ミステリ読書録

ミステリ・エンタメ中心の読書録です。

鳥飼否宇/「このどしゃぶりに日向小町は」/早川書房刊

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鳥飼否宇さんの「このどしゃぶりに日向小町は」。
 
暗雲立ち込める綾鹿市山中のサナトリウムの前に、20年前解散した伝説的ロックバンド〈鉄拳〉の
元メンバーたちが集結した。薬物依存症で脱退し、闘病の末亡くなった天才ギタリストルビー。その
遺体は身内にも知らされぬまま即日荼毘に付され、形見の紙片には暗号めいた文字が記されていた。
ルビーの死に不審を抱いたメンバーたちは、真実を追って病院の門扉を叩く。それが新たな崩壊への
序曲だとも知らず……迫りくる嵐が呼ぶ衝撃の結末とは?(あらすじ抜粋)
 
 
 
えー、久々にちょっと黒べる子よりの記事となっております(出たーー^^;)。
未読の方はご遠慮頂いた方が良いかもしれません。
読む場合は自己責任でお願い致します。
 
 
 
 
 
 
 
楽しみにしていた鳥飼作品・・・だったんだけど、うーん。これはちょっと自分的にはハズした感じでした。
読み始めて、『鉄拳』とか『廃墟と青空』とか『アイダアキラ』とかの単語にアレ?なにやら既視感
・・・と思ったら、『痙攣的』に出て来たキャラたちではないですか。おお、アレの続編か~とわくわく
しながら読み始めたのですが、読めども読めども、出て来るのは残虐な暴力シーンやらエロやら
うさぎ虐待やら。サナトリウムにいる研究員たちはことごとく狂った人間ばかりで、読めば読む程
こちらの気が滅入るようなシーンばかりでした。でも、これも最後にはまた『痙攣的』のようにラストで
ぶちかましてくれるに違いない、と信じて読み進めて行ったのに・・・バカミスという意味でも、普通に
ミステリという意味でも、どちらにしても鳥飼さんらしいカタストロフが得られたとは言い難い。一番の
キモはルビーの正体なんだろうけど、はっきり云ってそれも「ふーん、だから?」ってぐらいの真相。
だいたい、その正体、唐突すぎるだろ!ってツッコミ入れたくなりましたもの。何の伏線もなかった気が
するんですが・・・。
一番げんなりしたのは入村が○を○○られるシーン。主要登場人物だった筈なのに、この扱いかよ
・・・と鳥飼さんを恨みたくなりました。そこまでしなくても・・・といっても、他の人物も大なり小なり
似たり寄ったりの末路なんですけど・・・。
あと、当初の作品タイトル予定だった『ねぇなんでニンジン食べへんの?』の章もショッキングだったなぁ。
このタイトルが面白くって読みたいって思ってたのに。出だしは良かったのです。冒頭でうさぎのいとおしい
ところを羅列して行く過程にほのぼのとしていたら、その後の展開に絶句。なんでそこまで残虐な描写に
する必要があるのか疑問。悪趣味としか思えなかったです。平山さんの残虐描写は、あれはあれで
必要性を感じるしカラーだから許せてしまうところがあるのだけど、鳥飼さんの残虐描写はなんでか
生理的に受け入れがたく、不快感しか覚えなかったです。うさぎのところがとにかく酷かった・・・。
 
なんかもう、不条理なだけの作品でしかなかったところが残念。『痙攣的』のキャラをわざわざ
使い回して、この仕打ち。一体何が書きたかったんでしょうか、鳥飼さんは。残虐描写があったとしても、
最後にミステリとしての仕掛けがあるならまだ受け入れられたのですが、それすらもなく。
クライマックスの音楽でルビーを目覚めさせようとするところも、唐突すぎて読みどころになってない。
うーん。残念。『痙攣的』の○○のようなぶっとんだ真相がまたあれば良かったのになぁ。
久々に黒べる子な記事になってしまった・・・まさかの鳥飼作品で登場とは・・・。
個人的には不快なだけの読書でした。こういうサイコで不条理なのが好きなひともいるんだろけどね。
キワモノ好きなら面白く読めるのかなぁ。
 
 
それにしても、記事の投稿形態が随分変わったんですね。使いやすくなったようで、結構使いづらい
気がするんですが・・・。太字とか画像貼り付けとかは便利そうだけど、右クリックで本文コピーが出来ない
のがすっごい不便です・・・(エラーの時の保険として、メモパッドに本文コピーしながら書いているので)。
やり方何かあるのかなぁ。慣れるまで苦労しそう・・・。