とある県庁に生まれた新部署「おもてなし課」。若手職員・掛水は、地方振興企画の手始めに、
人気作家に観光特使を依頼するが、しかし……!? お役所仕事と民間感覚の狭間で揺れる掛水の
奮闘が始まった!?(あらすじ抜粋)
人気作家に観光特使を依頼するが、しかし……!? お役所仕事と民間感覚の狭間で揺れる掛水の
奮闘が始まった!?(あらすじ抜粋)
有川さんの最新刊です。図書館派の私ですが、珍しく買って読みました。というのも、有川さんの
ブログで、本書の印税がすべて東日本大震災の義援金に当てられるという記事を読んで、有川さんの
男前な心意気に感動して、私もほんの少しでもお役に立てたらなぁと思い、今回ばかりは図書館の
お世話にならずに購入することにしました。
で、せっかく買ったので、旬なうちに記事にしたいと思って、図書館本をお休みしていち早く読み
ました。私がこうして記事にすることで、一人でも目に止まって賛同して購入を考えて下さる方が
いたら嬉しいですし。もちろん、直接募金して貢献することの方が有益かもしれませんが、本を
買うことで被災地の応援になるのであれば、不況の出版業界の活性化にも繋がるし、もちろん
自分は本を楽しむことが出来るし、一石三鳥くらいの価値はありますから。こういう場をもっと
いろんな作家さんが作って下さると、出版界も賑わって行くのではないでしょうか。こんな時に
本なんか読んでる余裕ないというご意見もご尤もだと思うのですが、本好きとしては、こういう時
だからこそ、元気が出る本を読んで、ほんの少しでも明るい気持ちになって欲しいな、と思います。
偽善だ、詭弁だ、と言われてしまうと何も言い返せないのですが・・・。
ブログで、本書の印税がすべて東日本大震災の義援金に当てられるという記事を読んで、有川さんの
男前な心意気に感動して、私もほんの少しでもお役に立てたらなぁと思い、今回ばかりは図書館の
お世話にならずに購入することにしました。
で、せっかく買ったので、旬なうちに記事にしたいと思って、図書館本をお休みしていち早く読み
ました。私がこうして記事にすることで、一人でも目に止まって賛同して購入を考えて下さる方が
いたら嬉しいですし。もちろん、直接募金して貢献することの方が有益かもしれませんが、本を
買うことで被災地の応援になるのであれば、不況の出版業界の活性化にも繋がるし、もちろん
自分は本を楽しむことが出来るし、一石三鳥くらいの価値はありますから。こういう場をもっと
いろんな作家さんが作って下さると、出版界も賑わって行くのではないでしょうか。こんな時に
本なんか読んでる余裕ないというご意見もご尤もだと思うのですが、本好きとしては、こういう時
だからこそ、元気が出る本を読んで、ほんの少しでも明るい気持ちになって欲しいな、と思います。
偽善だ、詭弁だ、と言われてしまうと何も言い返せないのですが・・・。
前置きが長くなりましたが^^;
高知県の県庁にある、観光振興課の一つ『おもてなし課』を題材にした本書。とーーーっても
面白かったです。高知新聞で連載されていたそうですが、これは高知の人は読んでいて楽しかった
だろうし、嬉しかっただろうな、と思います。有川さんご自身が高知出身で、高知県の観光大使
に任命されたことが発端となって書かれた作品だそうで、お役所と、観光大使を依頼した著名人
とのやり取りなどは、ほぼそのまま有川さんの体験談が反映されているようで、とってもリアル。
融通の効かない県庁の役人たちのお役所気質には、私も読んでいて度々イライラムカムカさせられ
ました。私自身も、自分の市の市役所に行って、お役所の方々の気の利かなさに何度もムカついた
経験があるので、かなり共感して読めました。役人っていうのは、どこまで行ってもマニュアル
通りにしか動けなかったりするんですよね。そういう発想しか持てないように教育されてしまって
いるというか。そこには『市民の為』なんて意識は全くない。ただ、言われた通りの仕事をして、
定時に帰れればそれでいい、みたいな。もちろん、そうじゃないお役所の方々もたくさん
いらっしゃるとは思うのですが、私個人の経験で言うと、ほんとにそういうタイプの人が多い。
だから、吉門が掛水に『民間の人間(それも若い女性)を入れる』と言ったアドバイスは実に
的を射ていたな、と思いました。民間視点って、お役所的な所はもちろんですが、絶対どんな施設
にも必要だと思うんですよね。
高知県の県庁にある、観光振興課の一つ『おもてなし課』を題材にした本書。とーーーっても
面白かったです。高知新聞で連載されていたそうですが、これは高知の人は読んでいて楽しかった
だろうし、嬉しかっただろうな、と思います。有川さんご自身が高知出身で、高知県の観光大使
に任命されたことが発端となって書かれた作品だそうで、お役所と、観光大使を依頼した著名人
とのやり取りなどは、ほぼそのまま有川さんの体験談が反映されているようで、とってもリアル。
融通の効かない県庁の役人たちのお役所気質には、私も読んでいて度々イライラムカムカさせられ
ました。私自身も、自分の市の市役所に行って、お役所の方々の気の利かなさに何度もムカついた
経験があるので、かなり共感して読めました。役人っていうのは、どこまで行ってもマニュアル
通りにしか動けなかったりするんですよね。そういう発想しか持てないように教育されてしまって
いるというか。そこには『市民の為』なんて意識は全くない。ただ、言われた通りの仕事をして、
定時に帰れればそれでいい、みたいな。もちろん、そうじゃないお役所の方々もたくさん
いらっしゃるとは思うのですが、私個人の経験で言うと、ほんとにそういうタイプの人が多い。
だから、吉門が掛水に『民間の人間(それも若い女性)を入れる』と言ったアドバイスは実に
的を射ていたな、と思いました。民間視点って、お役所的な所はもちろんですが、絶対どんな施設
にも必要だと思うんですよね。
ただ、本書では、最初は頭の固い『おもてなし課』の人たちも、柔軟な発想をする人の意見に
触れるにつれて、少しづつ自らも柔軟な思考が持てるようになって行きます。その辺りの、『おもて
なし課』全体の成長も読みどころの一つ。もちろん、主人公の掛水が一番大きく成長していく訳
ですが。掛水はやっぱり、言ってみれば民間人代表である、作家の吉門と直接接触出来たことが
大きかったですね。吉門の辛辣な意見やアドバイスによって、いろんなことに気づけて、民間
感覚を学んで行けたのですから。二人の関係や、会話のやり取りはとても良かったです。最初は
犬猿の仲って感じでしたが、最後はお互いに信頼し合える『友達』になれたところも爽やかでした。
触れるにつれて、少しづつ自らも柔軟な思考が持てるようになって行きます。その辺りの、『おもて
なし課』全体の成長も読みどころの一つ。もちろん、主人公の掛水が一番大きく成長していく訳
ですが。掛水はやっぱり、言ってみれば民間人代表である、作家の吉門と直接接触出来たことが
大きかったですね。吉門の辛辣な意見やアドバイスによって、いろんなことに気づけて、民間
感覚を学んで行けたのですから。二人の関係や、会話のやり取りはとても良かったです。最初は
犬猿の仲って感じでしたが、最後はお互いに信頼し合える『友達』になれたところも爽やかでした。
自分の住む地方を盛り上げようと奮闘する『おもてなし課』のメンバーたちの言動に一喜一憂
しながら、楽しく、時にはいろいろと考えさせられながら、興味深く読みました。いろんな所で
共感出来たし、ハッとさせられるような文章があって、すごく勉強になりましたね。そうか、
こんな考え方もあるのか、とか、目からウロコが落ちるところも多かった。
『おもてなしマインド』なんかも、すごく共感出来ましたね。確かに、自分の部屋に人を呼ぶ時、
部屋やトイレを掃除するのはもちろん、どんなお料理出したら喜ばれるだろうとか、その人を
どうやっておもてなしするのか、快適に過ごしてもらえるにはどうしたらいいのか、とか考え
ますもの。そういう気持ちが、観光してもらう側に備わっている県では、気持ち良く観光に
行くことが出来そうです。客の立場になって考えるっていう、『民間』視点が大事っていうのは
本当に良くわかりますね。『お役人』視点でおもてなしされても、絶対楽しく観光は出来ない
でしょうからね。
『トイレと食事はセット』って着眼点にも、成程~!と膝をたたきたくなりました。私もかなり
いろんな海外に旅行してますが、いつも一番困るのがトイレなんです。海外って、日本程トイレ
事情がしっかりしてないから、トイレに行ける時には絶対に行っておかないと、後で困ったことに
なってしまう。トイレがきちんと整備されてる国に行く時の安心感といったらないんですよ。
ほんとに、食事は我慢出来ても、トイレは我慢出来ないものですから。『水回りが綺麗な施設は
好印象』って実に頷けるな~と思いました。
しながら、楽しく、時にはいろいろと考えさせられながら、興味深く読みました。いろんな所で
共感出来たし、ハッとさせられるような文章があって、すごく勉強になりましたね。そうか、
こんな考え方もあるのか、とか、目からウロコが落ちるところも多かった。
『おもてなしマインド』なんかも、すごく共感出来ましたね。確かに、自分の部屋に人を呼ぶ時、
部屋やトイレを掃除するのはもちろん、どんなお料理出したら喜ばれるだろうとか、その人を
どうやっておもてなしするのか、快適に過ごしてもらえるにはどうしたらいいのか、とか考え
ますもの。そういう気持ちが、観光してもらう側に備わっている県では、気持ち良く観光に
行くことが出来そうです。客の立場になって考えるっていう、『民間』視点が大事っていうのは
本当に良くわかりますね。『お役人』視点でおもてなしされても、絶対楽しく観光は出来ない
でしょうからね。
『トイレと食事はセット』って着眼点にも、成程~!と膝をたたきたくなりました。私もかなり
いろんな海外に旅行してますが、いつも一番困るのがトイレなんです。海外って、日本程トイレ
事情がしっかりしてないから、トイレに行ける時には絶対に行っておかないと、後で困ったことに
なってしまう。トイレがきちんと整備されてる国に行く時の安心感といったらないんですよ。
ほんとに、食事は我慢出来ても、トイレは我慢出来ないものですから。『水回りが綺麗な施設は
好印象』って実に頷けるな~と思いました。
他にも細かい部分でうんうん思わず頷いてしまう描写がたくさんありました。有川さんって、
ほんと些細なんだけど大事な部分を見逃さない作家さんだなぁと感心してしまいます。パンフレット
の空白が大事だとかね。文章読む上で、空白ってほんと大事なんですよね。行間が詰まった文章
が読みにくいってのは私も常々感じることなんで。改行が適度にある文章の方が絶対読みやすい。
だからって、自分の文章になかなか反映されてないところが痛いですが^^;;
ほんと些細なんだけど大事な部分を見逃さない作家さんだなぁと感心してしまいます。パンフレット
の空白が大事だとかね。文章読む上で、空白ってほんと大事なんですよね。行間が詰まった文章
が読みにくいってのは私も常々感じることなんで。改行が適度にある文章の方が絶対読みやすい。
だからって、自分の文章になかなか反映されてないところが痛いですが^^;;
取り上げたい場所がいっぱいありすぎて困るんだけど、とにかく430ページを超えるなかなかの
長編ですが、面白くて一気読みでした。高知の良さがたくさん引き出せていて、きっと高知に
行ってみたくなる作品なんじゃないかな。でも、有川さんご自身もおっしゃってますが、舞台は
高知ですが、この本で伝えたいことはどの地方にも当てはまると思います。もちろん、被災地
の各県にも。巻末ページの『各県の市の観光課のPR合戦』には、岩手や福島も参加してます。
被災地では、まずは復興が先で、再び観光地になるにはまだまだ遠い話かもしれません。でも、
観光地としてまたこの本の高知のように人を呼びこむ日が来ることを信じて、今は一歩づつ進んで
行って欲しいと願います。
長編ですが、面白くて一気読みでした。高知の良さがたくさん引き出せていて、きっと高知に
行ってみたくなる作品なんじゃないかな。でも、有川さんご自身もおっしゃってますが、舞台は
高知ですが、この本で伝えたいことはどの地方にも当てはまると思います。もちろん、被災地
の各県にも。巻末ページの『各県の市の観光課のPR合戦』には、岩手や福島も参加してます。
被災地では、まずは復興が先で、再び観光地になるにはまだまだ遠い話かもしれません。でも、
観光地としてまたこの本の高知のように人を呼びこむ日が来ることを信じて、今は一歩づつ進んで
行って欲しいと願います。
もちろん、有川さんらしいムフフ~なラブ要素も盛り込まれております。しかも二組!ラスト
1ページの展開に、ニヤニヤしちゃいました。各キャラ造形もとても良かったです。個人的には
吉門と清遠のキャラがお気に入りでした。掛水君も、もちろん好感持てましたけどね。
1ページの展開に、ニヤニヤしちゃいました。各キャラ造形もとても良かったです。個人的には
吉門と清遠のキャラがお気に入りでした。掛水君も、もちろん好感持てましたけどね。
買ったからって強がって言うのではなく、本当に面白かったので、買って良かったと思います。
もし、購入を迷われている方がいらっしゃるのであれば、迷わず買ってくださいと言いたい
(普段図書館派の人間が言っても何の説得力もありませんが^^;;)。
お金を出した分は絶対楽しめる筈です。
これ、今回の本屋大賞で有川さんが受賞しなかったら、きっと来年の候補になるんじゃないかな~。
っていうか、なって欲しい。そして一冊でも多く売れて、被災地の復興の助けになって欲しいな、
と思います。有川さんの深い郷土愛を感じる一冊でした。お薦めです。
もし、購入を迷われている方がいらっしゃるのであれば、迷わず買ってくださいと言いたい
(普段図書館派の人間が言っても何の説得力もありませんが^^;;)。
お金を出した分は絶対楽しめる筈です。
これ、今回の本屋大賞で有川さんが受賞しなかったら、きっと来年の候補になるんじゃないかな~。
っていうか、なって欲しい。そして一冊でも多く売れて、被災地の復興の助けになって欲しいな、
と思います。有川さんの深い郷土愛を感じる一冊でした。お薦めです。