ミステリ読書録

ミステリ・エンタメ中心の読書録です。

東川篤哉/「謎解きはディナーのあとで2」/小学館刊

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令嬢刑事麗子と風祭警部の前に立ちはだかる事件の数々。執事の影山は、どんな推理で真相に迫る
のか。そして、「影山は麗子に毒舌をいつ吐くの?」「二人の仲は、ひょっとして進展するのでは?」
「風祭警部は、活躍できるのか?」など、読みどころ満載な上に、ラストにはとんでもない展開が
待っていた!?(紹介文抜粋)。


飛ぶ鳥を落とす勢いのこのシリーズ。第一弾は累計175万部?を超えたとか。ドラマの放映に
合せての第二弾刊行、出版社も計算してますねぇ(笑)。発売日予約で蔵書も多かったおかげで、
目出度く一番手で回って来ました。私の後ろにはもうすでに130人以上の予約者が・・・まぁ、
一作目なんて、今でも600人以上予約が入ってるみたいですが^^;東川さんの人気が東野さん
を超える日が来るとは・・・(!!!)。

ドラマは本書のネタも使われているみたいですね。一話目がちょうど先週の話の原作に当たると
思うんですが、設定も違えばミステリの真相も全く違っていたので、ドラマを先に観た人でも
原作のネタバレにはなっていないのでご安心を(これから放映される作品に関してはわかりません
が^^;)。
今回も、麗子お嬢様と影山のやり取りが楽しかったです。そして、相変わらず要所要所でおとぼけ
かましてくれる風祭警部が今回もいい味出してました。
ドラマを観ている身としては、どうしても影山と麗子は櫻井君と北川さん(そしてもちろん
風祭警部は椎名さんw)を思い浮かべて読んでしまいました・・・第一弾の時はそうじゃなかった
のに(T_T)。影山のビジュアルは櫻井君とは重ならない筈なんですけどねぇ(背が高いって設定
だし^^;)。テレビの影響ってコワイわ^^;
このシリーズは地元の近くが舞台なので、前作以上に馴染みの街がたくさん登場したのも
嬉しかったですね。モロに地元の地名や施設の名前も出て来ましたしね。馴染みの場所が小説
の舞台になるっていうのはやっぱり読んでいて嬉しいものですね。あの辺を麗子や影山が
通り過ぎたとか想像すると、それはそれでまた楽しい^^
ミステリ的には短編なだけに、小粒な印象は否めませんが、細かい伏線がちゃんとオチに効いて
いたりするところはやっぱり東川さんらしくて良かったです。今回も面白くて、あっという間に
読み終わってしまいました。話題性だけで手に取った人の中では随分酷評もあるようなので、
往年からの東川ファンとしてはちょっと悲しいですね。このギャグセンスは万人受けしないん
だろうなぁ、やっぱり・・・(T_T)。


以下、各作品の感想。

第一話『アリバイをご所望でございますか』
ドラマでは漫画家殺人事件になっていたので、原作とはまるで設定が違いました。麗子と風祭の
現場への競争も、ドラマでは何人かでいろんな交通機関を使ってその中で競いあう形式だった
ので、大分脚色されてますね。ミステリの真相も、ドラマでは切ないものでしたが、こちらは
皮肉なものでした。でも、最後の最後のオチがいいですね。痛快な気持ちになりました。

第二話『殺しの際は帽子をお忘れなく』
殺人現場から帽子がなくなっていた理由にはなるほど、と思いました。影山の『ウケる~』
の言葉にウケました(笑)。帽子屋の店員、美羽のキャラクターが良かったですね。天下の麗子
お嬢様をはっきり『カモ』だとのたまってしまうところが・・・(笑)。

第三話『殺意のパーティにようこそ』
四人のお嬢様の関係が、ラストのミステリの真相に効いて来るところが面白かったです。
影山の説明に、麗子同様、「そんなまさか・・・」と思ってしまいましたが^^;でも、
説明されるとなんとなく納得できちゃうからさすがです。一瞬で事件を解決しちゃった
影山の手腕にも拍手です(その分、麗子さんが恥をかく羽目になるところが、影山の人の悪さを
表している気がしますが(苦笑))。

第四話『聖なる夜に密室はいかが』
雪密室もの。いくらウィンタースポーツ全般が好きって言っても、○○○○○まで持ってる人って
そうはいない気もしますが・・・。
影山がクリスマスイブに休暇を申し出た理由にはずっこけました。ラストで二人が○○○服を
着て、○○○を売る姿がなんだか微笑ましくて好きでした。

第五話『髪は殺人犯の命でございます』
麗子が寝癖と格闘して、影山に解決策としてハサミを渡されるシーンが笑えました。いくら何でも、
寝癖の解決策にハサミはないだろうと思いますが(苦笑)。意外に影山も大雑把な所があるんです
ね(笑)。ミステリ部分は、ちょっと強引さが目立ったかな。

第六話『完全な密室などございません』
犯人の存在はミステリとしては反則じゃないのかなぁ。密室の謎も、ミステリの法則的には反則
のような^^;最後は風祭警部がとても可哀想なことに・・・。でも、麗子さんの影山に対する
意外な本音が聞けたのは嬉しかったですね。この二人に本当にそういう展開が待ち受けているとは
思わなかったですけどね~・・・。これからもっと進展していくんですかね。この二人には、
このままの主従関係で(たまに立場が逆になるところも含めて)いて欲しい気もしますけれどね。



今回も、とっても楽しく読めました。本書の作品がどんな風にドラマ化されるのかも楽しみ。
一作目の大ヒットのおかげで、超人気イラストレータ中村佑介さんの中扉イラストも増えて、
豪華な装幀になってるところも嬉しい。裏表紙のサンタ姿でお茶する二人が好きだな(イラスト
で微妙にネタバレしてる所は気になりますが^^;)。