ミステリ読書録

ミステリ・エンタメ中心の読書録です。

三浦しをん/「しをんのしおり」/新潮社刊

イメージ 1

三浦しをんさんの「しをんのしおり」。

いま私が欲しいのは恋とは微妙に違うあれや、これ。身の周りの現実にツッコミ、妄想はとめどなく
ヒートアップ。心にびんびん響くエッセイ集。
<目次>
1章 そぞろ歩くは春の宵(アイコンタクトレンズ探し;嵐の後の静けさ ほか);2章 水を
求めて夏の旅(ぶらりにっぽん大阪の旅;常夏の恋 ほか);3章 幻に遊ぶ秋の空(暗黒禅問答;
幻想のお台場紀行 ほか);4章 さみしく轟く冬の風(ネズミ小僧の最期;和菓子の官能 ほか)
(紹介文抜粋)


しをんさんの初期エッセイ。まだ古本屋さんでアルバイトしながらの二足のわらじ状態の時の
エッセイです。終わりの方でやっとバイトを辞めてます。今の人気作家の片鱗も見られない
ような、赤貧生活にビックリです。PHSの料金を二ヶ月滞納して、支払いの催促の電話がかかって
来たり、所持金千円で大阪にBUCK-TICKのライブ観に強行したり、コム・デ・ギャルソン
ワンピースを一着買って友人と共有しようとしたり(結局買わなかったが)。作家の生活とは
思えないような、完璧な一般人の生活っぷりに、今回も笑わせて頂きました。もちろん、
いつものあっ晴れな妄想っぷりと、漫画への愛も健在。マニアックな話題がいっぱい出て
来て、ついて行けない時もあったりなかったりしながらも(^^;)、楽しく読めました。

ONE PIECE大人買い、この当時は17冊くらいだからまだ良かったでしょうけど、今
だと一体いくらになるんですかね^^;っていうか、このエッセイが出てから今なお続いて
いるってのもすごいけど(まぁ、そういう漫画なんか、いくらでもありますけど)。

表参道のフランス料理屋の厨房で働いている男性4人を見た瞬間、彼らの間の(架空の)
愛憎劇を思いついて会話をシミュレートできちゃうしをんさんとあんちゃん(毎度お馴染みの
しをんさんのご友人ですね)のツーといえばカーとも言える、絶え間ない妄想っぷりがすごかった
です・・・。
二人の『はたして樹なつみは宝塚的なのか?』の議論には、なるほど~と思いました。女性が
『選ばれる』ことはなく、『選ぶ側』だというのは、言われてみれば・・・と思い当たる節が
ありますね。花咲ける青少年の花鹿なんかはまさしく、ですよね(わかるひとだけわかって
ください)。

京都のお寺の庭の盆栽を見て、戦隊物の設定を考え出しちゃうくだりも笑いました。松グリーン、
菊イエロー、ブルーローズ、梅レッド牡丹ピンクっ!名付けて『ボンサイダー』!!!ひー。
なんつー、渋い戦隊物なんだ。子供に受けるとも思えんのだが(爆)。でも、確実に盆栽好きの
私にはド直球でした(笑)。

あと、次元五右衛門チェックシート、一部わからないキャラもいたので一概にはいえないの
ですが、私はどちらかというとYちゃん派(五右衛門派)でした。キャプテン翼だったら
小次郎より若島津だし、『CIPHER』だったらシヴァよりサイファ派ですもん。というわけで、
私の男性の好みはしをんさんとは被らないらしい。どこかほっとしている自分がいるのはナゼ・・・(笑)。


やっぱりしをんさんのエッセイは楽しいなぁ。疲れた時はしをんさんのエッセイに限るよね。
驚いたのは、タイトルがもともとは『人生劇場』になるはずだったというところ。ということは、
前に読んだ『人生激場』は、ボツになったタイトルが一字変えて復活したってことだったのね。
一体どっちが売れたんでしょうか(笑)。