ミステリ読書録

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北山猛邦/「私たちが星座を盗んだ理由」/講談社ノベルス刊

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北山猛邦さんの「私たちが星座を盗んだ理由」。

優しく、美しく、そして残酷な5つの物語。北山ミステリの真髄!
若手注目作家の、衝撃ミステリ短編集誕生!これぞミステリの醍醐味 全てはラストで覆る!

●恋のおまじないに囚われた女子高生の物語……「恋煩い」
●絶海の孤島にある子供たちの楽園の物語……「妖精の学校」
●孤独な詐欺師と女性をつなぐケータイの物語……「嘘つき紳士」
●怪物に石にされた幼なじみを愛し続ける少年の物語……「終の童話」
●七夕の夜空から星座を一つ消した男の子女の子の物語……「私たちが星座を盗んだ理由」
(紹介文抜粋)


北山さん、ノンシリーズの短編集。以前『恋煩い』だけアンソロジーで既読だったんですが、
かなり出来が良かったので、他の作品も楽しみにしてました。
結果としては、やっぱり『恋煩い』の出来が突出していたかなぁ、という感じ。ただ、他の
作品も悪くはなかったです。そして、どれもこれもがラストで落とされる救いのない結末ばかり。
かなり後味は悪く、読み終えてゲンナリって感じではありましたが、この黒さ、私は嫌いじゃ
ないですね。ラスト一行(厳密に云えば一行とばかりは言えないけど^^;)の衝撃でどーんと
落とす、これもフィニッシング・ストローク(最後の一撃)の作品ばかりを集めた短編集と云える
でしょうね。


以下、各作品の感想。

『恋煩い』
先述したように、これだけ以前に読んでいたのですが、改めて再読しても、ラストでどかーんと
衝撃を受けました。たった二文字でここまで寒気を起こさせるってすごいですよ。いやー、
怖い。私が主人公の立場だったら、こんなことこういう関係の人間にやられたら、二度と立ち
直れないトラウマになりそうです・・・うう。占いを過信するのも考えものです・・・。

『妖精の学校』
これだけ、オチの意味がわからなかったんですよ・・・この数字の意味、誰か読んで教えて
下さい(><)。どうやら、その数字の意味がわかればかなりの衝撃を受けるみたいなんですが
・・・。それに、結局子供たちが集められた理由もわからないままだし・・・一体、
この島は何だったの?なんだか、私の勘が鈍いせいで、ものすごーく消化不良です。

『嘘つき紳士』
これは、なんとなく途中でオチの見当がついてしまったのですが、案の定、救いのない結末でした
ねぇ。まぁ、主人公に関しては自業自得ですが・・・一番可哀想なのは、携帯の持ち主、白井勇樹
ですよね・・・。東京が人を変えるって言うけど・・・東京はそんなに悪いところじゃないよぅ・・・(T_T)。

『終の神話』
少年の一途な想いがこういう結末を迎えて悲しかったです。ラスト、少年が選ぶのはどちら
なのでしょう。答えは読者に委ねられる形ですが・・・私はやっぱり、破壊を選んで欲しい気が
します。彼女自身が望んだことなのだから・・・。

『私たちが星座を盗んだ理由』
星座って88個しかないんですね。もっとたくさんあるのかと思ってました^^;少年が星座を
消したトリックはなんてことないものでしたが、背景にあった、幼い少年少女の皮肉な行き違いに
胸が痛みました。ラストの皮肉な結末が何とも・・・せっかく過去のわだかまりを捨てて一歩を
踏み出そうとしていた所だっただけに・・・^^;子供の頃の恋心なんて、いつまでも引きずらない
方がいいってことですかね。



ファンタジックな設定のものより、現代ものの方が私は好みでした。この人のファンタジー
以前読んだ時もイマイチはまれなかったから、相性があんまり良くないのかも^^;
ベストは『恋煩い』、次点は表題作かな。どちらも後味最悪ですが^^;
それにしても、『妖精の学校』のオチが気になる・・・うう、気持ち悪いよ~(><)。
ネットで調べようかな^^;