西澤保彦/「からくりがたり」/新潮社刊

西澤保彦さんの「からくりがたり」。

女教師との爛れたセックス、喫茶店の女性従業員からの誘惑……自殺した青年が遺した妄想日記。
青年の周囲の女性たちが、つぎつぎ酸鼻な事件に巻き込まれていく。大晦日の夜ごとに起こる殺人、
被害者はすべて女性――。事件の現場に必ず姿を現す奇怪な男“計測機”……。謎が連鎖し、
推理が交錯する幻術ミステリ（あらすじ抜粋）。

なんとなくヤバそうな感じがして、地元の図書館で予約してなかったんですが、久々に行った
隣町図書館にあったので借りてみました。
いやー、来ましたね。前作で、珍しくレズとかエロ描写が出て来ない！とほっとして、今後は
それ系から少しは離れて行くのかな～とちょっぴり期待したんですが・・・あ、甘かった。
完全に、甘かった。やっぱり、西澤さんは西澤さんだった・・・（！？）。
もーう、全編に亘って、エロ全開。一作づつが短いのに、よくもまぁ、ここまでエロ描写を
盛り込むことが出来るよなぁ、と呆れるを通り越して感心するくらい、相変わらずしょーもない
エロ描写が頻発して出て来るお話でした。でも、だからといって、官能小説として読めるかって
いうと、全くそういう気にもならないんですね、これが。まぁ、西澤作品を読んだことのある方
なら、この辺りの微妙な感想には共感して頂けると思うんですけれどもね。そして、今回も
当然のごとにく、途中からレズものへとシフトして行きました・・・。
でも、エロ部分はともかく、一応ベースはミステリなんですよ。だから、割合と面白く読め
ました。といっても、ツッコミ所が満載過ぎるくらい満載のミステリではありましたが・・・。
全編に亘って登場する謎の男『計測機』に関しては、結局一体何だったのかよくわからなかったし、
ひとつひとつの殺人と、その関連性に関してもイマイチ設定が甘い。元旦連続殺人に関しても、
ミッシングリンクがあるようで、結局なかったり。最後の一話で、一応のカタストロフ的な結末
はあるのですが、なんとなく腑に落ちないような気持ちにはなりましたしね・・・。ただまぁ、
最終話の途中で、ミステリとしては反則なんじゃないかって結末かと思わせておいて、最後に
ひっくり返されたところは、かなりほっとしましたけどね。ほんとに兄が○○になって殺人を
操作してたって結末だったら、かなりの黒べる作品だったかも・・・＾＾；

一編ごとの黒さといい、エロ満載といい、なんともかんとも、西澤ワールド全開の作品なのは
間違いありませんでした。ファンなら許容範囲でしょうが、この作品から初めて西澤作品を
読むひとには面食らう作品かもしれないなぁ。っていうか、二度と読みたくなくなる可能性すら
あるかも＾＾；；
私はあんまりにも『らしく』て笑っちゃいましたけどね。特に、最初は男のエロ妄想日記から
始まって、男女間のぐちゃぐちゃドロドロしたエロ描写からお得意のねちゃねちゃレズものに
シフトしていくところとかね。それに、基本は一応ミステリですしね（一応・・・？＾＾；）。
まぁ、うん、面白いは面白かったですよ。オススメかと言われると、ちょっと返答に困る気も
しますけどね・・・＾＾；