ミステリ読書録

ミステリ・エンタメ中心の読書録です。

高田崇史/「千葉千波の怪奇日記 化けて出る」/講談社ノベルス刊

イメージ 1

高田崇史さんの「千葉千波の怪奇日記 化けて出る」。

国際江戸川大学の1年生、ぴいくんと慎之介は、同期生の古都里ちゃん、海月ちゃんと居酒屋
「ちの利」で開く宴が学校帰りの楽しみ。そんなある日、大学に伝わる恐怖の七不思議、通称
「江戸七」の一つを目の当りにしてしまう。4人は、ぴいくんの従弟である天才高校生、千葉千波
くんに解決を依頼するのだが――!?
書き下ろし特別編も収録した、ユーモアとパズル感覚満載の好評シリーズ第5弾!(紹介文抜粋)


久しぶりの千波君シリーズ。どうなっちゃったのかな、このシリーズは、と思っていたので、
久しぶりに読めて嬉しかったです。ただ、今までの作品とは随分趣が変わって、今回はちょっぴり
ホラーテイスト混じり。ぴいくんが浪人生活から脱して大学生になってます。彼が通う国際江戸川
大学に伝わる七不思議を巡る短篇が四作と、立ち飲み屋にまつわる殺人事件を描いた書きおろしが
収録されています。新たな脇役キャラが登場した分、以前のお馴染みキャラたちが出て来なかった
のはちょっと寂しかったな。それに、このシリーズ一番の読みどころだったパズルの部分の扱いが
あまりにも薄い。そりゃ、タイトルも『怪奇日記』になってるから、そっちメインだって言うのも
わかるんだけど。なんか、別シリーズ読んでる気分になりました^^;っていうか、このタイトル
にもちょっと物申したい。だって、『千葉千波の怪奇日記』っていようりは、完全に『ぴいくんの
怪奇日記』なんだもん^^;一人称ぴいくんだし、最後の書きおろしなんて、千波君ほとんど出て
来ないし。まだ、七不思議の方の話は千波君の見せ場がありましたけど。千波君をもうちょっと
活躍させて欲しかったな。

ミステリ部分は正直なんてことないです。そもそも、千波君の謎解きも半分くらいしか合って
ないし^^;合理主義の千波君と幽霊は相性が悪いのでしょうね(苦笑)。
どちらかというと、ぴいくんと慎之介や、新キャラのコトリちゃんやミヅキちゃんを含めた
キャラクターたちのコミカルな会話で楽しめた作品だったかな。女性二人のぴいくんの扱いが
酷すぎて笑えました(笑)。ぴいくんの心のツッコミに何度も吹き出しちゃいました(笑)。

どうも、このシリーズこれで終わりのようですね。七不思議の残り3つはどうなるんだ^^;
ラスト、ぴいくん驚きの告白で、無理矢理終わらせたような印象がありましたが・・・。なんか、
打ち切りみたいな終わり方でちょっと嫌だなぁ。作者がパズル考えるの面倒になったか、アイデア
が尽きたせいなのかなぁ。QEDも終わっちゃったし(未だに最終巻積読してますが^^;)、
カンナもあと一作で終わりっぽいし、シリーズみんな終わらせて、高田さんってば、まさか断筆する
つもりじゃないでしょうね・・・(穿ちすぎ)。

結局、ぴいくんの本名も最後までわからないままだし。最後まで読めばわかると思っていたのにー。
でも、一作目の『油絵が笑う』を読んで、もしかして、ぴいぴい泣くからぴいくんだったりして
・・・とか、ちょっと思ってしまいました(笑)。


ほんとにこれで終わりなら寂しいなぁ。せめてぴいくんの本名を明かしてから終わりにして
欲しかったよ(T_T)。