ミステリ読書録

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西尾維新/「猫物語(白)」/講談社刊

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西尾維新さんの「猫物語(白)」。

猫パーセント趣味で書かれた小説です。――西尾維新

“何でもは知らないけれど、阿良々木くんのことは知っていた。”
君がため、産み落とされたバケモノだ。
完全無欠の委員長、羽川翼は2学期の初日、1頭の虎に睨まれた――。それは空しい独白で、届く宛のない告白……<物語>シリーズは今、予測不能の新章に突入する!
これぞ現代の怪異! 怪異! 怪異!(紹介文抜粋)


えー、というわけで(どういうわけ?^^;)、傾物語を読んだ直後にタイミング最悪で
回って来た猫物語(白)』です。刊行順的にはこちらが先なのですが、読んだ限り、別に
全く問題はなかったです^^;っていうか、これを読まないで『傾~』読んだからわからない
キャラがいたのかと思っていたのですが、どうやら、単に私が忘れていただけの話だったよう
です・・・(おい)。それとも、その前にすっ飛ばした『偽物語(上下)』が原因なんでしょうか
・・・ま、いいか。
時系列としては、『傾~』とほぼ同時進行って感じの設定のようですね。羽川さんが大変な目に
遭っている時に、暦は暦でエライ目に遭っていたという。

猫物語(白)』となっていますが、これの前の猫物語(黒)とは大きく違うところが
あります。それは、今回は『羽川翼』視点だということ。羽川さんの心情があけすけなまでに
まるまるっと語られています。暦に対してだとか、家族に対してだとか、今まで他人からの視点
ではわからなかった、彼女の本心が初めて明かされて、本当の彼女の姿を知った感じがしました。
暦に対して、そこまでストレートに想いを寄せているとは思わなんだ・・・暦の部屋で寝泊り
している間のあれこれなんぞ、表面から見た彼女からは想像も出来ない行動ばかりでした^^;
『黒』に引き続き、ブラック羽川さんも再登場。にゃんにゃん言葉を読むのは、正直毎回イラっと
させられるところもあったのですが(^^;)、猫耳羽川嬢の姿を思い浮かべると、やっぱり
それは萌え以外の何モノでもなく・・・(変態)。それに、終盤、他人に頼ることが出来ない
ご主人からの初めてのお願いを叶えてあげようと、小さい身体で懸命に苛虎に立ち向かうブラック
羽川ちゃん(君?)の健気な姿にほろり。頑張った割に報われず、最後は暦に全部美味しい所を
持って行かれちゃいましたけど^^;それにしても、あの場面で現れる暦ってば、めちゃくちゃ
ヒーローしちゃってるじゃないですか。カッコ良すぎて、どーしちゃったの?と思ってしまい
ました^^;羽川さんやキスショットや妹たちと不毛な会話をしている暦からは想像も出来ない
救世主っぷり。そりゃー、翼ちゃんもヤラれてしまうよなぁ、と今回ばかりは見直してしまい
ました(何故か上から目線)。自分も満身創痍の状態なのに、羽川さんのピンチとなると駆けつけて
あげるんだからね。

本当の自分と向き合い、ありのままの嫌な自分をも受け入れる決意をした羽川さん、今回のことで
一皮も二皮も向けた気がします。今までよりも、少し楽に生きて行けるんじゃないのかな。暦に
はっきりと失恋したことで、また更に彼への想いが強くなったりしてそう。絶対、諦めてなさそう。
ひたぎにとっては、更に強力なライバルになるのかも。だって、自分に正直になった羽川さんの
魅力に、暦が気づかない訳ないものね。でも、羽川さんからの告白を、ひたぎの為にはっきり
きっぱり突っぱねた暦はやっぱりかっこ良かったぞ。
両親との関係はまだまだ改善しそうにないですが、自分の部屋が持てたのにはほっとしました。
っていうか、羽川さんと両親がなぜそこまで不仲なのか、自分の子供に対してなぜそこまで
冷徹な仕打ちが出来るのかは、未だによく理解出来ないのですけれどね・・・ほんとに、
親の資格のない両親だと思います。一人娘に部屋を与えず廊下で寝かせるなんて・・・許せない・・・。

暦が最後しか登場しないので、いつものキャラ同士の不毛な会話がないのはちょっと物足りなかった
のですが、羽川翼の成長物語としては、とても清々しく読み終えることが出来ました。
ひたぎとの関係も良かったな。ライバルなのに、ライバル然としてない二人のやり取りが
嬉しかったです。


またすぐ次の花物語が刊行されちゃうみたいですね^^;三ヶ月ごとに刊行とは、立ち上げの
頃のミステリーランドのようだなぁ。追いかけるのが大変です・・・^^;