ミステリ読書録

ミステリ・エンタメ中心の読書録です。

古川日出男/「MUSIC」/新潮社刊

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古川日出男さんの「MUSIC」。

響き、響き。き、キキキ。聞こえてくるよ、猫笛、祝祭、大地の歌声――。無敵の超野生猫スタバ。
猫笛を操る少年佑多。群を離れ独り走る少女美余。性同一性障害の北川和身。猫アートの世界的権威
JI。心に喪失を抱えた人間たちは、一匹の猫によって東の都東京から西の都京都へと引き寄せ
られる。古川日出男が紡ぎ出す孤独と奇跡の物語(あらすじ抜粋)。



え、えっと、またまた黒べるよりの記事となっております。古川ファンの方、本当に
申し訳ない・・・。すみません、すみません^^;;
古川ファンはもちろん、未読の方、批判記事を読みたくない方、どうぞお立ち去り下さいませ。








久しぶりの古川さん。これは書店で平積みになっているのを見て、面白そうだな~と思って
チェックしていた作品。と、読み始めて読書メーターの『読んでる本』登録をしつつ他の方の
感想をちら見したら、本書、『LOVE』という作品の続編だということが判明。ガビーン
と思いながらも、読んでなくても大丈夫という言葉もあったので、気を取り直して読み進めて
行った訳なのでしたが・・・えーと、えーと。ほんと、すみません。一言で言って、



さっぱりわからん。



・・・でした。これは、前の作品を読んでないとかそういう問題じゃないんです。単独で
読んでも全く差し支えないのは確かだと思います。というか、このお話にどういう前日譚が
あったのか、全然想像出来なかった位なので^^;一体、どのキャラが繋がっているんだろ。
多分、根っからの古川ファンなら、この独特の文章を読んでいるだけで満足なんでしょう。
音楽を聴いているように、文章を読む。脈絡もなく、前後の繋がりもないような物語でも、
文章が心地良く読めればそれで十分と満足すべき作品・・・なんだろうと、思う。のだけれど、
はっきり云って、私にとっては苦行以外のなにものでもなかったです。この文章を読むのは。
だって、ほんとに、何が書きたいのかわからないんだもの。私のような凡人には到底良さが
理解できない程の高みにある文章と物語なのかもしれません。というわけで、ごくごく平均的な
本読みの私にはさっぱり何が書きたいのか読み取れませんでした・・・。天才猫のスタバの
キャラはなかなかハードボイルドな感じでカッコ良かったので、もっとこのスタバ中心の物語
に焦点をしぼったら、もう少し楽しめた気がする。あと、スタバの朋友、ユウタとの友情の
部分をクローズアップさせるとか。ユウタのパートも、突然ユウタが30歳を過ぎた未来の
話(しかもかなり悪どいことをやっている厭な未来)が挟まったかと思うと、また13歳に
戻ったりして、時系列もめちゃくちゃで、頭の中大混乱。
読んでいて、キャラ設定とか会話文とか、何度も舞城さんを思い出したのだけれど、私には
どう読んでも古川さんの文章が舞城さんのように疾走感があるように感じられなかった。似てる
気がするのに、決定的に違う。何度も読むのをやめたくなった。自分でも、良く全部読み通した
ものだと思う。『挫折』の二文字も何度も頭をよぎったのだけれど、半分過ぎた辺りからは完全に
意地。この理解不能な物語をここまで読んだんだから、最後まで読まなきゃ気がすまない、みたいな。

とにかく、文章が肌に合わなかったとしか言いようかない。ストーリーも何が書きたいのか
さっぱりわからなかったし。猫(スタバ)鴉(大群)の戦い・・・が一応のテーマなのかなぁ。
特に、一番イライラしたのはJIが出て来るくだり全部。JIのしゃべり方がとにかく癇に障った。
天才アーチストだかなんだか知らないけど、語尾の『~だにゃぁ』とか、『ぬふ』とか、話す言葉が
いちいち、不快で不快で背筋がぞわぞわ。キモチワルイ。厭だ。キモいから出てくんな!って出て
来る度に思ってました・・・。

去年行った京都の街の観光スポットがちょこちょこと出て来たところだけは楽しめましたけどね。
伏見稲荷とか西陣織会館とか、三十三間堂とか・・・。特に伏見稲荷の千本鳥居と三十三間堂
千躰の仏像の迫力は、未だに記憶に鮮明に残っているので、映像が頭に浮かびました。



うう。久しぶりの古川さんだったのに、悲しい。『ベルカ』とか『gift』とか大好きだったのに
なぁ。多分『LOVE』もこんななのかな。絶対やめとこう・・・。
文章を楽しむべき作品で、文章自体が肌に合わないって当たり前だけど、致命的だって痛感
しました。多分、コアな古川ファンなら楽しめるんだろうなぁ・・・私にはまだまだこの作品
に当たるには修行が足りませんでした・・・残念。
ちょっと、当分古川作品はいいかな・・・。読み終えて、疲労困憊、でした。ほんと、疲れた
(特に、最後の30ページ・・・読んでも読んでも終わらなくて泣きそうになりながら読んで
ました・・・^^;)。