荊で覆われた城の頂上の部屋、薔薇の荊で覆われ身動きが取れない少女がいた。何百年、何千年、
少女は荊の刺で身体中を突き刺され、誰も彼女に近寄ることは出来なかった。少女の側にはいつも
白い髪の老婆がいて、少女が傷つき涙を流す度に、それを拭きとり、優しく髪を撫でるのだった。
ある日、老婆は少女に言った。『いずれ、きっと・・・お前のことを抱きしめられる者があらわれる」
と――そして、ある日、長い旅路の果てに、一人の男が荊の城を訪れ、少女の前に現れた――
(『荊の姫』)。爆笑問題・太田光による、9つの奇跡を描いた珠玉の短篇集。
少女は荊の刺で身体中を突き刺され、誰も彼女に近寄ることは出来なかった。少女の側にはいつも
白い髪の老婆がいて、少女が傷つき涙を流す度に、それを拭きとり、優しく髪を撫でるのだった。
ある日、老婆は少女に言った。『いずれ、きっと・・・お前のことを抱きしめられる者があらわれる」
と――そして、ある日、長い旅路の果てに、一人の男が荊の城を訪れ、少女の前に現れた――
(『荊の姫』)。爆笑問題・太田光による、9つの奇跡を描いた珠玉の短篇集。
芸人さんの中でも随一の読書家と名高い太田光さん。新聞や広告などにもしょっ中本の推薦文を
寄稿していたりするし、そのうち小説も書かれるのだろうな~と思っていましたが、満を持して
遂に小説家デビュー。一体どんなお話を書かれるのか、読むのを楽しみにしていました。
寄稿していたりするし、そのうち小説も書かれるのだろうな~と思っていましたが、満を持して
遂に小説家デビュー。一体どんなお話を書かれるのか、読むのを楽しみにしていました。
・・・ううむ。なんというか、非常に感想が書きにくいです。太田さんが小説を愛している
ことは伝わって来るし、彼が作品の中で伝えたい想いがあるのはどのお話からも感じられます。
が、それが具体的に何なのか、というのが結局最後まで読んでもよくわからないお話が多く、
読み終えて『・・・で?』と何度も狐に摘まれたような気分になってしまいました。文章の
端々から太田さんらしさは伺えるし、太田さんのファンの人なら面白く読めるのかもしれません
が、例えば太田光という名前を伏せて無名の新人作家の作品としてこの作品を読んだ時、素直に
『面白い』と云えるかというと、ちょっと考えてしまいます。一人の人物の視点から、最終的には
戦争や平和など、スケールの大きい次元の問題にストーリーを広げて行ったりするところは太田さん
の主義思想が反映されているように感じましたが、その展開がかなり唐突だったり強引だったり
するので、ちょっと読者としては置いてけぼりをくらったような気分になることも。発想は
面白いのだけれど、それが一作の『小説』として昇華しきれていないと言うか。でも、読む人に
よってこれは全く逆の評価になるような気もしますね。絶賛する人は絶賛するでしょうし、
酷評する人はとことん酷評するような。まぁどんな小説だって大なり小なりそれはあるのが
普通ですけど・・・。個人的には、太田さんの独特の文章リズムが自分の好みとはちょっと合わない
ようなところもありました。時折入る書き手の感想(ちゃちゃ)なんかは太田さんの芸風そのまんま
で、ファンには嬉しいのかもしれませんが、私にはちょっと余計に感じてしまいました。劇団
ひとりの時は文章自体にあまりクセがないから、すんなり受け入れられたところもあったんだろうね。
表題作なんかはちょっとした感動作を狙ったのだろうけど、イマイチそれが成功していないような。
一番良かったのはラストの『地球発・・・・・・』かな。『星の王子様』と『銀河鉄道の夜』の
豪華コラボレーション。実は銀河鉄道の方は未読なんですが(^^;)、星の王子様は大好きな
お話なので、二作品のいいところを上手く繋げて優しい読後感の作品になっているところが好き
でした。
ことは伝わって来るし、彼が作品の中で伝えたい想いがあるのはどのお話からも感じられます。
が、それが具体的に何なのか、というのが結局最後まで読んでもよくわからないお話が多く、
読み終えて『・・・で?』と何度も狐に摘まれたような気分になってしまいました。文章の
端々から太田さんらしさは伺えるし、太田さんのファンの人なら面白く読めるのかもしれません
が、例えば太田光という名前を伏せて無名の新人作家の作品としてこの作品を読んだ時、素直に
『面白い』と云えるかというと、ちょっと考えてしまいます。一人の人物の視点から、最終的には
戦争や平和など、スケールの大きい次元の問題にストーリーを広げて行ったりするところは太田さん
の主義思想が反映されているように感じましたが、その展開がかなり唐突だったり強引だったり
するので、ちょっと読者としては置いてけぼりをくらったような気分になることも。発想は
面白いのだけれど、それが一作の『小説』として昇華しきれていないと言うか。でも、読む人に
よってこれは全く逆の評価になるような気もしますね。絶賛する人は絶賛するでしょうし、
酷評する人はとことん酷評するような。まぁどんな小説だって大なり小なりそれはあるのが
普通ですけど・・・。個人的には、太田さんの独特の文章リズムが自分の好みとはちょっと合わない
ようなところもありました。時折入る書き手の感想(ちゃちゃ)なんかは太田さんの芸風そのまんま
で、ファンには嬉しいのかもしれませんが、私にはちょっと余計に感じてしまいました。劇団
ひとりの時は文章自体にあまりクセがないから、すんなり受け入れられたところもあったんだろうね。
表題作なんかはちょっとした感動作を狙ったのだろうけど、イマイチそれが成功していないような。
一番良かったのはラストの『地球発・・・・・・』かな。『星の王子様』と『銀河鉄道の夜』の
豪華コラボレーション。実は銀河鉄道の方は未読なんですが(^^;)、星の王子様は大好きな
お話なので、二作品のいいところを上手く繋げて優しい読後感の作品になっているところが好き
でした。
好みの作品もあったのですが、全体的な評価としては『イマイチ・・・』っていうのが多かった
かなぁ。一冊通して一番感じたのは、太田さんってすごく純粋でロマンチストなんだろうな、
ということ。
多分、いろんなことをいつもたくさん考えていて、それを他人に伝えたいって気持ちはすごく強く
持っている方なんだと思う。でも、それを伝えるなら、小説よりもエッセイの方がいいんじゃ
ないのかなぁ。ご本人は小説が書きたくて書きたくて仕方がなかったのだろうけど、小説家として
大成して行くには、何かが足りない気がする。多分、どの話読んでも、さらっと忘れて行って
しまうような、後に残るものがなかったように思います。うーん、思った以上に辛口になって
しまったような。悪い訳でもなかったのですが・・・期待が大きかった分、ちょっと肩透かし
だったかなぁ・・・太田ファンの方、読取り不足でスミマセン^^;
かなぁ。一冊通して一番感じたのは、太田さんってすごく純粋でロマンチストなんだろうな、
ということ。
多分、いろんなことをいつもたくさん考えていて、それを他人に伝えたいって気持ちはすごく強く
持っている方なんだと思う。でも、それを伝えるなら、小説よりもエッセイの方がいいんじゃ
ないのかなぁ。ご本人は小説が書きたくて書きたくて仕方がなかったのだろうけど、小説家として
大成して行くには、何かが足りない気がする。多分、どの話読んでも、さらっと忘れて行って
しまうような、後に残るものがなかったように思います。うーん、思った以上に辛口になって
しまったような。悪い訳でもなかったのですが・・・期待が大きかった分、ちょっと肩透かし
だったかなぁ・・・太田ファンの方、読取り不足でスミマセン^^;
時間ないので一言感想のみ付け加えておきます。
『荊の姫』 元ネタは『ラプンツェル』でしょうか。
『タイムカプセル』 切なくて、ラストは皮肉なお話。
『人類諸君!』 これは一番ダメだったかも^^;読み終えてなんだったんだ?と首を傾げて
しまった。
しまった。
『ネズミ』 ネズミのキャラは太田さんらしい。こういう黒さは嫌いじゃない。
『魔女』 魔女裁判にかけられ悲劇の死を遂げた少女の話。
『マボロシの鳥』 設定は面白かったのだけど・・・ラストにつれて尻すぼみだったような。
『冬の人形』 親の無償の愛を感じる切ないお話。
『奇跡の雪』 戦争の残酷さを描いた作品。こういうのはあまり好きじゃないなぁ。
これ、読書家の人が読んでどう評価するのかすごく気になりますね。絶賛するひともいそうだけど、
どうなんだろう。面白くなかった訳じゃないんだけど、私にはあまりピンと来るものがなかった
んですよねぇ。残念ながら。太田さんの芸風は好きなんだけどな。そして、彼の絶賛する作品って
すごく読んでみたくなったりするのだけど。でも、作家としてどうかと聞かれると、私としては
それほど光るものを感じなかったかなぁ、というのが素直な感想でした。
どうなんだろう。面白くなかった訳じゃないんだけど、私にはあまりピンと来るものがなかった
んですよねぇ。残念ながら。太田さんの芸風は好きなんだけどな。そして、彼の絶賛する作品って
すごく読んでみたくなったりするのだけど。でも、作家としてどうかと聞かれると、私としては
それほど光るものを感じなかったかなぁ、というのが素直な感想でした。