ミステリ読書録

ミステリ・エンタメ中心の読書録です。

はやみねかおる/「都会のトム&ソーヤ (4) 四重奏」/講談社刊

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はやみねかおるさんの「都会のトム&ソーヤ (4)四重奏」。

学校の成績が落ちたせいで、無料の体験入塾に通わされることになった内人。塾が終わって帰宅
途中の高級住宅街に一軒の洋館があり、その窓からかわいい女の子が立っていることに気づいた
内人は、体験入塾からの帰りはいつもその洋館を眺めて帰るようになった。そんな浮かれた気分
の内人に、創也はまたしてもとんでもない提案をしてきた。創也が作ろうとしているゲーム制作の
資金300万を稼ぐ為、ジャパンテレビのドキュメンタリー番組制作に協力しようと言うのだ。
番組内容は古い洋館でのお化け屋敷探検。そして、その古い屋敷とは、内人が体験入塾の帰りに
眺めるあの洋館だったのだ。古い洋館を舞台に、内人と創也の冒険が始まった――シリーズ第4弾。


変態キワモノミステリの後のお口直しには、こういう爽やかな青少年の冒険譚がぴったり。
さくさくと読み進めております、まちトムシリーズ第四弾です。今回も、どのお話も面白かった!
でも、メインのお話『深窓の令嬢の真相』では、確か前作にひき続いて出て来たあらゆることを
企画・立案する謎の集団『頭脳集団(ブランナ)』によって計画された窃盗計画に巻き込まれ、
二人はかなり危険な目に遭います。一作ごとに、お話のスケールが大きくなっているような気が
するな~。創也が無鉄砲だから、それに付き合わされる内人も大変です。普通、キャラ的に逆の
ような気もするんだけど、そうじゃないところがこのコンビの面白いところですね。話のスケール
が大きくなるにつれて、創也の内人への依存度も高くなっていくような・・・。おばあちゃんの
知恵袋頼りすぎ(苦笑)。でも、実際頼りになるんだからすごい。内人君の知識は小学生どころか
大学生なみではないかしら・・・。インスタントカメラやスティックシュガーをあんな風に使う
小学生がどこの世界にいるっていうんだい^^;内人君の性格がとってもまっすぐで正直だから、
犯罪に使うような心配はないだろうけど、性格が歪んだ人間にこんな知恵があったら、いくらでも
悪いことに使ってしまいそうです^^;しかし、幼い内人君をここまでの人間に鍛えたおばあちゃん、
ほんとに、一体何者なんでしょうか・・・山で修行って^^;

冒頭の、タイトルの[ 『トム&ソーヤ』の『トム』の意味には「なるほど~!」と唸ってしまった
のですが、読者からの投稿で後付けだったとは・・・(苦笑)。しかし、上手く考えたものだと
感心してしまいました。後付けだとはとても思えません(笑)。

ラソン大会の途中で抜けだして友人の自主制作映画フィルムを会社に届けるお話も面白かった。
創也が、一生懸命映画を撮ってる友人たちの夢を潰そうとした先生に腹が立って協力したって所に
創也の成長を見ました。それをちゃんとわかってあげる内人君もやっぱりいい奴だ。内人君は
本当に創也に良い影響を与えているよね。

そして、今回も楽しかったのは卓也さんのお話。卓也さん、面白すぎるよ・・・。前作のシャドー保育
にも多いに笑わせてもらったけど、今回の保育士拳はそれを上回る面白さです。良くもまぁ、こんな
こと考えつくよねぇ・・・。そこまで保育士になりたいのか・・・。でも、頭も良さそうだし、なんで
保育士の国家試験に合格しないのだろうか・・・。強面のせいで面接で落とされてるとかじゃないよね^^;
まぁ、どっちみち試験に受かっても、創也のお目付け役から開放してもらえるとは思えないけど(苦笑)。
『深窓の令嬢~』の作中で、夢の中で保育園児たちを相手に嬉しそうに保育士になりきっている
卓也さんが微笑ましくも、ちょっと哀れでした(苦笑)。

巻末の西先生のおまけマンガも嬉しい。今回も一冊通して楽しめました^^