ミステリ読書録

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「華麗なるアリバイ」

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「華麗なるアリバイ」

フランスの小さな村にある上院議員の邸宅に、招待客が次々とやってきた。精神分析医のピエールは
クレールと結婚してからも、何人もの女性と関係を持っていた。その夜には現在の愛人である彫刻家
エステルばかりか、過去の愛人で女優のレアもやって来た。さらにエステルを愛する作家の
フィリップ、フィリップに想いを寄せるクロエも同席。翌日、一発の銃声と女の悲鳴が響いた。
プールサイドでは血を流したピエールが倒れていた…(あらすじ抜粋)。



原作はアガサ・クリスティ『ホロー荘の殺人』。ということで、面白そうかな、と思って
夏休み中に観に行ってきました。実は、今月の一冊、本当は借りられたらこの原作にしようかな、
と考えていたのだけれど、残念ながら図書館で発見することができずに断念。古本屋も探したの
だけど、売っていなかったし。というのも、映画を観た時に人物関係が全然把握出来なかったの
ですよ。被害者のモテ男の周りにはたくさんの愛人がいて、なんかもう、誰が誰だかわけが
わからない状態の中で突然殺人が起きるから、推理とか誰が犯人とか考える余裕が全くなくて。
フランス映画だからまったりした雰囲気でストーリーが進むものだから、眠気まで襲って来る
始末。だから原作をちゃんと読んで、もう一度おさらいしたいなぁと思ったのです。ただ、
この作品、原作とは大きく変わっている設定があるんです。しかも、えっ、それ変えちゃうの!?
っていう、驚くべき変更。というのは、原作はかの有名なエルキュール・ポアロを探偵役に
据えたシリーズ作品なのですが、この映画にはポアロが登場しません・・・!!
えー。って感じですが。まぁ、ポアロを登場させるには、彼の活躍が少なすぎるので、別の
どうでもよさそうなキャラを探偵役に据えたのだとは思うのですが。ポアロだとキャラ強すぎ
ちゃうだろうしね。でも、やっぱりほんのちょっとでも探偵役はポアロにして欲しかったなぁ。

でもって、映画の原題は『Le Grand Alibi』。直訳すると『大いなるアリバイ』みたいな感じ
でしょうか。ま、確かにアリバイの部分に関してはタイトル通りではあるんですが。でも、
トリックや犯人は、正直、意外性ほとんどゼロ。だからこそ、余計に原作がどうなってるのか気に
なりました。ネットで検索していたら、どうやらいろいろ脚色はしてあるようですが、犯人自体は
原作と一緒らしい。ということは、トリックもそうかな。あんなあからさまなトリック?と
ちょっと肩透かしなところはありました。文章で読むとまた違うのかなぁ。
どちらかといえば、犯人やトリック云々っていうよりは、登場人物の複雑な人間関係や心情の方を
見所にしたかった感じなのかな。といっても、手癖の悪い被害者には嫌悪しか感じませんで、
そんな男の虜になる女の心理にも全く共感出来なかったですが・・・。単なるオッサンやん!って
ツッコミたくなりましたよ(なぜか関西弁)。
はっきり云えばあんな行動を繰り返していたら、遅かれ早かれ同じ運命になっていたでしょう。
その点に於いては犯人に同情すべき点もあるかな、と思いました。因果応報、自業自得ってやつ
ですね。ただ、終盤の犯人の豹変っぷりにはちょっとしたサイコホラーなみの怖さを感じました・・・^^;;
ラストシーンになって突然緊迫感が増してサスペンス色が強くなるので、かなり面食らわされました。

それにしても、お盆時期とはいえ平日だったからそれほど混んでないかとタカをくくっていたら、
満席で驚きました。クリスティ人気なのか、お盆だったからなのか、映画自体に人気があったのか、
その辺りはよくわかりませんでしたが。渋谷のル・シネマで観たのですが、映画館自体も人気
あるんですよね。単館っぽい映画ばかり上映するから、一館集中みたいなところがあるのもそうだし、
独特のハイソな雰囲気があるところだから、松濤マダムなんかにも人気あるし。いつ行っても、
客の年齢層が高いしね。渋谷の映画館とは思えない雰囲気があるんですよね~。

映画全体の出来としてはちょっと首を傾げるところもありましたが、映像はフランス映画っぽく
お洒落でアンニュイな雰囲気があって良かったです。



映画の後は暑かったのであまり歩かずに済む文化村の向かいのダイニングバー(?)みたいなお店
でお茶。多分新しいお店だと思うけど、ここ、内装がとにかく変。お店の中にでっかいミラーボール
があるかと思えば、お花を飾ったシャンデリアがあったり、木が植えてあったり。なんとも
統一感がない。
面白いんだけど、このお店のコンセプトは一体何なのだ、と問いかけたくなった。
ただ、給仕してくれたウェイター(?)さんがやたらに今風のイケメンだったからどうでも
よくなった(←おい)。


お店に飾ってあった鏡ごしに撮ったお店の内装。ミラーボールとシャンデリア、普通一緒に
しないよねぇ?^^;奥の照明も統一感まるでなし。どんなセンスだよ、と言いたくなった・・・。
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私が頼んだのは左のガトーショコラ。右は知人に写真を見せたら『じゃがいも?』と言われて
しまったけれど、りんごまるごと一個使ったアップルパイです。なかなか斬新なビジュアルの
アップルパイですよねぇ。どこがパイ!?と思われるかもしれませんが、りんごの下にちょっぴり
パイ生地が存在します(笑)。一口もらったのですが、パイ生地はさくさくで美味しかったの
だけど、りんご部分は生っぽさが残っている程度の煮方なので、私にはちょっとキツかった
です・・・(←生のりんごが食べられない人)。ガトーショコラは普通に美味しかったです(苦笑)。


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内装もさることながら、メニューも結構変わってて、お茶だけじゃなくて食事もしてみたく
なりました。あと、手作りのジンジャーエールがメニューにあって、すごく飲んでみたくなり
ました。今回はケーキ頼んじゃったから、頼まなかったけど。手作りのジンジャーエールって
すごく美味しいんだよ、と昔友人から聞いたことがあって、いつか飲んでみたいなーと思って
いたので。また文化村に行く用があったら利用したいですね(内装変だけど←まだ言ってる)。



まぁ、久しぶりにフランス映画が観れて良かったかな。仏語は単語と簡単な日常会話くらいしか
聞き取れなかったけれどね・・・(衰退の一途)。
とりあえず、図書館で『ホロー荘の殺人』を見かけたら「今月の一冊」にしようと目論んで
おります(苦笑)。