田弘明など、錚々たるメンバーが顔を揃えていた。夕食を終えたあと、石崎
たち一行は石崎の部屋で麻雀に興じていたが、風呂に行った仁美が通路のガラスが割れて
怪我をしてしまう。侵入者を疑って館内を見回る石崎たちは、中央棟の美冬と美雪の部屋で
伊沢健司の惨殺死体を発見する。部屋の中では、二つある筈のいくつかのものが一つだけ
失われていた――石崎とミリア&ユリの女子高生コンビが事件の真相に迫る。


なんだか細かく書いて行ったらあらすじがいつもの二倍くらい長くなってしまった^^;
薄い本なのに^^;石崎シリーズ(っていうのか知らないけど)最新作。これも蔵書一冊だから
結構回ってくるのに時間かかりました。なぜか講談社ノベルスづいている最近。手元には
あと二冊スタンバイ(一冊は比較的新しいけど、もう一冊はかなり古い作品)。

今回も、『島か?島なんだろ?』と石崎が危惧する通り、島に行かされます。ほんとに、
絶海の孤島が好きだね。冒頭の石崎の報告書にミリアとユリが同じ身長で同じ体重って書いて
あって、驚きました。これ、ほんとかな。二人の区別がつかないっていうかねてからの批判を
逆手に取った作者に一本取られた感じ。ほんとに、体型も双子みたいなんじゃないの。そんな
情報前に出てきてたっけ?私が忘れてただけか・・・?身長148センチ体重40キロの人間が
揃うって、そんな偶然あるかしら・・・とかっていう、ツッコミはしちゃいけないのよね、多分。

今回も女子高生コンビの石崎いじりがヒートアップしていて楽しめました。それを受けた石崎の
めげない切り返しも相変わらずで嬉しい。ここまでいじり倒されているのに、飄々と受け流す
石崎って、ほんとに打たれ強いひとだなぁって思うわ。会話文にセンスがあるとは到底思えない
のに、なぜか笑っちゃうんだよね、このシリーズ。寒いオヤジギャグを連発する女子高生コンビと
冴えないおっさんの会話だけでも十分楽しめている私って変なんだろうか。

まぁ、ミステリとしてもそこそこ(笑)面白かったです。犯人わかりやすすぎだけど、遺体が
左側だけ損傷を受けていた理由には唖然呆然。二つあった筈のものが片っぽだけなくなっていた
理由はちょっと拍子抜けではありましたが。
俳優の仲田の存在理由がいまいちなかったよなぁ、と思っていたら、ラストでそこもちゃんと
理由が述べられていたのですっきりしました。
それに、今回は謎解きの後の石崎と由香里の会話にちょっとジーンとしちゃいました。不覚にも。
やるじゃん、石崎さん。ちょっと見直したぞ。アホなことばっかりいつも言ってるから、こんな
気の利いたことが言える人だとは思わなかったわ(酷)。

200ページちょっとしかないのに、殺人が起きるのが90ページ辺りっていう、展開の
遅さにはやれやれと思ったし、いろいろツッコミ所は相変わらず満載ではあるのだけれど、
なんだかんだで今回も楽しめちゃいました。おおっぴらに認めたくないけれど(なぜ?^^;)、
結局このシリーズの続刊を心待ちにしている自分がいるんだよね。なぜかついつい擁護したくなる
このシリーズ。今後もこの作風を貫いて欲しいと願います。
それにしても、石崎さんって○○○ネタが好きだねぇ。真相部分を読んで『ま、また?』って
思いました^^;タイトルは真相読めば納得出来ましたけどもね。『同じじゃない』って
ことですよね(読んだ人ならわかるはず)。