ミステリ読書録

ミステリ・エンタメ中心の読書録です。

三崎亜記/「コロヨシ!」/角川書店刊

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三崎亜記さんの「コロヨシ!」。

20XX年、掃除は日本固有のスポーツとして連綿と続きつつも、何らかの理由により統制下に
置かれていた。高校で掃除部に所属する樹は、誰もが認める才能を持ちながらも、どこか冷めた
態度で淡々と掃除を続けている。しかし謎の美少女・偲の登場により、そんな彼に大きな転機が
訪れ―一級世界構築士三崎亜記がおくる奇想青春小説(あらすじ抜粋)。



申し訳ありませんが、この作品をこれから読もうとされている方、この作品並びに三崎亜記
ファンの方、否定的な読書レビューを読みたくない方、どうぞお立ち去り下さいませ。結構辛辣な
レビューになっております。すみません・・・。









えーと、久々(でもない?)の黒べる登場作品です。っていうかね、もう、ほんとに私はことごとく
この作家とは合わないんだなぁというのが身に染みてよくわかりました。それは以前から重々承知
だった筈なのだけれど、本書は今まで出た作品とはずいぶん雰囲気が違うらしいし、掃除を
スポーツにしたっていう設定だけでも面白そうな感じがするし、だったら私でもイケルかも!?
・・・なんて思ってしまったのが間違いでした。
いや、ねぇ、多分これ、面白いと思える人はほんとに面白い作品なんだと思う。でも、私には
面白いと思える要素が全くなかった。とにかく、作品世界に全く入って行けなかった。そもそも、
読み終えて一番強く感じるのは、『これ、別に掃除じゃなくても良かったんじゃないの?』って
こと。敢えて『掃除』を競技にしなくても、もっと別の全く違う名前の競技にしちゃった方がまだ
入って行けたんじゃないかって思う。中途半端に掃除の要素が入っているから、なんだかすごく
違和感を覚えるし、反発心が芽生えてしまう。だって、掃除に華麗な舞とか使われても。スポーツ
としての『掃除』というものが、全く頭に思い描けなかったのが最大の敗因でしょうか。掃除を
スポーツに置き換える必然性が何ら見いだせなかったというかね。
あと、掃除に関する特殊用語も全く用語解説もなく普通に使われているのがすごく不親切に
感じました。私がこの方の作品に苦手意識があるのは、いつもそこの部分なんですよね。基本的に
いろんなことの説明が圧倒的に足りなくて、作者としては敢えて説明をつけずに、その世界観を
楽しんで欲しいと思っているのかもしれないけど、私にはそれがすごく不親切に思えて消化不良に
感じるのです。全部を説明しろとは言わないけど、最低限説明して欲しい部分はきちんと書いて
欲しいと思ってしまう。
『掃除』という競技に対する専門用語なんかも、ほとんど説明らしい説明がなく使われているもの
だから、今どんな動きをしているのかとか、全然頭に思い描けなかったです。
緑香双樹でのシーンはさらに酷い。もう、専門用語が羅列されすぎて、何が書いてあるのか
さっぱり意味不明だった。高校生たちの話なのに麻薬みたいな違法薬物だの、『掃除』での対戦
賭博だの、怪しげな設定がばんばん出てくるし。ちょっとやりすぎに感じて引いてしまいました。
梨奈が樹に対してあそこまで嬢様然と振舞う理由も、樹が梨奈に頭があがらない理由も、結局
わからないままだったし。続編を念頭に入れて書かれているとしたら、その辺りは今後明かされる
のかもしれませんが。雑誌では実際続編の連載がスタートしているようですし、広げきった風呂敷
に関しては、今後少しづつたたまれて行くのかなって気もしますが。でも、私はもう続きが
出ようが読む気はありませんが・・・。


なんかもう、ほんとに疲れました。読んで行けば少しは面白くなるかも、という10%の
期待と、90%の惰性と意地で読み通したものの、読み終えて残るものは何もなかった気が
します・・・。実は最初100ページくらいまで読んで挫折するか悩んだんですよ。取り敢えず
一時お休みして他の作品に浮気したものの、やっぱりもうちょっと読んでみようと再開して、
その後何度も挫折しかけながら惰性で読み続け、最後はほんとに単なる意地だけで読み切りました。
樹や偲のキャラは悪くはないとは思うけど、思い入れるにはなんだか薄いし。
二人の恋愛模様でももう少し描かれていたら、もうちょっと楽しめた気がするんだけどな。

そもそもねぇ、掃除のシーンがとにかく退屈だったんだよね・・・。だいたい、私、ハリポタでも
クィディッチのシーンが一番つまんなくて、ほとんど読み飛ばしてる不届き人間なんですよ・・・。
馴染みのない競技の対戦シーンを文章で延々読まされるって、ほんと苦痛。それが頭に思い
描ければ面白いんだろうけどね。




三崎ファンのみなさま、本当にこのような記事で申し訳ございません。
ワタクシ、今後一切この方の作品には手を出さないようにしようと思うので、どうか
今回ばかりはお許し下さいませ・・・。
はぁ・・・(へこみ中)。