ミステリ読書録

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「オルセー美術館展2010 [ポスト印象派]」

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東京・六本木 国立新美術館オルセー美術館展2010 [ポスト印象派]」

オルセー美術館の珠玉のコレクションの中から、絵画の傑作115点を一堂に展覧。モネ《ロンドン
国会議事堂、霧の中に差す陽光》、セザンヌ《台所のテーブル(篭のある静物)》、ゴッホ
《自画像》、ルソーの《蛇使いの女》をはじめ、初来日する作品は約60点。


お騒がせ建築家(^^;)、故黒川紀章氏が手掛けた国立新美術館で開催中のオルセー美術館展。
ようやく行ってきました。
木曜にも関わらず、ものすごい人。平日でこれだけ混んでいるのだから、祝日は推して知るべし。
平日にお休みがあるってほんとこういう時便利だなぁと思うのだけれど。

とにかく、まず着いて驚いたのは美術館のデザインとその広さ。な、なんじゃこりゃ、って感じ。
実は、建設途中の時に近くを通りがかった時にも「あのヘンテコな建物は一体何なんだ」と思った
ことがあったのだけれど、実際中に入ってもその造りの面白さに目を見張りました。さすが、
有名建築家が作っただけあるというか。ガラスで覆われた外壁は優美な曲線で形作られ、採光
も豊か。館内も広々としていて、空間がゆったり作ってあるって感じ。六本木の一等地に
この広さの美術館を建てるってところがすごいなぁと思うのですけれど、一体どれだけのお金が
かかっているかと思うと気が遠くなりそうです・・・。

美術館外観。真ん中の木が邪魔でよくわからないかもしれませんが、この木がないと逆光で巧く
写真が撮れなかったと思われ^^;
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というわけで、建物だけで圧倒されつつ、まずは昼食を食べる為、以前からここに行くなら絶対に
行ってみたいと思っていた、三階のフレンチレストランブラッスリー ポール・ボキューズ ミュゼ』へ。
フランスで三星を獲得したポール・ボキューズ氏のお料理がお手軽価格で味わえるというお得な
お店。11時オープンということなので、11時過ぎに行ったらすでにすごい行列が。結局、
40分程待たされて店内へ。一番お安い限定70食のランチセットがすでに売り切れだったので、
その上のプリフィクスランチコース 2,860円也を頂きました。パンのお供にフランスで有名な
エシレバターがつけられるというので一緒に頼む。一度食べてみたかったんだ~。ウマい!
お料理もそこそこ美味しかったのですが、デザートのクレームブリュレの美味しさに感動。
大好きな映画アメリを観て以来、クレームブリュレの上の茶色い飴の部分をスプーンで
ぱきぱき割るってのをずっとやりたいと思っていたのだけど、日本で食べるクレームブリュレって
ほとんど上の飴の部分が柔らかくて、それが出来るクレームブリュレに出会えなかったのです。
でも、ここのはばっちり、飴部分が固くて、さすが、本場のフランス流。アメリに成りきって、
思う存分ぱきぱき出来ました(笑)。


メインのチキン(料理名は忘れました^^;)。ちなみに前菜はグリーンピースの冷製スープでした。
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デザートのクレーム・ブリュレ。茶色い部分が固い飴状になっています。絶品。
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食事が終わったところで、いざオルセー!
オルセー美術館といえば、フランスではルーブル美術館に次いで有名な美術館。個人的には駅舎を
改造した建物の雰囲気が大好きで、ルーブルよりも好きな美術館。もちろん建物だけじゃなく、
展示品も超一級品ばかりですし、展示の仕方がルーブルよりも観やすいからというのも大きい。
今回はそんなオルセー美術館から錚々たる画家たちの作品がズラリと貸し出されています。
本家オルセーはただいま改装中で休館だそうなので、今回の贅沢な展覧会が実現したそうな。
今フランス行っても損だね(苦笑)。

今回の大きなテーマの一つがポスト印象派。ポスト印象派とは、印象派の後、1880年代に
活躍した画家たちの総称だそうな。つまり、印象派の流れを汲んでいる画家も中にはいるかも
しれないけど、印象派とは違うよん、と区別する為に便宜的につけられた呼び方らしい。へー。
ゴッホセザンヌゴーギャン辺りを主に指すのだそう。後期印象派とも呼ばれますね。

展覧会は、まずは印象派の画家たちの作品から始まります。モネ、ドガシスレーピサロ
から始まって、新印象派のスーラ、シニャックなんかの点描技法の作品へ。印象派の画風が
少しづつ変化して行くのがよくわかります。私としては、点々描写よりは、モネやルノワール
シスレーなんかのザ・印象派!みたいな画風の方が好みなんだけど、点描画も画家によって
いろんな技法があって、観てると面白かった。


クロード・モネ『日傘の女性』
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クロード・モネ『睡蓮の池、緑のハーモニー』
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ポール・シニャックマルセイユ港の入口』
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なんといっても、今回の展覧会で一番感動したのはモローのオルフェウスとの再会。今回来て
いると知らなかったので、遠くからこの絵を発見した時は本当に嬉しかった。初めてオルセーに
行った時、一番記憶に残っている絵がモローのこの『オルフェウス』だったから。この絵が
再び生で観れたってだけでも、今回観に行った甲斐があったというもの。綺麗だったなぁ。
しばし絵の前から離れられませんでした。




次点はゴッホ『星降る夜』。夜の空に輝く星々の光が、水面に反映している様がなんとも
美しく幻想的に描かれていて、素晴らしい絵です。手前にこの美しい夜の情景を眺めている夫婦
らしき男女がいるのもいいですね。
上空に描かれる星の中にしっかり北斗七星が描かれているのもちょっと楽しい。ゴッホの夜の情景
の絵って好きなんだよね~。




そして圧巻だったのはやっぱりルソーの二枚。絵の吸引力の凄まじさに圧倒されました。
ごちゃごちゃ解説するよりも、これは絶対生で観て欲しい絵です。あっけらかんとしたような
明るい画風と色使いなのに、描かれているものはなんともグロテスクで意味深。観ていると、
絵の中に引き込まれそうになります。今までルソーの絵でここまで感銘を受けたことは
なかったのだけれど、今回はなんだかすごく胸に迫るものがありました。



アンリ・ルソー『蛇使いの女』
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以前展覧会に行けなくて残念だったハンマースホイの絵が一枚だけあったのも嬉しかった。
女性の後ろ姿っていう、題材的には非常に地味な絵なのに、なぜか引き込まれました。





点数的にはそんなに多くもなかったのだけど、ちょこちょこと見ごたえのある大物の絵が
登場するので、なかなか見ごたえのある展覧会でした。やっぱり、本物の持つ迫力って、
実際観ると違うっていのを痛感しますね。本場のオルセーに無性に行きたくなりました。
前回のマネ展でも思ったけど、ほんと、パリ行きたいなぁ・・・。

同じ階でやってる書道展もさらりと観て来たのですが、なかなか面白かったです。特に一番奥の
方にあった、学生書道コーナーが面白かった。「なぜコンクールに出品するのにこの言葉を?」
って首を傾げるような、ヘンテコな言葉を書いてる子とかいて、笑えました。『赤い屋根』
とかね(笑)。


美術館を出た後は東京ミッドタウンの一階にあるショコラティエジャン・ポール・エヴァンでお茶。
濃厚なチョコレートケーキが美味でした。コーヒー頼んだら、ミルクも砂糖もついて来ない
と言われました。砂糖入れた飲み物とチョコレートを一緒に食べて欲しくないってお店の
方針なのかなぁ。珍しいですよね。

ジャン・ポール・エヴァンのチョコレートケーキ(詳細な名前は覚えてません^^;)。
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教科書に載っているような絵がいっぱい展示されていて、とても贅沢な展覧会でした。
風変わりな美術館の建物自体も一見の価値あり。是非多くの人に足を運んで欲しいと思います。

~8月16日(月)まで。