ミステリ読書録

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「上村松園展」

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東京・竹橋 東京国立近代美術館 企画展ギャラリー 上村松園展」


京都に生まれ育ち、円山・四条派に連なる画家に学び、文展等官展系展覧会に高い気品の漂う
人物画を発表して活躍した上村松園(1875–1949)。今展は、《舞仕度》《焔》《砧》など、
より質の高い代表作約90点によって、松園の画業を回顧するとともに、松園芸術の本質を改めて
探る(概要抜粋)。



私が伊藤若冲と並んで、大好きな日本画家、上村松園。大々的な展覧会が久しぶりに開催
されると聞いて、これは絶対に行こうと決めていました。前期後期で展示が入れ替わる
ということで、私の好きな『焔』'が観れなかったのは返す返すも残念でしたが、それと
並んで好きな『花がたみ』が観れたから、まぁ、良かったです。有名な『序の舞(↑の
パンフレットの絵です。非常に大きくて、迫力のある作品)も観れたし。
それに、とにかく、どの絵も本当~~~~~にため息が出るくらい、美しい。ただただ
絵に魅入られてうっとりしながら、じっくり鑑賞してきました。
といっても、混むと聞いて平日の割合早い時間に行ったにも関わらずものすごい人!!
いやー、びっくり。そういえば、この間竹橋のこの美術館でやったフジタ展も平日
だけど死ぬほど混んでいたのだった・・・。

松園の柔らかな女性の表情とか身体の線とか着物のしわとか、どれをとってもほんとに
きれいで優しさを感じます。細部(服の柄とか小物とか髪飾りとか)の描き込みの繊細さや
精密さにもなんども目を瞠りました。色っぽい女性の目元やうなじにもその都度目を奪われ・・・
どの絵にも松園の煌めくばかりの才能が溢れていて、本当に素晴らしかったです。
あー、やっぱ大好き。
女性ならではの柔らかい筆遣いが観ていて本当に心地良く、心癒されました。

あと、感心したのは、対象物がなくても、その対象物の存在が絵の中にしっかりと
感じられるところ。
例えば『朝ぞら』『待月』なんかでは、直接画面上に空や月は描かれていないのに、
女性の目線や周りの情景から、その女性が対象物を眺めていることが容易に想像出来るのです。
それと、松園の絵の多くからは『風』を感じることが多い。風に向かってなびく着物のしわや
女性の腰の曲がり具合なんかで、強い風か弱い風か、その場にいるかのように感じることが
出来るところが素晴らしい。やっぱり、日本画壇において、唯一無二の存在だな、と
改めて感じさせてくれる展覧会でした。国内外問わず、人気が高いのも頷けるね。
それにしても、平日の午前中なんかにいったせいか、やったら年齢層が高かったです。
定年を迎えてセカンドライフを満喫しているような年代のご夫婦や、何かの趣味サークル
の集いですか、と聞きたくなるようなおばさま団体でどのフロアも大層賑わっておりました。




人生の花
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婚礼に向かう花嫁とその母親を描いた一作。タイトルがいいですねぇ。『人生の花』・・・
まさしく、これから美しく花咲かせようとする娘に付きそう母親。松園の親子を描いた作品も
とても好き。


舞支度
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花がたみ
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これは、初めて観た時『焔』と対になって飾られていて、とにかくガツーンと衝撃を受けた
作品でした。狂女を描いたということ自体が衝撃でしたが、その表情や着崩れた着物、
乱れた髪、一見美しい女性を描いた絵なのに、良くみると明らかに狂ってるところにぞくりと
させられました。『焔』から漂ってくる怨念の怖さも凄まじかったですが。


楊貴妃
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画面全体からエロチシズムを感じる楊貴妃。松園が描くとこんな風になるんですね。


草子洗小町
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小野小町を描いた作品。クレオパトラを描いた作品はさすがにないのかな^^;


雪月花
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これは少し前に他の展覧会で観たばかりでしたが、やっぱり綺麗でしたねー。



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源義経の愛妾、白拍子姿の静御前を描いた作品。


母子
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自愛に満ちた母子像。松園の母子を描いたはほんとに温かみを感じて素敵ですね。画像が
探せなかったのだけど、虹を見ている母子の絵もとっても素敵でした。


牡丹雪
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雪が降って寒い中、身体を屈めて早く帰ろうとそそくさと駆け出す様子が画面から伺えます。
画面から冷気が漂ってきそうですね。



そして、おまけに、差し替えにより観れなかった『焔』。ああ、残念無念・・・。


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源氏物語』の中で、生霊となり葵の上を呪い殺そうとした六条御息所を描いた作品。
松園の代表作のひとつといっても差し支えないでしょう。この絵は一度観たら忘れられない
ですよねぇ。女の嫉妬とはげにおそろしひ・・・。



美術館外観。竹橋駅からすぐなので行きやすい。竹橋駅に降りたった人々の大部分が美術館に
向かっていた・・・。
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観た後は、竹橋から東西線で二つ目の飯田橋にあるガレット屋さん『ル・ブルターニュ
食事。ガレットとは、フランス発のそば粉を使ったお惣菜クレープ。このお店は日本で初めての
ガレット専門店で、超有名店。学生時代から大好きなお店。ガレットが食べられるお店自体
都内でも本当に少ないですが、このお店はその中でも一番本場の味に近いのではないかな。
昔は本当にフランス人が作ってたのですが、今日行ったら日本人のシェフしかいないようでした。
久々に食べたけど、やっぱり美味しかったぁ・・・!!
ちなみに、デザートのクレープは小麦粉で作ってあります。マリオンクレープを想像してると
大きく裏切られる(いい意味で)美味しさです。
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食事の後は時間があったので神楽坂を散策したり、本屋で新刊をチェックしたり。東野さんの
文庫新刊は面白いのだろうか・・・。

しばらく歩いた後は、和テイストのカフェでお茶。私は生麩入りのあんみつを頂きました。
美味しかった(生麩大好きーー)♪
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久しぶりの松園、久しぶりの神楽坂で良い休日を過ごせました。
松園展は10月17日(日)までなので、気になる方は早目に足を運びましょう。
ちなみに、平日でも恐ろしい程混んでますので、ご注意を。