ミステリ読書録

ミステリ・エンタメ中心の読書録です。

水生大海/「夢玄館へようこそ」/双葉社刊

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水生大海さんの「夢玄館へようこそ」。

古いアパートをリノベーションして、ショッピングモールとなった『夢玄館』。入院中の伯母に
代わり、仕方なく管理人を務めるわたし。各ショップのオーナーたちが起こす“事件”に辟易するが、
毎日をともに過ごすうちに“隠されていた事”が見えてくる。今まで見えなかった事が見えたとき、
わたしの中で…。『少女たちの羅針盤』で注目の著者が描く、苦く清らかな青春ミステリー
(紹介文抜粋)。


古いアパートを改築してショッピングモールに仕立てた『夢玄館』の管理人を入院することに
なった伯母の代わりに勤めることになった主人公の紆余曲折を描いた連作短編集。主人公の
花純は、失業した元OL。早く次の仕事を見つけたいと思いながらも、入院することになった
伯母に頼まれて、嫌々ながら『夢玄館』の管理人を勤めることになります。一話ごとに、
『夢玄館』に入っている各ショップの店長との騒動が描かれ、最初は夢玄館に関わる人たち
との折り合いが悪かった花純も、次第に彼らに馴染んで行く・・・って感じのお話。うーん、
なんか、面白かったような、そうでもないような・・・。登場人物にあまり好感が持てなかった
せいか、いまいち楽しみ切れなかった感じです。ミステリ的にもちょっとゆるいかなぁって
思いました。それぞれの話も苦い結末が多く、軽く読める割には後味が悪かった。そこが
かえっていいと思う人もいるとは思いますが。モトナリとはいがみ合いつつ仲良くなって
いた印象があったので、終盤の彼の行動と結末はかなりショックでした。そんなに好感持ってた
訳ではないのですが・・・^^;あと、花純の母親にも嫌悪感しか覚えなかったな。こういう
俗物的な人って、世間にはいくらでもいるんだろうけど・・・自分の母親がこういう考え方
する人だってわかったら、すごくショックだと思うし、身内だと思いたくないって思うと思う。
ただ、ラストは花純が少し前向きになった分、読後感は悪くなかったですけど。ただ、あんなに
夢を追いかける人をバカにしてた花純が、最後にあっさり心変わりしたのはちょっと腑に
落ちない気持ちになりました。いくら伯母の秘密を知ったからってねぇ。伯母さんが夢玄館に
帰って来た理由にはビックリしましが^^;70歳でもお若いこと。

古いアパートを改造してショッピングモールって、設定自体に無理がある気がしなくもないけど、
やっぱり同潤会アパートがモデルなんでしょうかね。人気のお店があるっていうのがなんだか
いまいちピンと来なかったんですけどね^^;夢を求めてお店を出す、花純が考えるように、
そんなに上手くいくものじゃないとは思うけど、やっぱり羨ましい気持ちもありますね。生活
して行かなきゃならないってなると、甘いことばかり言ってられないでしょうけど。でも、
夢を持つことは大事なことですよね。最後で、花純にやりたいことが見つかって良かったです。