ミステリ読書録

ミステリ・エンタメ中心の読書録です。

はやみねかおる/「機巧館のかぞえ唄」/講談社青い鳥文庫刊

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はやみねかおるさんの「機巧館のかぞえ唄」。

推理作家平井龍太郎の作家デビュー50周年記念パーティに招かれた夢水探偵と岩崎三姉妹。
会場となったG県の人里離れた山奥に建つ機巧(からくり)館を訪れた一行はパーティに出席
するが、パーティの途中で挨拶をした後、書斎に引き上げた作家の平井が忽然とその部屋の中から
消えてしまった。そして、パーティの挨拶で作家が最後につぶやいたかぞえ唄の通りに次々と
事件が起こる――(第二部『夢の中の失楽』)。夢水清志郎事件ノート第6作。


本当に久しぶりの夢水シリーズ。いつでも手に取れると思うと、ついつい先延ばし、先延ばしに
しちゃって続きが読めないものですねぇ。どこまで読んだかいつもすぐ忘れちゃうせいもあるの
ですが^^;
今回も三部構成。短編の一部と三部の間に中編の二部が挟まれています。中編はなかなか凝った
構成になっていて、読ませる作品になっています。ジュヴナイル向けとはいえ、きっちり本格
ミステリを意識しているところがこのシリーズの良いところ。今回も見立てに密室からの消失と、
しっかり本格要素たっぷり。しかも、○○トリックを使って意外な結末を演出しているのも
なかなかニクイ。冒頭の引用からもわかるように、講談社ノベルスで出た勇嶺薫名義の『赤い
夢の迷宮』の原型とも取れる作品かもしれません(あちらはもっと幻想的な作品になって
ましたが)。
作家の平井のパーティに参加した推理作家たちの顔ぶれにニヤリ。といっても、あとがきを
読むまで黒い革てぶくろをした京極さんのことしかわかってなかったのですが^^;
マジックを披露したのは故泡坂さんのことでしたか。人形を持ったマリオネット使いって
誰のことだろ?我孫子さん?(鞠夫から連想^^;)あと、もじゃもじゃ頭の長身痩躯で
エレキギターをかき鳴らしているのは島田さん??(完全に御手洗さんのイメージそのまま)
機巧館を建てる時にははじめ建築家の中村に断られてるし(笑)。はやみねさんの遊び心が
ちょこちょこ伺えるところが嬉しいですね。このシリーズにしては結末は重く、後味のあまり
良くない終わり方をしていますが、タイトルからもわかるように『匣の中の失楽』のような
酩酊感のある衒学的な作品を目指したのでしょう(といっても、『匣の中~』未読なので
一般的な知識から推測してるだけですが^^;)。

二部が重い作品のせいか、三部は一転、このシリーズらしいほのぼのした明るい作品で良かった
です。突如赤ん坊の世話をすることになった教授の奮闘が微笑ましい。いつもはどっちが赤ちゃんか
わからないような世話の焼ける人間なのに、赤ちゃんの為に、自らのライフスタイルを規則正しい
生活に変えてまで赤ちゃんの世話を頑張る教授の姿に感動。それに、何より、その子が大人に
なった時に真実を知って辛い思いをしないように、嘘の推理でその子の未来を守ってあげた教授の
優しい謎解きにまたもやられました・・・。どんな事情があっても、やってはいけないことを
してしまった大人を戒めるような教授の言葉はやはり重みがありますね。教授の言葉は、いつも
一番大事なことを教えてくれる気がします。普段はあんなにだらしなくていい加減そうなのにね。
赤ちゃんから開放された教授が寂しそうにしているのがちょっと切なかったです。でも、教授の
名探偵特訓を受けた創人君が名探偵として活躍する話ってどれのことだろ?創人って名前、
聞き覚えがあるような、ないような。まだ書かれてないのかな?ご存知の方、教えて下さい~^^;;


まだまだシリーズ読破までは長い。1時間半もあれば読めちゃうから一気に読破するのも
そんなに大変じゃないとは思うけど、それは勿体ないので、私の中ではのんびり追いかけて
行きたいシリーズなのです。